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百話記念:ルーフィアの一日

~あらすじ~


 十五才のスキル授与の日、同年代の者たちが華々しいスキルを手に入れる中、小柄な少年……のような少女ルーフィアが授かったスキルは、一見不遇に見える「パンと水」であった。


 しかし、早々にこのスキルのチート具合を見抜いたルーフィアは、この世界の飢えの根絶を目指し、店を興し、建国し、豊かさのための戦争を始めた。


 この物語は、いつの間にか女王にされたパン屋の社長にして女王の少女のブラックな毎日の物語である。


 ブラックはいやあっ!!



 朝、目を覚ますと大抵四人くらいがボクを囲んでいる。もたれかかっているのは白い大狼のウォルイだ。ふかふかである。


 みんなは妻とか言ってるけど、ボクらみんなでワイワイやってるだけだよなぁ。


 ぼんやり明るいダンジョンの部屋の中。開いた入り口からは外の光が差し込み、朝を告げている。そして次の瞬間黒い山のような巨体がぞろぞろと入ってきた! ひええぇ!?


 ミドリちゃんでした! だから怖いからゴリラ。美容スキルは有り難いけどね。なぜか歯までホワイトニングされる。きゅるん!


「みんな朝御飯にしよう~」


 パンと水スキルでクロワッサンサンドとポタージュスープ、ドリンクをお好みで出していく。リンゴが昔作ってくれたテーブルにはお高いけど可愛いクロスが広げられている。お気に入りだ。


 談笑しながらご飯を終えたら問屋に向かう。一日の仕事の始まりだ。


 坂道を降りて、池の間の道を通り、城壁を抜け、小川にかけられた立派な橋を渡ると、もうカエデ市だ。問屋はすぐそこに建っていて、すでに荷馬車が何千台も集まっている。


 商人たちは挨拶したりなぜか拍手したりしてボクらを問屋まで見送る。


 先に出勤していたクラリスさんが在庫を吐き出し、注文をまとめてくれている。頭が上がらないよ。キスしよ。はむ。


「ルーフィアがえっちなのだ!」


「それはよくないね! ルーフィア、妻を平等に愛するんだ!」


「あれえ? 魔王も魔王女も王子も妻じゃないよねえ?」


「ハスター王子! 旦那が冷たいのだ!」


 毎朝の挨拶のようなコントをしながらいつものパンを補充し、特別注文のパンも出していく。ある程度作るとハスターくんがコピーを作っていく。素材は余ったパンだ。足りなかったらふわふわパンを大量に出す。これは簡単。やっぱりみんなにより美味しいものでお腹を満たしてほしいよね。


「デフレ傾向が強いからお金を出していきたいんだけど」


「外部城壁を作って人員募集しようか? パン屋スタッフのお給料これ以上増やしてもね」


「今でも使いきれませぇん!」


 セレナと話してるとバイトの女の子が贅沢な悲鳴を上げるものだからみんな笑う。


 毎日一千万は出すと言っても一回当たりは二百万くらいだ。朝と帰りは多いかな。昼間はクラリスさんの要請に合わせて作り、ウィリーちゃんに運んでもらう。魔王と四天王の贅沢な使い方である。やめてさしあげろ。


 そのままウォルイに乗ってルーフィアパン店本店に向かう。ちなみにカエデ市とニターナ王都に支店がある。本店が一番メニューが多いので人気だが、支店も二十種類以上メニューがあるので満足してもらえている。作るのは大変だけどね。


 売れ筋や在庫などは書類で管理しているが、税金なども絡むので専門の人を雇っている。十人くらい。試しにアイリスに主任を任せてみたら二週間くらいで仕事を覚えてしまったらしい。天才め。


「だるーい。お店でルーフィアといちゃいちゃしたあーい」


「さすが聖女は頭おかしい」


「今の流れはおかしい」


 あ、泣いた。メンタルは最弱。立ち直るのも一瞬だけど。


 ランシン市の本店で準備に追われるスタッフたちに挨拶をしてから生産開始。リンゴも生産を始める。リンゴの方は商品が少ないしコストほぼリンゴのお給料とスタッフのお給料だけなので、作れる時に作れるだけ在庫を作っている。ボクはハンバーガーとかサンドイッチは作り置きしておく。リナレアちゃんも基本のドリンクを揃えてタンクに詰めていく。生産職は楽じゃないね。


 作った端からスタッフが倉庫へ運んでいく。問屋とは別のお店の倉庫だ。やがてフードコートを共同で使っている屋台も仕事を始める。焼き豚の良い香りが漂ってくる。チャーシューサンド作ってつまみ食いする。スタッフにも賄う。飲み物はスタッフはいつでも飲んで良い。水分補給しないと倒れるからね。


 やがて開店。スタッフがお客様にメニューを配り、注文を取り、倉庫にあるものはチェックを入れていく。そして商品を持ってきたらチェックをもうひとつ入れる。このチェークシートもセレナが作った。どんな方面でもまんべんなく天才だな!


 二時までノンストップでお店を回す。最後のお客様の後ろにラストオーダーの看板を持ったスタッフが立って営業終了である。この後は国の運営の仕事を五時までやって、在庫補充してから帰宅。


 国政はモアリースト司教、メルフィーナ伯爵、チェルシーさん、ペリテー侯爵、ハスターくんで回している。文官は他にも土の四天王のビビさんやモアリースト司教のお友達のエルフのゼファーさん他、たくさんの知識人が集まって運営してくれている。


 いきなり大国になったのに区画整理なんかでつまずかずにスムーズにここまでこれたのも彼らのお陰だろう。ただ、事後報告ばっかりになるけど。


 問屋で在庫を整えたら帰宅。晩御飯までは書類仕事。ほぼ判子を押すだけだけど一応読まないとダメなので大変だ。


 今日は極上カレーパンにしよう。スープはいろんな具をボクの出したスープで煮込んでもらってそれを並べる。デザートの苺のムースケーキも出しておこう。もちろんみんなこれだけじゃ足りないので注文に応じて出す。


 食べ終わったらお風呂。順番を待つ間にムバウばあちゃんとゴブ吉の報告を聞く。問題行動を起こす魔物、今日もゼロ。餌については問屋から持ってきてもらってる。余り物を処分してくれて、それでも余るのはライムが食べる。この分は朝にまた補充だ。飲み物はリナレアちゃんが配ってくれてる。ほんと女神。


 さあ、ボクもお風呂に入ろう。少し高台に露天風呂を設けてるのでそこに入る。肌寒いけど星空が綺麗だ。真っ暗じゃなくて濃い、青い空。星が束になって夜空を横切っているよ。


 リンゴとかクラリスさんとかセレナとアイリス、エリメータさん、だいたいこの六人はいつも一緒だ。パーティーだね。前衛がボクとエリメータさんとたまにリンゴとクラリスさん。その二人は中衛が多いかな。セレナとアイリスは後衛。バランスの良いパーティーだ。ダンジョン潜りたいね。


 最後はゴリラ美容で綺麗になったウォルイたちにベッドになってもらってみんなといちゃいちゃしながら寝る。この時間もセレナとかは仕事してたりするけどね。ボクよりブラックじゃない?! 書類仕事はボクも休日にまとめてやれる分以外はやらないとダメだけどね。


 ダンジョンはあんまり深くしても誰もアタックしないので今は寝るとこになってるよ。夜間はゴブたちが警備してるし、本当にガチガチの要塞型宿泊施設だね。


 さて、明日もお仕事だし、早く寝よ。お休みなさあい。






 少しでも面白いな、続きを読みたいなって思ったら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願いします!


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 暑いのでダウンしそうですが頑張ってみます! よろしくお願いいたします!



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