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テルナ女王様と祝勝会

 貴族のパーティーは陰謀が渦巻いてそうですね。



 少し遅くなったけどあれから戦いもとくになく、雪が降り始めたので、ニターナ女王国とカエデ女王国の貴族で集まって祝勝会となった。テレポートタクシーさんマジ便利ね。


 基本的にボクとテルナ様は二つ並べた玉座に座ってお酒や軽食を楽しみながら挨拶に来る貴族たちとお話しするだけだ。最初にちょっと挨拶はしたけどね。


「カエデ女王国の一周年記念祭はかなり盛り上がったようですね」


「はい、お陰さまで、みな楽しめたようです」


 ボクもテルナ様も貴族たちの前ではドラゴンくらいの大きさの猫をかぶっている。正体は見せられないね!


 戦場大好き女王テルナ様とハーレム主人公のボク。うん、絶対に知られてはいけないね!


「バレてる」


「やっぱりか~」


「で、あろうな」


 セレナによるととても(ふたりとも)有名らしい。全力で猫をかぶってるのになぁ。テルナ様はそれでも優雅だ。美人さんだねぇ。


 祝勝会は立食形式で行われている。セレナとアイリスには脇に控えてもらって、リンゴに料理を持ってきてもらう。


 ニターナには未だに魔族嫌いな貴族も多いはずだが問題行動は起こらない。朝食に提供したサンドイッチが効いたか。ニヤリ。


 だから洗脳効果は無いってば。だんだん怪しくなってきたけどね。この前捕まえた馬糞少年にも毎日食べさせてたら謝罪したいとか言い出したらしい。いや、さすがにそんな暇はないんだけど。国民の誰もがボクに会いたがってるのに犯罪者を優先するわけにはいかないからね。


 一人を立ち直らせるより百万人にご飯を配ることをボクは選ぶ。


 まあ祝勝会を楽しもう。


 うちの貴族たちもたくさん来てるけど、今日はハゲーン公爵と会談する予定もある。何度か顔は見ていたりする。うちに組み込まれた時とか挨拶に来てくれたからね。


 ハゲでちょび髭で大柄で、貴族だからスーツみたいなのを着てるけど筋肉でパツンパツンに膨れ上がっていて、すぐにも破れそうだ。見た目は威圧感あるしガハガハと笑うから普通の女の子は怖がりそうだね。すごく気のいい人なんだけど。公爵なのにおごったり気取ったりしていない。


 ボクはおごってるけどね!


 ハゲーン公爵の力はすごく大きい。正直なんでうちと組んだの?って思う。本人に聞いた。


「ん、うむ。実に単純な話じゃが」


「ふむ」


「誰も飢えぬ世界、それは我らにとっても悲願。その力もあるルーフィア殿をぜひ旗頭として行きたいと思ったまでよ。ガーッハッハッハッ!!」


 声デケえ。まあそんなところなんだろう。


 ぶっちゃけカエデ女王国から東は豊かな農園が広がっている飢えぬ土地だ。それでも国庫を賄うには至らない。


 品種改良や増産を進めて豊かになろうとするハゲーン、それに反するアーミング、ダブロド。


 彼らにしてみれば食料を増産するカエデ女王国は邪魔臭くて仕方なかったが、ハゲーン公爵の理想には合致した。だからまるごとハゲーンはカエデ女王国に組み込まれる道を選んだのだ。


 とても立派な人だ。嬉しくて目薬差しすぎたわ。あーあ、こぼれちゃってもったいないなあ。


 テルナ様とパイのお話をした。


「して、ルーフィア殿、北国のパイは魚のパイが多いらしいな。用意させよう」


「美味しそうですね」


「私このパイ嫌いなのよね~」


「え、セレナ魚好きじゃん」


「……ごめん、好きです」


「それで、このパイは西と東(尻尾と頭)で、こう、分かれているわけだが」


 テルナ様が一生懸命パイを切る。美味しそうだねえ。


「ここ(のソックセン)では岩塩が豊富に採れる(よく効いている)のだが、他の(産業)と言えば薬草くらいでな。このパイは大きいのだがニターナ()が食べるのには重いのだ」


 ニターナ王都からソックセンは遠すぎるよね。下手したら一ヶ月移動にかかる。


「女王様の手元のパイはボクが切り分けるよ。はい、あーん」


「うふっ、もぐっ。うむ、ルーフィアのトーストサンドイッチの方が美味いな」


 それがボクの得意技だしね。でもその不味い土地は請け負うということね。


「交換だ」


「あん、モグモグ。うん、魚のボリュームがあって好きだね。泥抜きもできてる」


「ほう、分かるか」


 ソックセンの不穏分子は仕留めておいてくれるらしい。うーん、貴族のやりとりめんどいなぁ。


「この付け合わせも美味しそうですね」


 皿の上の方、やたら大量に盛られてる野菜の付け合わせを三等分する。ひとつはテルナ様、ひとつはボク、ひとつは残した。北のクレスタールは主権を残したままお互いに交易して富を分かち合う方針となった。


 そこで、付け合わせの逆サイドに盛られたポテトに目が行く。


「ポテトは好きだけどお腹いっぱいかな」


「そうね、惣菜から片付けましょう」


 魔王国は様子見、北を攻めることになった。ただ……。


「このマスに針とか入ってないといいんだけど」


「ふむ、三本ほどえぐい針が見えているわね」


 ベレベ、ブレア、そして第三勢力の影が帝国に現れているそうだ。帝国との境界にアンデッドがあちこちに発生している。ブレアのやり口となんか違う気がする。


 命をおもちゃにしてるのはどちらも許せないけど、ブレアはたぶん精霊兵が自分を裏切っても気にも止めないだろう。罪と分かっていてやってる。


 精神を削りながらも何事かをなさんとしている。


 ……なぜかそれが、ボクがブレアを積極的に叩きのめせない理由になっている。


 シルフェイス、君はなぜブレアに従っているんだい?


 君からは、ボクと同じ、飢えを克服したい気持ちを感じるんだ。勘違いかな?


 ここからテルナ様は小声になった。


「第三勢力、リーダーの名はカジェル。調べによると帝国の研究院でブレアとシノギを削っていた仲だという。まあ相手にされなかったらしいが」


「やっぱりニターナの諜報は優秀だわ……」


「おだてるな。実はその諜報の草からの情報であるが、ベレベや帝国の宰相にデーモンの息がかかっている可能性があるらしい」


「うぷっ」


 魚のパイにバター使いすぎで重い、じゃなくて、……マジか。つまり何十年も前から帝国とニターナにデーモンの影があったのか。


「引き続き酒宴を楽しもうぞ!」


「敵わないなあ、まあお付き合いしますよ」


 パンと水の酔いざましはチートだよ。いくらでも飲むよ。


 さすがにこの戦乱がはぐれデーモンエンペラーに仕組まれたものだと、ボクらは気付いたのだった。


 アークデーモンのローランドさんと熾天使ティファナ呼ぶか、と、思ったら現れた。


「神の裁断に従わずエンペラーなどと片腹痛い。滅ぼしてしまいましょう」


「うんうん、ちっぽけな野郎であります。消して良かろうであります!」


 物騒な悪魔と天使であるが、その場にいた大臣級の皆さんにはしっかり伝わったようです。やっぱり権力って大事よね! いきなり熾天使とかアークデーモン出たらそうなるわ。


 デーモンエンペラー駆逐に向けてカエデとニターナの協力体制が築かれることとなりました。まあ、春からね。






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 ストックが減ってきました。暑いし。食欲も今一つです。



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