大人になるということ
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いつか川の流れに落とした涙はいつの間にか流れなくなった。
一度も泣かなかったあの映画ではこんなに泣いているのに。
どこが変わったかなんて考える暇はない。
今考えるべきは昼時の会話のネタ。
ああ、大人になったんだ。
私は、大人になったんだ。
あの日見た親の背中、それだけを覚えてる。
・
いつかラジオに送った夢の話はいつの間にか諦めてしまった。
一度も見ようとしなかったことにはこんなに向き合ってるのに。
どこが変わったかなんて考える暇はない。
今考えるべきはこの方々の対応。
ああ、大人になったんだ。
僕は大人になったんだ。
あの時見た夜の街、美しさを覚えてる。
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どこが変わったかなんて考える必要も無いさ。
ああ、大人になったんだ。
俺は、大人になったんだ。
あの子の無邪気な笑顔、もう戻れないから
俺は、大人になったんだ。
大人になってしまったんだ。
背中も街も笑顔も全部、
覚えてる。覚えてるよ。
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絶対は相対になって、諦めた事は増えて、
時間だけが過ぎてって、騒ぐ頭に蓋をして、
笑えない顔に仮面を。
ああ
あの頃飛び込んだ大人の世界
上を見ればキリがなくて
報われない努力ばかりだけど
覚えてるから、
子供のままでいたい