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34話 杖に気に入られました

驚いて、杖を離そうとしても手が思うように動かない。

「気に入られたようだね」

「えっ!ちょっ!なんですか?!これ?!」

「杖に選ばれたってことさ。高位の魔宝石は持ち主を選ぶからね。だから、僕は持ち主とは言えないかな。持ち主じゃなくても使えばするけど」

「この、リボンみたいなのは?」

「それは杖から出た契約呪だね。もうすぐ消えると思うよ」


あれ?害ないの?このリボンに腕から魔力とか色々吸い取られてる気がするんですけど。

「後、これはどうやって使うんですか?」

「適当、適当。なんか呪文みたいなの唱えれば使えると思う。僕、それで使えたし」


いや、そういうの大事なんじゃ。あ、もしあっても古代文字とかだったら私の唱えられないか。

「あ、杖ホルダーもあるよ。はい」


あら便利。

「ずっと、腰につけとくことができるんだ。はいつけてあげるよ。お風呂とかに入る時以外は付けててあげて、その方が魔力も貯まりやすいし、杖も喜ぶから。僕は使ってなかったのかって?僕は預かってただけだからね、ふさわしい人が現れるまで」

「そうですか」


顔に出てたみたいだ。


ホルダーを付けてもらったのだけどまだ手から杖が離れない。

『書類の翻訳が終了しました』

シュッと、どっさりした紙の束を浮かせたオトが帰ってきた。

ブンブン手を振っていると、まるで糸が切れたように杖が手から離れた。

それと同時に瞼が重くなった。手も足も言うことをきかない。

私が最後に見た光景は、杖が浮き上がり私の腰のホルダーに収まるところだった。

夏@工房さん感想ありがとうございました!


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