隣国へ
昨日、何も考えずに引き込もって寝た王都の宿屋で、朝になって下の食堂にに朝食を食べに降りた。
朝食のパンとシチューを食べながら、これからの事を真剣に考える
お金は手に入った。次は、この先どうするかの指標にもなる情報を集めなくてはならない。
食堂にいる人達の会話に聞き耳を立てる。
『最近、また魔物が活発になった』
『近々、また税が上がるらしい』
『地方では災害があって農作物が壊滅的らしい』
『また、近隣の国に喧嘩を売ったらしい』
『怪しげな奴等がまた街にやって来たらしい』
どれもこれも不確かな噂ばかりだったが食堂で得られる情報などこの程度だろう。
だが、噂になると言うことはそれだけ多くの人が知っているという事だ。
何割かの噂は当たっているだろう。
そして、この国は私が知っている頃と何も変わらない。むしろ、悪くなっている。
もう少し情報を集める必要、特に王宮方面の情報を集める必要はあるけれど深入りせずに噂程度の情報をあつめたら、即刻この国を出よう。
猶予はあと二日ってとこかな。
食堂を出た後、目立たないように全身を被う外套をきてフードを被り噂が集まる市場に行った。
市場で保存食を買い込みながゆっくり歩いて噂を集める。
食堂で聞いた内容とあまり変わらないけれど気になったのがあった。
『王宮で亡くなったはずの第二王子をみたらしい』
『新たな魔王が出たから勇者が討伐に行くらしい』
『王宮に泥棒が出たらしい』
『泥棒を騎士団が血眼になって探しているらしい』
亡くなったはずの第二王子は間違いなく羽山だろう。
新たな魔王はわからないけれど、泥棒は恐らく私のコトだろう。
暗殺者が失敗したから泥棒として殺したいのだろう。
そうなると、余り時間がない。
もう少し様子を見てからと思っていたけど、今夜にでも王都を出たほうがいいらしい。
私は宿に戻って仮眠を取り夜になるのを待った。
夜になり人があまり居なくなってから宿を出た。
夜になり更に人通りが少なくなった路地裏を通りながら、夜逃げする人や犯罪者が使う外壁の抜け穴に行った。
前世の記憶だよりでまだあるか不安だったけどあってよかったか。
バカみたいに高い通行税を払うことになるけど、捕まるよりましだ。
外壁の穴は私が思っていたより小さかった。
細身の成人男性が通るときにあちこち擦りむくだろう大きさで、体格のいい人ならまず通れないだろう。
(よかった。小さくて。)
通行税は私が記憶していた時より高くなっていた。
一エシルが大体、十円で銭貨一枚。リンゴが一個百二十エシル、穴銅貨一枚と銭貨二枚。
千エシルで丸銅貨一枚。
一万エシルで小銀貨一枚。
十万エシルで大銀貨一枚。
百万エシルで小金貨一枚。
一千万エシルで大金貨一枚。
あとは、白金貨一枚が十億エシル。
大人が一人で一ヶ月過ごすのに切り詰めれば大体十万エシルあれば足りるかな?ぐらいで、昔の通行税は大銀貨二枚の二十万エシルだったけど今は小金貨一枚の百万エシルだった。
余りの高さに唖然としたけど、払わなければ通れないなら仕方ない。百万エシルを払った。
穴を出たあと、どの方向に向かったのかわからなくするために自分に周囲と同化する魔法をかけて歩き、森の入り口まで来たら走り出した。
何人かがうろうろしながら此方に向かっている気配があったので振り切るためだ。
夜に歩いて森を抜けるのは自殺行為だけど、逆にここまでの速さで駆け抜けるなら大丈夫だ。
森を抜けて山道をしばらく歩けばお隣の国だ。
魔法で強化して風で推して重量で軽くすれば朝には隣国だ。
予想通り、朝日が昇る頃。お隣の国の関所にたどり着いた。
頑張りました。
書いていて、自分でも訳がわからなくなりましたが勢いに任せて最後まで書きました。
暖かい気持ちで読んで頂けたら嬉しいです。