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辺境伯の第六夫人! ~奥様たちは特殊戦闘員~  作者: フミヅキ
第三章 蔓薔薇屋敷の華麗なるご夫人方
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蔓薔薇屋敷の華麗なるご夫人方⑨

 ガブリエルとの決着を終えて、ハミアと伊織、キーリィ、そして、レティシアの四人の夫人が蔓薔薇屋敷へ戻ってきた。馬車の中で眠ってしまった伊織を抱えていたキーリィは、伊織を出迎えたメイドに託す。


 レティシアの目論見どおり、ガブリエルの送り込んだ刺客は彼女とネイスとで絞り込んだメイドの中におり、マミアが拘束して蔓薔薇屋敷の地下牢に収容されていた。


 マミアは身重の姉ハミアに化けてベッドに寝ているところを刺客に襲われた。難なく犯人を取り押さえたマミアだったが、その際に頬に小さな切り傷を負ってしまった。本人はまったく気にしていなかったが、それを知った姉のハミアは額に血管を浮き立たせながら激怒した。


「貴様がマミアに傷を……! ハミアが竜の業火で焼き尽くしてくれるわ! 待っていろ、すぐに竜を呼んで……!」


 ちょうど蔓薔薇屋敷の地下牢から、正式な囚人牢獄棟へと連行かれるところだった刺客に対して、ハミアは掴みかからんばかりの勢いで怒鳴りつけた。


「あね様、あね様、マミアは無事だ! そんな体で竜に乗ってはならぬ!」


 今にも身重の体でドラゴンに騎乗しかねないハミアを、マミアが慌てて制止している。それを見て車椅子の上でネイスが微笑んだ。


「ふふふ。一見すると妹のマミアがシスターコンプレックスであるようだけれど、ハミアもなかなかですね」


 自分のために激怒する姉ハミアを見て、妹マミアは困ったような顔はしつつも嬉しそうに笑っていた。


「ところでレティシア、あなたはいつから黒幕がガブリエル様だと勘付いていたのですか?」


 首を傾げながら尋ねるネイスに、レティシアは小さく眉間に皺を寄せながら答えた。


「勘付いていたということはないのですが、ずっと違和感はあったのです。ブロアードでゴブリン騒ぎが起きた時、ネイス様があの方に辺境伯軍派遣を要請されました。しかし、『決してルシエル様をブロアードに近付けないように』と注意書きをしたためられたのにも関わらず、ルシエル様はいらっしゃいました」


「でも、それはたまたまルシエルがわたくしの手紙を見てしまっただけでは?」


「ガブリエル様ともあろう方が、そんな失態をなさるでしょうか。ネイス様のお手紙を見たらルシエル様がブロアード地区に飛んで行くのは明らかです。自らの甥に対して、わざと手紙を見せて、死地となりうる場所へ行くよう仕向けたのでは……? という疑念が湧いたのです」


 レティシアの言葉にキーリィが頷く。


「なるほど! それで、今回は逆に陥れるために、ブロアードのマフィアをガブリエルに取り入らせて、ひと芝居打ったってこと?」


「はい。かつてマフィアと関係を持ったガブリエル様なら、今回もまた便利な手段として使いたがるだろうと思いまして」


 レティシアの言葉に、キーリィが呆れたように溜息をこぼした。


「相変わらず、やることがえげつないわ、あなたは」


「ふふふ! それは誉め言葉ととってもよろしいでしょうか、キーリィ様?」


「まったく、口が達者ね、あなたは!」


 キーリィが二度目の溜め息をついた時、庭園の入り口に大きな人影が見えた。


「やあ。側近たちが口煩く今回のことを聞いてくるから逃げてきたよ。まったく、レティシアがすべてを差配していたから危ないことなんてなかったというのに……レティシア、今回もありがとう」


 ルシエルに微笑みかけられた途端にレティシアは口を閉じて赤くなり、キーリィの後ろに隠れる。


「まったく、あなた、作戦は大胆なくせに恋には臆病ね」


 そう言ってキーリィは赤くなったレティシアの頬を指で突きながら、ニヤリと笑った。彼女たちの様子を見てクスリと笑ってから、ネイスが言う。


「皆さん、疲れたでしょう? お茶にしましょう。南国の良い銘柄のお茶が入ってきたのよ。陽気も良いし、ガーデンテーブルでお菓子も出して頂きましょう。ルシエルも一緒に召し上がって」


 皆がガーデンテーブルに移動し始めると、メイドに抱きかかえられていた伊織が目を覚ました。


「うーん……おやつ食べるの~?」


 眠そうに目を擦る伊織に、ネイスが優しく声を掛ける。


「伊織は眠かったら休んでいてもいいのよ」


「伊織、もう眠くないもん! 伊織もお茶飲むもーん!」


 勢いよくメイドの腕から飛び降りた伊織は、ネイスのメイドに代わって車椅子を押し、テーブルに向かう。


 メイドたちはネイスの指示に従ってすぐに茶器とお茶菓子を用意した。


「ルシエルと皆が無事でよかったわ。おかえりなさい、皆さん」


 優しく微笑むネイスに、ルシエルと帰宅組の夫人たちが次々と「ただいま」を言っていく。


「ただいま帰りました、ネイス様」


 最後にレティシアが言うと、ネイスも微笑みながら頷いた。


 夫人達が微笑み合い、カップをとって談笑し始めた。甘いお茶菓子の香りと、芳しい紅茶の香りが庭園を満たす。それはいつもと変わらない、蔓薔薇屋敷の光景だった。


【終わり】

こんばんは、フミヅキです。ここ数日更新できずにすみませんでした。やっとお届け出来ました。そして、今回のお話で「辺境伯の第六夫人! ~奥様たちは特殊戦闘員~」は完結となります。


ブックマークしてくださった皆様、評価ポイントを入れてくださった皆様、ありがとうございました。楽しんで読んでくださっている方がいるんだなと思うと嬉しかったですし、更新の励みとなりました。

読んで頂いた皆様も本当にありがとうございました。


このお話は仲良しハーレムの夫人達の友情や信頼関係(プラスほんのちょっと切ない恋愛模様)を描いてみたいと思ったのと、個性別々な夫人たちが異能を活かして協力して事件解決していく様子を書いてみたくて作ったものでした。そして、そんな夫人たちが惚れる夫は一番チートでなければならぬということで、ルシエルはあのようなキャラ造形となっております。

ストーリー展開に関してちょっと急ぎすぎて実はちょっと直したいというか、補正を追加したい部分もあるのですが(蔓薔薇屋敷に刺客が潜んでいる部分はちゃんと伏線をはっておいた方がよかったかな、とか……)、スピード感も大事かなぁ?と思うのでこの形としておきます。


繰り返しとなりますが、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。このお話を楽しんで頂けていれば幸いです。

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