冒険者と高利貸し
法律関係って苦手です。楽しいですけどね。
セメレーナはボクたちが入ったばかりの町だから、まだまだ治安が悪くて問題も多く起こる。
しばらくは二時までの営業のあとタクシーさん(テレポート使いさん)に送ってもらってセメレーナ視察を続けている。カジノに入って遊んだりは……してる。冒険者が多いから国営のカジノを作っているらしい。まあこれからはうちの国が運営するわけだけど。
なんかジャックポットとかいうのに当たってたくさん金貨をもらったので神殿に寄付したよ。不正な使い方をするとオレンジお姉さんの神罰が降るらしいとは言っておいた。
なんか先日教会の本部で本当に神罰が降ったらしくて神官の人たちはめちゃ怯えてたよ。まあ正しく使ってね。
それで、カジノなんだけどね、普通に運営している分にはそんなに悪いことはないらしい。胴元が儲かるシステムについても説明はされてるし胴元が勝ったお金は国政に回されてる。
カエデ市には置くつもりないけどね。さすがに酔っぱらいやギャンブラーに集まられても困るし。お酒は出すけどさ。
それで、カジノで負けが込んでる人たちが借金をしてまた挑むのが問題になってるんだ。借金の利率が少ーし高くないかな?って。
ボクらは一般人のフリをしてカジノに潜入しているよ。
アイリスはどのテーブルでも大勝してるんだけど、あの子豪運すぎない? セレナは計算高く稼いでいるよ。ボクは儲かったしやってないけどね。
……負けて借金取りを誘き出さないとダメじゃね? うちみんな運がいいのか一人も負けないんだが?!
胴元さんそろそろ「お客さん困りますねえ」とか言って出てこないかな? 不正してないからないね。お祭りの屋台はだいたい負けるのになあ。
ボクはすでに大勝してるので冒険者さんたちを眺めている。さっきから負け続けてる人がいるんだよね、数人。
そろそろお金が尽きてくる頃だよ。怪しげなオジサンたちが近づいてるね。
「お客様、奥で一杯、いかがですか?」
「お、おお、頼む」
なんか符丁みたいなものがあるのかね。一発逆転があるとか匂わせてお金を貸して借金を背負わせる。
冒険者って「一発当ててやろう」みたいな職業ではあるからね。
地道にやって稼いでる人の方が儲けてるんだけどね。高い薬草とかあるのに薬草採取は子供の仕事みたいに言っちゃう人いるし。マンドラゴラクラスなら大金貨がボロボロ稼げるんだけどねえ。
たださ、利率はどれくらいかなぁ? カエデ女王国は暴利は認めてないはず。こういうのはセレナに聞く。
「現在の最大は年利で二割。月に2%超えると商法に触れる可能性がある」
さすがだよセレナ。商法まで知ってるのね。アイリスもやったことは全部覚えてしまうけどセレナは幅広く知ってるし発明もする。違うタイプの天才だよね。
さて、高利貸しさんにはご退場いただくとして、どう攻めようかね?
「普通に勝ちすぎても目をつけられるかも知れぬがな」
「……うーん、みんな豪運すぎる……なぜだ」
リンゴも大勝してる。これ向こうにバレてない?
セレナとかはなんか必勝パターンみたいなものを掴んでるけど、あとの人は本当に運だけで勝ってるよ。
……治安維持のために高利貸し潰す話じゃなかったっけ?
「わはは、わらわのかちじゃあ!」
コヨリ姫めちゃ勝ってるんだけどエンシェントドラゴンお金いるのかね? そういえばドラゴンってカラスみたいに光り物集めるんだっけ。
「きんかはきらきら、みわくてきなのじゃあ~。わらわはぎんかもすきじゃ~。ほうせきもいいのじゃ~」
コヨリ姫が冒険者に狙われそう問題。お休みには冒険者活動をして宝石を買い漁ってるらしい。他のドラゴンを脅して宝石や金貨を巻き上げたり……ヤバい子だ!?
うーん、さっきの冒険者さん出てきたな。水の精霊を使って契約書の文面を見る。……十日で一割ね。はい、アウトでーす。
冒険者さんの契約書を奪い取って良く読みます。冒険者さんが取り戻そうと掴み掛かってきたので腕を捻りあげて外に投げ飛ばす。その程度の腕じゃ稼ぎも悪そうだねえ。
「な、お、お客様?!」
「ねえねえ黒服のお兄さん、帝国法でもこの利率って認められてないんじゃないのかねえ?」
「な、そ、それは……」
ん? やっぱりこいつら一応ボクらが何者か分かってるぞ。ちなみにうちの主力六人と四天王はすでに要所を封鎖してる。逃げられません。
「ちなみにカエデ法は帝国法より厳しかったりする。責任者呼んでこい」
セメレーナも帝国領からカエデ領に変わったばかりだから知りませんでしたぁ、なんて逃げ口は塞いでおく。帝国法でも違反じゃわい!
奥から太ったシルクハットのおっさんが葉巻を咥えて出てきた。プラチナや金の指輪をじゃらじゃら着けててうざってえ。コヨリ姫もコレクションに加えたがらないぞ。
「コヨリ姫、あの宝石欲しい?」
「なんかくさそうだからいらぬ……」
コヨリ姫もドン引きだよ!
「あー、困りますなあお客様、うちは正式に契約してお客様に快く楽しんでいただこうと特別にお金を貸しているのです。正式な取引ではなくてお友だちとして貸しているのですよ」
「ぷっ」
セレナが噴き出した。なんかひどい言い逃れなのはボクにも分かったけどね。
「帝国法でもカエデ法でも個人間のやり取りだからという理由で利息制限法は逃れられない。逮捕するわ」
セレナがたちまちオーナーらしき男と従業員を炎の縄で縛る。はい、おしまい。
「我はもっと乱闘とかしたかったのだ!」
「もとじめをおそうのだ!」
大変、うちのお子様たちヤクザよりヤバい! 武闘派すぎるよ! 戦争しまくってるからねえ。
「な、こんな、横暴だ、わしらは新聞社とも契約をして……」
「うん、扇動ね。扇動罪及び国家反逆罪追加。首が飛んだね、さようなら」
「ひ、い、嫌だあああっ!!」
セレナに勝てる権力者なんてほとんどいないよね。ボクの参謀様は凄腕すぎる。
この件でマスメディアにもメスを入れていくらしい。法律は守らないとダメだよね。
まあボクが法律作りに関わった記憶がないんだけど、ヤバかったりしない? ボクって気づいたら断頭台に送られてたりしない?
「カエデ女王国憲法の第一項には『女王を守り国を支えることを法の原則とする』と書いてあったりする」
「断頭台どころか至れり尽くせりだよ!?」
まあセメレーナもカエデ女王国に入ったからには、悪いことはどんどん改善していこうね。まずはパンと水をおごってやろう!
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