小さな精霊たちは、悪役令嬢を助けたい
話の展開が早過ぎて内容分からなかったらすいません…
(※前に投稿した「宰相の裏話」と似ている部分があるかもしれませんが別の話なので気にしないでください。)
僕は、どこにでもいるちっぽけな下位精霊。花から生まれたから花をちょっとだけ操れるだけの存在。
今夜は夜会だから人が多いみたい。星が美しく輝いてて彼女みたいに綺麗。
僕はいつものように、王城の庭でみんなとふわふわして遊んでた。すると、1組の男女が出て来て、男の方が急に大きな声を出した。あの人は確かここに住んでる王子って呼ばれてる人!
「俺はお前との婚約を破棄する!!」
どうやら、元から庭にいた彼女に向かって叫んだらしい。彼女はハッと振り向いたあと、王子と言い合いを始めた。
彼女は少し前に、王子と結婚の約束をしてるって言っていたけど、ある日を境に嘆き始めた。
僕たちが「大丈夫?」って聞いても誤魔化されちゃった。心配になって上位精霊に相談したら、王子が浮気してるんだって聞いたから僕達は怒ったんだけど、彼女に止められちゃったから仕返しはやめておいた。でも、今回また悲しませるのならやり返してもいいかな?
「私は何も知りませんわ!濡れ衣です」
「そうやってまた白を切るつもりか!?今日は許さんぞ!」
王子に責められて、彼女は涙を瞳にたたえているけど強かに言い返している。
彼女はいつも優しくて、僕たちは大好きだ。だから泣かせたのなら許せない。
王子の後ろで一緒に来てた女が泣きそうに見えるけど、本当は嘲笑ってる!演技が精霊に通じると思うなー!
水の精霊さんたち、出動ー!彼女を悲しませた二人に仕返しだー!
りょうかーい!
バシャャーーー!!
「な!?何事だ!まさかお前、腹いせに魔法を?」
「酷いですぅ!まさか、まさかこんなことぉ!!」
えー!?違うのに…僕たちの怒りに気付いてよ!特に王子、王家の血が濃いほど僕達精霊のこと認識出来るんだから僕たちのこと見えてるはずでしょ!?
もー!僕らが彼女を守ってるから風の精霊さんたちは「これ以上彼女を傷つけると本気で怒るよ」って王様に伝えてきて!
任せてー!
とりあえず、この庭の薔薇を使おう。薔薇のトゲは刺さったら痛いよ?
王子たちが何か言ってるけどめちゃくちゃすぎてあまり分かんない。彼女を捕らえようとしたのかこれを攻撃と見なしたのか、王子が炎魔法で攻撃してきた。
炎の精霊さんたち出動-!炎を打ち消してー!
おっけー!
しばらくすると、慌てて王様が庭に出てきた。好奇心旺盛な貴族達もぞろぞろとそれに続いた。
「バカ息子がぁ!!なにをやっとるんだ!」
「父上!何って、断罪ですよ。彼女が虐めを行うような悪女だから婚約を破棄して罪を自白してもらおうと。そしたら魔法で抵抗してきたので…」
「バカ息子、それは魔法じゃなく、精霊様のお怒りだ」
「え?精霊様?」
錆びた金属のように、王子がぎこちなく辺りを見回す。途中で僕たちを視界に捉えたらしい。
ようやく自身の愚かさを悟ったのだろう、顔が青を通り越した土色になり始めた。
「いつの間に………」
「むしろなぜ今まで気づかなかったんだ」
「私も流石に呆れてしまいましたわ」
「……そんな…いつ…どうして…」
王様は大きな溜め息を一つはきだした。
もはや王子の声はかすれていて、かなり聞き取りづらい。可哀相ではあるけれど、彼に同情する者は誰もいない。
ヒソヒソ…恋は盲目にも程がありますわね…そうですわね…私達も気を付けなくてはね…ヒソヒソ…
そんな中、王子と一緒にいた女がフラリと僕たちの方に近づいてきた。
「精霊様、私には見えないけれどそこにいらっしゃるんですよね?なら、どうして主人公の私の味方をしてくれないんですかぁ?主人公がこんなに困ってるのに」
主人公?何それ。上位の精霊なら分かるのかな?
まあ、それが何にしても、精霊王や上位の精霊とかでないなら僕たちが従う道理は無いよね。それに、彼女に濡れ衣を着せたこと、許さない!僕たち精霊はどこにでもいるから分かってるんだ、彼女が何もしてないって。
王様が通訳してくれたから、その場の全員に伝わったみたい。
その後、王様が頑張って騒動を収めてた。結果は、婚約を彼女に非は無いって認めた上で破棄することになった。それで、王子と女はそれぞれ廃嫡。
僕たちにはその結果が良いものなのか分からないけど、彼女が笑ってたから大丈夫なんだと思う。
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