9話 家族との別れ
「へぇ~、思ったより可愛いじゃん。彼女にしたいくらいだよ。ブフッ」
弟は笑いながら冗談を言ってきた。私が死んだ時は反抗期で私とほとんど会話をしなかったため、冗談をいう弟が少しだけ懐かしくなった。
「でも、中身姉ちゃんだしな」
「はぁ、黙らっしゃい」
「まぁまぁ、落ち着け」
「そうそう。聞きたいことは沢山あるけど一番大事なことだけ聞くわ」
父と母が間に入ってきた。
「きちんとした生活できてるのか?」
「恋人とかできたの?」
「姉ちゃん強いの?」
父、母、弟の順で聞いてきた。まぁ答えてあげよう。
「生活は、つい最近両親が事故で死んじゃって、孤児院とかに預けられそうになったから兄と妹置いて家出してきたの」
「璃奈ならまぁ大丈夫だろ」
父よどこからそんな自信が出てくるのだ。
「恋人はできてない」
「やっぱりね。あなた前世でも死ぬまで処女だったしね」
「失礼な!ちゃんと今回は恋人作ります~」
「まぁ、頑張りなさい」
むきームカつく。深呼吸して落ち着こう、すぅーはぁーおっけい
「強さねぇ、親が商人だったし小遣い稼ぎのためにモンスター狩ってたしまぁまぁ強いんじゃない?」
「おお、すげえ。さすが彼氏なしでRPGゲームを極めて上級者になっただけはある」
「一言多いわっ!」
べしっ
「いてっ」
弟は私が叩いた頭をさすさすと撫でている。ふんっ自業自得。
急に頭に声が響いてきた。
「もうすぐそっちの世界は朝になるよ。はやくお別れ言ってね」
あら、もうすぐ朝になるらしい。時間がたつのが早く感じる。
「もうすぐそっちじゃ朝になるらしいわ。じゃあお互い元気に暮らしましょ」
「「ああ」」
「そうね」
「じゃあ、行くね」
「「「頑張って」」」
3人の声が揃って聞こえる。ああ、もう会えないんだな。ちょこっとだけだけど涙が出てきた。