秋祭り
しばらく戦争やお祭りが続きます。コント少なめです。
クレモット帝国とニターナは激戦を続けている。冬前にはもう二、三当てするつもりだろう。
ボクらは申し訳ないけど、戦勝祝いと秋祭りを一日だけやらせてもらう。こういうのが士気を高めるのも間違いないからね。
ほんとは秋祭りは二回、三回とやりたいんだけど、今回は戦時なので仕方ない。でもやる。子供たちも楽しみにしてるからね。
一日だけとは言え、準備に時間はかかる。後方部隊はこれに掛かっていた。
前線部隊はずっと戦の準備だよ。薬品や武具の配布、新装備の装着方のレクチャー、布陣、戦術の確認、部隊編成、などなど。
戦争って忙しい。何年も争うのに刹那がすべてを決めてしまう。
さて、秋祭りだ。今日はクラリスさんとリンゴと回る。
クラリスさんは紺色の浴衣だ。帯は白で、流れ星のデザインが可愛い。なぜかその長い黒髪が浴衣に合ってる気がする。綺麗だ。リンゴがむくれた。
「フーンだ、ルーはかあさまとばかりいちゃいちゃするのだ。合体すればいいのだ!」
「合体?! リンゴもいちゃいちゃするよー」
「当然なのだ!」
リンゴは可愛い赤い浴衣を着ている。黄色い金魚が泳いでるよ。帯は黄色だね。
今日もまずは食べ歩きかな。荷物になるから金魚すくいしたいけど最後かな。
りんご飴を見つけてクラリスさんとリンゴが喜んで走っていく。ボクは小さいヤツでいいや。姫りんごって可愛い名前!
いろいろ食べたい。二人は大きいのを買ったね。……二人ともよく食べるからなぁ。うちだけ、人間だけでも一食惣菜パンで百個くらいは余裕で食べるんだよね。全員で百個ね。一人百個はライムなら食べる。
次は……イカ焼き! 海の幸なんだけど新鮮で安いんだよね。商業ギルドでいくつかの店の商品を共同でテレポート運送してるらしい。かなりお高いからみんなで協力してるんだね。こちら側に受取人を配置しないとダメだし、かなり大きめの商会で協力しているようだ。
おいひい。モグモグ。リンゴとクラリスさんは一本を二人で分けてるね。ほほえましい。……ただ、親子じゃなくて姉妹にしか見えない。
次は~、豚串! これも輸入だね。牧畜はニターナでは盛んだよ。うちも土地があるからセレナが食料増産を考えてる。いずれは輸出できるようにするんだって。でもすでにパンの出荷ルートはできてるからね。ノウハウはあるらしい。
がぶっ。もぐもぐもぐ。じゅわーっと肉汁が溢れる。甘い脂に柔らかいお肉。下茹でしてるのかアクもない。つるん、って食べられる。タレも甘口だけど絶品。にんにくも使ってるのかな?
「やはり肉なのだ」
「ドラゴン狩ってくる?」
「次のお祭りの屋台で出すのだ!」
次のお祭りは年越しと新年のお祭りだね。その前に建国祭もあるか。一年だねえ。
年越しと新年のお祭りは女神様を新年にお迎えしてお送りするまでの二週間も続くお祭りなんだけど、最近は景気が悪くてどこも縮小してたんだよね。うちはやるよ? 戦争も冬には無いからね。あえて冬に攻めることもあるけど。仕事がないから、そこはちょうどいいみたいだね。雪で動けないだけで。ドラゴンはそのときに食べよう。
どこまでいっても戦争戦争。貧しさが諍いを生む。諍いが戦争を呼ぶ。掠奪や戦働き、手柄を求めて農民まで嬉々として戦争する。
テレポート輸送システムまでできたのにそこはいつまでも原始的だ。となりの畑はよく実る。奪ってもただじゃ実らないのにね。
次はポップコーン食べよ。トウモロコシでも一部のトウモロコシでしか作れないらしい。こういうの見つける人すごいよね。塩だけでイケる。ぽりぽり。
そういえば畑って魔物に荒らされるから多くの領地では城壁で畑を囲っていたりするよ。魔物が侵入したら騎士団を派遣。畑を守る騎士団!
笑い話じゃなくて死活問題だけど。うちもセレナが南の森沿いに壁を作る計画を立ててる。予算は潤沢にあるからね。町にお金を回す意味でも公共事業はやらないとね。
飢饉の最中では魔物も飢えている。だから畑は襲われる。
クラリスさんとリンゴがいつの間にか水風船を取ってるよ。釣ったらしい。エサはなにかな? 無いらしい。水風船は針を食べるのかな?
戦争の疲れを癒すつもりが仕事のことばっかり考えてるよ。病気かな?
冬も忙しくなりそうだなあ。まあ雪が降るまでは帝国攻めらしい。少なくともハングリー伯爵領に着手する。
ボクらはソックセン復興も手伝うし、忙しいぞお。一応カエデ市民からテレポート使いやインベントリ使いを集めているよ。インベントリは物資をデータ化して大量に保存できるんだって。インベントリ使いとテレポート使いでコンビを組ませれば大量輸送し放題! お給料弾まなきゃ。
保存しているアイテムは劣化しないらしいから作り置きもしやすいね。まあボクが出したのは腐らないけど。
たこ焼きも食べよう。ソースが絶品なんだ。あちち! めちゃ熱々!
このたこ焼きにはクラーケンというかイカの親戚みたいなタコが入ってる。見た目はグロテスクだけど貝みたいで美味しいよ。セレナは好物らしい。セレナはハイセンス過ぎてたまについていけないよ。
さて、次はゲームだね。クッキー割りしてこよう。針で模様を掘り出していくよ。バリッ。割れたぁ。
これ本当に難しいからあ!
「ふむ、こうか? あ、割れた」
「二人とも不器用なのだ。我に任せよ。割れた」
「はやっ!?」
三人で頑張ったけど一グリンしか勝てなかったよ……。一回3グリンだから大損だね。まあむこうも商売だから仕方ないけど。
次はボール投げ。ゴムボールを投げていくつかある穴に入れて、転がった先の商品がもらえるらしい。ほとんど外れだけどね。
「えい! 入ったのだ!」
「外れ」
「なんでなのだ! おかしいのだ!」
「縁日のゲームなんてそんなものじゃない?」
「まあ儲からないなら屋台も出せないからな」
現実はシビアである。
「あ、あっちにはくじ引きがあるのだ!」
「ギャンブラーなの? リンゴはギャンブラーなの?」
「まずあれって一等が入っていないよな?」
「五等当たったのだ!」
「おぉ、おめでとう。こっちのミニチュア一個取って」
「やったのだー!」
「あれって原価一グリンだからね。くじは一回十グリンだっけ」
「ボッタクリだな。まあそういう商売だが」
さて、そろそろ花火だね。花火が終わったら金魚をお救いしにいかないと! 前の子と合わせて繁殖させるよ。ダンジョン前の池に金魚用の池を作ろうかな。ピラニアと同居させたら食べられそうだし。
「花火が始まるのだ!」
「かき氷を買ってきたぞ、リンゴ」
「さすがかあさま、準備がいいのだ!」
「ボクも? いただきまーす」
「うむ、こめかみがキーンとなるな」
ドーーーン、と大きな音。花火が始まったね。うわあ、金色の花が夜空に咲いたよ。綺麗だなあ。
ドーーーン、パリパリパリ……、ひゅるるるる……ドーーーン、とたくさんの綺麗な花火が上がる。赤や青や紫まであるね。綺麗だし、壮大だ。……ああ~、もう終わった。
最後に金魚を悪の生け簀からお救いせねば!
(掬う、だけどね)
セレナがなにか居心地悪そうだよ? なんでだろ? さあ、まずはお一人、あの大きい子をお救いするぞ! 無理でした! 持たないね、このポイって枠は弱すぎる……。ここは資金力にものを言わせて……小さい方からお救いしよう!
やった、一度に二匹救ったよ! さすが救世主だね!
こうして、戦争の合間、小さなお祭りでボクらは癒されたのだった。
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ミーヤちゃんほぼ出番無し!
ここは匠の技を見せるべき!
ミーヤ「ごろりんこ」
可愛い! ミーヤちゃんももうすぐ十五才ですね!




