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前世の記憶

 セインティア王国の下町のパン屋に産まれた私は、平凡なちょっとお人好しな両親のもとに生まれて平凡に暮らしていた。

 産まれた時から自分は前世の記憶があって同じ年の子供より大人びていた。

 同時に興奮していた


 だって、剣と魔法のファンタジーな世界ですよ!

 しかも、自分も魔法が使えるとなれば大興奮でしょ!

 そんな訳で、私は子供らしい無邪気さを大いに生かしてありとあらゆるものを覚えられるだけ覚えた


 街の端に隠居している魔法使いが居ると聞けば、相手が折れるまで通いつめ魔法を教えてもらい

 スラムに昔は冒険者として活躍した剣の使い手居ると聞けば、通いつめて剣を教えてもらい

 街に来る商人が実は腕のいい諜報員らしいと噂を聞けば、通いつめて諜報に必要なありとあらゆる技術を教えてもらい

 宝石商が実は腕のいい錬金術師だと聞けば、通いつめて錬金術の極意を教えてもらい

 古本屋の店主が実はあらゆる国に精通している魔道具職人だと聞けば、通いつめて魔道具の作り方を教えてもらい

 街のあちこちで子供の見た目を利用して

 ありとあらゆる事を教えてもらった

 おかげさまで、十五歳の成人を迎える頃にはかなりのチート野郎になっていたと思う。


 事実、しょっちゅう「ウチで働かないか」と声を掛けてくる人が沢山いた。

 だが、断る。

 私は、両親の跡継ぎパン屋さんになるのだ!

 パン屋なのに何でもできる突っ込みどころ満載のパン屋さんになるのだ!

 今の私に必要なのは、私と一緒に頑張ってくれる素敵な旦那様だけなのだ!


 旦那様、絶賛募集中!


 そんな日々が続くと思っていた。

 けど、ある日

 魔物が増えて街を守るための費用がいるとかで

税金が増えた。

 増え続ける税によって少しずつ生活が苦しくなって行った

 税は増えるのにちっとも魔物の被害が減らない。

 これ以上は払えない。皆がそう言って私の住んでいる区の代表が役人に嘆願に行ったけど帰って来なかった。

 みんな不安になって役人に聞きに行ったけど、

そんな者は来ていないって言われた

 だから、私が独自に調べた。

 その辺の店と違って調べる場所は王宮だから気合いを入れて調べた

 そしたら、すんなり侵入できた。大丈夫かな?この国。

 って思った。

 調べたらやっぱりヤバかった。この国。

 魔物の被害は確かに増えているけど、税を増やす程じゃなかった。

 なら、何に使ってるの?って思ったら貴族達が豪遊していた。

 あちこちで毎日のように開かれる貴族達のパーティー

 王妃や王女は毎日のようにドレスや宝石を新調して

 国王や王子は珍しい絵画や武具を買って

好き放題していた。

 マトモじゃないとは思っていたけど、ここまでイカれてるとは思わなかった。

 嘆願にいった代表は殺されていた。

 静かに去り家に帰って来た私は、この後の事を思った。

 私の予想通りならこれからもっと酷くなる。

マトモな生活は出来なくなり。スラムから人が溢れ、病気の者や餓死者がでて。治安が一気に悪化する。それに魔物だ。

 確かに増えているけど、そこまでじゃない。

 問題なのは一匹一匹の魔物が以前より強くなっている事だ

 強い魔物が居ると言うことは、それを統率するさらに強い魔物がいるってこと。

 これが、一匹や二匹じゃなかったとしたら?あちこちで強力な魔物が出たとしたら?

 それは、魔物が増えるより厄介なことじゃないだろうか?

 強い魔物が増える理由は色々あるけど、おそらく魔王の復活が近いのだと思う。

 古い文献に書いてあった。魔王が復活する時、それに合わせたように魔物も強くなると

理由は不明だった。

 そんな事より、全く対策をしていないこの国にいたら未来がない。

 魔王のことがなくても、税が増え続けたら払えない。

 そうなれば、行き着く先はスラムか身売りか奴隷のどれかだ。

 なるべく速くこの国を出なければ。

 お父さんとお母さんに話したけど、聞いてもらえなかった。

 「そんな訳ない」「この国を捨てられない」「この国を出て何処に行く」

 全く聞いてもらえなかった。

 そうこうしているウチに税を払えなくなった人達が、街を出ていくようになった。

 人が減っても税は増え続ける。

 とうとう、街を出ていくは禁止されるようになった。

 それでも、税が増え続け払えなくなって夜逃げする人がで続けていた。

 減った人を補充するかのように、街に怪しい者が増えていった。

 そして、比例するかのように治安も悪化していった。

 そして、とうとう私の師匠達ももうこの国にはいられないと出ていった。

 私も一緒に行かないか?って誘ってくれたけど断った。

 出ていくのが見つかれば、酷い拷問をされるから見つからないように逃げる。

 師匠達は大丈夫だろう。


 私の家は逃げなかった。

 というより、逃げられなかった。

 人の良い両親は他の人を見捨てられなかった。

 赤字になってもパン屋を続けていた。

 その人の良さに漬け込まれて、とんでもない借金を負うはめになった。

 もう、どうにもならない所までいって始めて話された。

 そこからは、もうあっという間だった。

 借金のかたに私を奴隷として連れていくと言われた。

 抵抗すれば私と両親くらいなら逃げられると両親は知っているはずなのに抵抗しなかった。

 それどころか、私が色々な事が出来ると借金取りに話してしまったのだ。

 この時になって始めてわかった。お父さんとお母さんは人が良いのではない。

 ただの臆病者だったのだと。


 そして、私は売られた。

 隷属の紋という主に逆らえないようにする魔術が施された焼き印を手の甲にされて。

 売られた先は王宮。主は第二王子だった。

 それから、私は地獄を見た。

自分なりにシリアスにしたつもりです。

伝わらなかったら、ごめんなさい。

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