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クレモット帝国とニターナ女王国の開戦

 今日の二話目です。明日からは一話です。



 カエデ女王国が主戦でハングリー伯爵を攻めている頃、ニターナ女王国へクレモット帝国が正式に宣戦布告してきた。これによりテルナ様は王都にまで軍を引かなければならなくなった。あとは任せてね。


 ソックセンには一応防衛ラインとして兵がたくさん残っているが、これは帝国中央を挟み撃ちに狙う思惑があるらしい。


 ここでニターナが手を返してカエデ女王国を攻めるのは無理攻めもいいところなので絶対にないらしい。むしろ援軍要請が来る可能性が高い。


 早めにハングリー伯爵を落としたいのだが、ここでセレナが賭けに出た。ハングリー伯爵の北に領地を構える、帝国のセメレーナ伯爵に帝国からの離反を誘ったらしい。


 セレナすごくない? この子、普通の貴族令嬢のはずなんだけどな。元々は伯爵家だから血が良いのかな?


 ただ、セメレーナは王の直轄領でセメレーナ伯爵は代官だし、成り上がり者と言われているそうだ。どこかの伯爵家の三男だったらしい。そこから自分で伯爵まで上り詰めたのだからやり手だし、皇帝への忠誠も深いかもしれない。完全に賭けのようだが、下調べはしてあり、寝返る可能性はあるそうだ。


 領民思いの伯爵は軍事費を蓄えるための圧政に苦しむ民たちを哀れんでいるらしい。なので軍事的な参加を促すのではなくルーフィアのパンを配ることを約束し、防衛拠点を領内に置くことを願い出た。つまり防衛戦力を常駐させて守るから協力せよ、ということだ。


 事実上の占領のような気がするけど。カエデ女王国に組み込むらしいし。税金は約半額になるけどね。


 ちなみにパン商人がもう入ってるそうだ。パンを配ったら防衛軍を住民が勝手に作るまで目論んでるらしい。セレナ、悪女。魔女だった。


「泣く」


「セレナは天才だよ! ボクはセレナ大好き!」


「うへへ」


 可愛い。真っ赤になった。


 それでニターナ対クレモットはリナレアちゃんの水鏡術という遠くを見る術とウィリーちゃんの風術の聞き耳で音を拾って見ていることにした。


 ボクらは籠城の姿勢を見せているハングリー伯爵の本城を囲んで攻城戦の態勢で止まっている。攻めるとなればコヨリ姫のブレスから二軍、三軍で突撃して終わるのだけど、万が一に、ニターナが派手な負け方をするとさすがにボクらも退かないといけなくなるからね。


 ニターナ軍は公爵領のひとつレドナドールセルで守りを固めている。ニターナ王都アルカナからソックセンのちょうど真ん中にある広大な領地で、この寒い時代にも関わらず大量の食料が生産されている土地である。


 帝国から見ても美味しそうというわけだ。ちょうど戦線が延びてるのでちょっかいかけてみた感じだろう。山越えなので戦力も多くないし守っていたらニターナは勝てそうだ。


 向こうも補給線が延びすぎている。奇襲したらたちまち孤立するだろう。なのでちょっかいなのである。ちょっと掠奪して逃げるつもりなんだろう。


 それによってニターナ軍もハングリー伯爵攻めから手を引いてるので意味がなくはない。一応ソックセンに軍を残してるのでボクらは孤立していないけどね。


 戦いが始まってすぐに攻城戦かと思いきやレドナドールセルの各砦から兵がわらわら出てきて横合いからクレモット軍を攻め立てる。ただでさえ補給線が長く孤立ぎみなのにこれはたまらない。ひと当てしたらすぐに退いていく。なにしに来たの?


 テルナ様も動きが怪しいと読んで追撃はしなかった。森で奇襲とかあり得るもんね。山の麓の森まで行くと広大な土地と深い森のせいで戦線が延びてマズいとみたようだ。


 そこで遠くでのにらみ合いが起こる。さすがに突っ込めないと思いきやニターナ側は大魔法の使い手に森にメテオや火山を展開させる。森ごと焼くつもりか。


 まあニターナほどの大国になれば植物術スキルや土術スキルを持ってる人が当たり前にいそうだけど。森も一週間もあれば復活する。普段は畑とかにも使ってるらしい。


 リンゴとは比べられないけどね。レベルも高いし魔王だし。ただ魔族はレベルアップがかなり遅いらしい。あれだけキツい労働してるのに……。


 戦いはクレモット帝国軍が逃げ出して終わった。しかしこの後のニターナ軍の動きが難しい。大返しで帰ったので馬は潰れてるし食料も武器も減っている。


 レドナドールセルで補給してからまた軍をさらに割って、おそらく半数がこちらの応援に来る。その際ソックセンに駐留している兵力も加わるだろうから数はそれほど厳しくはないが。


 帝国と正式に開戦しているので王都の兵は今以上に減らすのは無理だろう。ニターナ軍はものすごい大軍だが、さすがに三つに分けたらうちの兵数と変わらなくなってきた。


 テルナ女王様はこちらに向かっているらしい。敵の追撃はない。そもそも帝国とニターナの間の山脈は深く、ハングリー伯爵とソックセンが小競り合いしていただけなのが今までの二国の関係だ。


 そこにボクが絡んだ。


 正直伯爵領相当の土地を二つも切り取ったら帝国全体が窮地に陥るだろう。


 特にセメレーナ伯爵はクレスタール公国との交易で帝国に多大な富をもたらしている。攻められるだけでもイヤな筋だろう。セレナは説き伏せにかかってるけど。丸ごと無傷で手に入れたらボクらが丸もうけである。


 それにはハングリー伯爵に大勝してみせねばならないだろう。テルナ様が到着したらハングリー伯爵攻めを開始するとして、周辺の住民たちを保護したりなんか大規模な山賊団がいるらしく、そいつらも駆逐しないとならない。


 テルナ様は王都とレドナドールセルの状況をみて指示を出し続けているらしく、かなりゆっくりおいでになるようだ。


 この戦いが始まってひと月ほど経っている。そろそろ雪が降る。


 ハングリー伯爵は今年中に仕留める。春まで長引かせても面倒だし、さすがに問屋のパンを補充するだけだと飽きられるかもしれないしね。


「いや、飽きないけど?」


「飽きないわね。ルーフィアが出してくれる物はなんでも食べるわ!」


「硫酸でも?!」


「食べないわよ!!」


「三人娘はいつも仲がいいのだ」


「混ざれば良いではないか」


「かあさまはエロいから混ざれるのだ」


「娘がひどい」


 それにしてもニターナもずいぶん長く戦ってるのに戦費とか尽きないのかね。さすがに大国ってことか。


 空は薄曇り。雪が降る前に、開戦だ。






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 戦争が続きます。終わったら日常が続きます。



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