14話 食べれる実
エルシヴィアを包み込んだ薄緑の光は空気中に溶け込むように消えた。残ったエルシヴィアの傷は完全に消えていた。
「眼は視える?」
「.......凄いですね、視えますよ」
ぱちぱちと瞬きをして、周りを見回すと答えた。
暖かいものに包まれているような気持ちになった。とても優しくてそれで、守ってくれるような、まるで誰かに抱きしめられているようだった。その優しいものが消えたら。
「眼は視える?」
僕を買った声からして少女だろう人に声をかけられた。
ゆっくりとまぶたを持ち上げると久しい木漏れ日が見えた。周りは森で僕達以外には誰もいない。
改めて見ると普通の少女だった。どこも特別なようには見えない。さっき使ったのは回復石だろう。普通の人の魔力でも擦り傷や切り傷のような軽い怪我なら治すことが出来るが、僕の眼のような重傷を治すほどの魔力は気いたことがない。魔力が多くてもせいぜい深い切り傷だろう。この少女はどれだけの量の魔力を誇るのか。
エルシヴィアの瞳の色は若葉のような美しい薄緑をしていて、エルシヴィアの中性的な顔とあわさって森の精霊のようだ。
「はっ、早く帰ろう」
いけない、いけない見とれてしまっていた。
「行こう」
「こんな森の中からどこに行くのです?ここを動くとモンスターがいて危ないでしょう」
「いえ、大丈夫よ」
「左様ですか」
2人で森の中を歩いていると、甘い匂いがどこからともなく漂ってきた。
果物だろうか。そちらの方へ歩いてみると、見事な黄色の果実がたわわに実った木があった。
「エルシヴィアさん、この木はなんて言う木ですか?」
「これは、珍しい。マユラトルではありませんか。食べることが出来ますよ」
そう言われて安心した。8つ9つ程木から収穫して、異空間に入れた。ダンジョンに帰ってから食べよう。
更新が少なくて申し訳ございません(´・ ・`)
頑張ります!!