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実験体

 戦争は物語の中だけでお願いします。



 いよいよハングリー伯爵領に乗り込む。とは言え、だいたい北に500キロくらい進軍しないと本城にたどり着かないばかりか、途中に町や村、砦がいくつもある。支城、つまりお城もあるらしい。ソックセン以上に面倒くさい。部隊をいくつかに分けて主将と副将を決めていく。


 大将はもちろんボクだ。主将はクラリスさん、セレナ、ウィリーちゃん、リナレアちゃん、副将はボクにはエリメータさん、クラリスさんにはリンゴ、セレナにはアイリス、ウィリーちゃんにはビビさん、リナレアさんにはコヨリ姫についてもらう。


 最初にセレナ部隊に当たってもらい敵を削り、クラリスさんの部隊には制圧、ウィリーちゃんの部隊は輜重や連絡をお願いする。ボクらは後詰めとして状況を見て攻めていく。リナレアちゃんは救護、遊撃だ。ハイポーションなら出せるらしい。


 冬が訪れて雪が積むまでにできる限り進軍したい。セレナも広域殲滅型の術だが威力を控えて撃ってもらう。長期戦になるのは間違いがなさそうだからね。


 セレナが一当てして城壁などがあれば門も焼き払い、クラリスさんとリンゴの魔族中心の部隊で制圧する。制圧が済んだらボクらが入り市民に配給、ウィリーちゃんたちが次のポイントを偵察、伝達、セレナが襲撃、これを繰り返した。怪我を負えば後方でリナレアちゃんが回復してくれる。


 やっぱり部隊を分けてると効率が良いね。セレナが選んだ精鋭を五つの特徴のある部隊に分けたのは正解だろう。


 血の気の多い人たちはセレナたち、仮に第二部隊とかクラリスさんたち、仮第三部隊に、足が速かったり通信系魔法が使える人はウィリーちゃんたちの第四部隊、戦闘はちょっと苦手なサポート要員だ。第五部隊は回復役、エリクサーなんかを収納スキルで運んだりしている。ボクらが本隊、第一部隊という振り分けになってる。兵科はバラバラだけど訓練を繰り返してまとまっているよ。


 結果、第三部隊が一番兵が多かったりする。合言葉は「パン屋の営業のために!」だ。意味はわからない。


 まずは近くの村を制圧する。なぜか歓迎されているけど。飢えないカエデ女王国の噂は帝国にも轟いていた。パンも売りにくる人がいたらしい。物価が上がってもパンの値段変わらないからね。この辺りは飢饉で物価が高い。貴族が買い占めをやってるし税もほぼ物納だが高い。


「パンをおごってやろう。村人全員集めよ」


「ははあっ!!」


 村長さんは猛ダッシュで人を集めていく。いきなり忠誠心マックスな感じ?!


 村人は数百人程度なので病の人にはパナケア(万能薬)も回し、シャキッとしたところでサンドイッチとハンバーガーを配る。飲み物もスッキリスポーツドリンクでまずは水分を補わせる。全員が満足したところで子供たちに栗饅頭を作って持たせて帰らせて、残った大人たちにビールをおごってやる。


 士気が一気に高まるのを感じるなぁ。騎士たちはあらかじめ持ち込んだパンを食べさせているが絶対足りないと思うので注文を受けてやった。明日も進軍だが少しくらいは酒も飲ませよう。


 騎士は酒強い人多いからな。ガブガブ飲むなよ、おかわりは無いぞ?


 それでもたっぷり食べて飲み物もコーラとかジンジャエールとかメロンソーダとか、珍しいのを飲んだからかみんな士気が高い。キャンプの用意はすでに済んでいる。なにせ料理を作らなくても良いから速い速い。


 二日目、次の村も制圧。別動隊が他二つの村をまとめ上げ民たちはこちらに移動させる。ここをこちらの拠点にさせてもらおう。パンを作って配らせる。前の村にも食糧を届けさせる。収穫が足りないからね、明らかに越冬できない。前の村も合併しよう。


 仕方ないから春まではこちらで面倒を見る。年末年始は酒とご馳走パンを配ってやろう。とにかく子供が飢えぬように菓子パンも大量に用意する。


 土術師たちに建物を建てさせて、元の村は破棄させよう。まとめた方がパンを配りやすいからね。


 ここを拠点にハングリー伯爵領の村をどんどんと潰していく。ここに町ができあがる。土術師たちはさらに畑のスペースを確保、壁で覆っていく。そして種を蒔き、植物術師たちが育て、冬の分を村人たちに収穫させる。この畑は来年からも使える。


 統治体制は各村から数人ずつ人を集めての議会制にした。もちろんうちの領地なので地方自治体みたいなものだけど。


 こうして村を潰していくと近くにある町は二種類の反応を見せた。


 徹底抗戦と、寝返りだ。比率は1:9くらいだが。


 徹底抗戦て無駄だろ、と思ったら精霊兵がその町からわらわら出てきた。占領されてるぅ。その中に一人、異彩を放つ存在がいる。全身から発光してる女の子だ。


『はあーい! ブレアでええーっす! お久しぶりでありますな!』


「最近会ったばっかだろ。聞きたくないわそのダミ声」


『それは失礼しました! いやあ、前回のレッドくんのお陰で精霊兵の理解が進みましてなあ。レッドくんと火の精霊のように相性の良い精霊だと出力が十倍ほどになるとわかったんですな。それで今回は珍しい光の精霊と親和性の高い人間を見つけて作ってみた次第です。思い切りやっちゃってくださあい!』


 やっていいのかよ!


 思い切りこけそうになったわ。……うーん。


「精霊兵って精霊の切り離しはできないよねえ?」


「セレナ、様は、無理だと、仰ってました」


 だよねえ。すんなり倒した方がいいのかね。……ボクとあんまり変わらない背丈の子なのに。ああ、なんで胸が痛む。倒さなきゃ味方がまた死ぬ。


「……精霊将シルフェイス、ターゲット、ルーフィアを発見しました。これより交戦に移ります」


「こいや!」


 やるっきゃねー。思い切りスイング!


 って躱された?!


「ショート、テレポート、ですね」


「めんどくせえ」


 テレポートって言っても実体が消えていられるワケじゃない、広域スイング! 当たるも八卦!


「うっ!?」


「止まったあ! おっらあ!!」


「!!」


「まあた逃げやがった。さっさとあの世にいけえ!!」


 君が誰かを殺す前に、ボクが止めてやろう!


 ブレア殴る回数プラス十発だな。


「……ごふっ!」


「案外タフだな……」


「精霊の、密度が、高く、実体が、薄く、なっています」


「物理耐性とかマジめんどいな」


「私が、殺ります」


 エリメータさんがボクのかわりに飛び出した。はっきり言ってスピードは我が軍最速のエリメータさんである。光速で動けることは光速で反応できることを意味しない。


 飛ぶ斬撃が敵を穿つ!


「がっ! ぐぶ……、光線斬」


「ぬっ!」


「おっと、エリメータさん?!」


 エリメータさんは斬撃をくらい真っ二つに……なった瞬間繋がった。回復力も我が軍最高だった。対抗できるのはボクのエリクサー事前飲みくらいだろう。


 この戦いは明らかにエリメータさんの方が相性が良い。バンパイアなのに光耐性あるしね。


『はあ~、ヒントは得られましたがまだまだ遠いですな。シルフェイスさん、お引きなさい』


「はい、マスター」


 ……なんでブレアに従順に従ってるんだ? あとでセレナに聞いたところ光の精霊を使役してから実験に使ったんだろうということだ。本体の女の子の意思は無視だ。


 セレナは、やはり精霊兵から精霊を剥がすのは無理だろうと。血液を通して全身の細胞を変質させている結果が精霊兵らしい。


 ……どちらにしろボクでも厄介な精霊兵が出始めたということだ。


 精霊将シルフェイス。また戦うとなると厳しいかも知れない。




 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


 評価はできれば☆☆☆☆☆→★★★★★でお願いします!_(:3」 ∠)_


 ルーフィアの戦いは激しさを増していきます。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 ぬぅ、ブレアの野郎···かなり面倒な領域まで実測データを高めてきてやがる。変態野郎の癖に生意気なんだよぉ!(西川貴○ボイス [一言] >戦争は物語の中だけで 本当にそ…
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