8章 ズレたボタン
僕はもっと君を傷つけるようになる。
君を離さない例え死んでも…。
君「ごめんね あまり会えなくて
ちょっと忙しくて…」
僕「そう…僕なんかやっぱり
いらなくなった?
やっぱりあの言葉は嘘だったん
でしょ?
僕を騙して何がしたい?」
僕は呆れて諦めた感じで君に言った。
君「違うよ 私は好きだよ
けど私の問題なの 色々あって
迷ってる事があって考えたり
してて…」
君はこんな私なんかもう好きじゃなくなったよね?という感じで話した。
僕「僕は君に会いたい 一緒にいたい
ただそれだけなのに」
君「うん わかったよ
もっと会えるようにするから
けど、時間が作れない時は
ごめんなさい」
僕「やだやだ!一緒にいれないなら
いらない どっかにいってしまえ!
いつもヒラヒラしているだけで
何が忙しい?」
また僕は一気に爆発した。
僕は、僕以外に愛する者ができたんだと
疑った。
僕は、君のそばにいるであろう存在を疑って、駄々をこねた…。
君が僕以外を愛するという現実に気づくのが嫌でわざと嫌われる風にもした。
君は僕とは違うひらひら自由な紋白蝶
誰に愛されていても仕方ないんだ。
食べてしまわない限り、君を僕の者だけにするのは難しいのかな…?
君「…そっか…けどね
私は…ううん何でもない
離れた方がいいのかな…?」
君は最後になるような言葉を吐き捨てた
僕「……っ⁉」
君「なんかダメなの…わかってはいる
のに…私の問題なの…
もうなんか消えたくなる」
嘘つきめ!嘘つきめ!嘘つきめ!
他に愛する者ができただけのくせに…!
大っ嫌いだ…嘘ばかり言うお前なんて
大嫌いだ…
離れてやるさ…
けど、無理だった。
君のそばにいたかった。
僕の心を溶かしてくれた君のそばに
僕「僕はこんなに好きなのに
好きなのに 信じているのに
そばにいてよ…?
一緒にいてくれるって言った
じゃない…」
君は泣き出しそうになり、少し黙って
考えた。
君「…一緒にいるよ やっぱり好き
だから 私のエゴかもしれない
けどね?やっぱりあなたと
離れたくない」
僕は少し安心した。
君がいなくなると思うだけで
こんなに苦しい。
僕「ありがとう…君が好きなんだ」
ごめんね…あの時、
僕は愛を振りかざして
今思えばホントは一人に
なりたくなかっただけ。
嘘つきな君に負けたくなかった
だけなのかもしれない。
君を見えない糸でがんじがらめにして、
君の優しさを利用して離さないようにしたんだ。
もう、それしかなかったというのもあるけれど。
僕はどんな手を使っても一緒にいたかった。
こんなに強すぎる愛。
これは神にも何にも勝る「真実の愛」
なのではないか?
これを手に入れれば、僕はもう
神も怖くないし、君を縛り食べなくても
君はずっとそばにいてくれて
僕の者だけになるんじゃないか?
僕はこう考えるようになった。
僕の優しさは偽りで
僕の心の醜さが本当の自分。
君に嫌われたくないから嘘をついた
君にそばにいてほしくて嘘をついた
君が離れていかないように
僕は少しずつ君の心に糸を張って
君が離れていかないような
僕を演じ始める。
君もそうだったのか?
君も嘘つきだからさ
僕「絶対会いに来て
今度からは自由に使える時間は
僕のそばにいて」
僕は優しく君に言う。
君「うん」
君は少し安心して見せる。
僕「ごめんね
君に会いたいだけなんだ」
君「うん わかってるよ」
僕「ありがとう」
僕はそう、嘘つきだから…
優しい時は優しく
だけど沸点はとても低く、少しずつ
言う事を聞くように。
僕「なんで?言う事が聞けない?
僕を助けてくれると言っただろ?」
君「ごめんね」
僕「なんで?あいつなんかと話す
必要がある?誰にでもそうやって
この八方美人が…!!」
君「ごめんね」
僕「なぜ僕以外と話す必要がある?
僕に何を思わせたい?
嘘ばかりつきやがって
犠牲者がっ!!」
君「うん ごめんなさい
もうしないから…気を付けるから」
僕「ごめんね 好きなんだよ?」
君「…うん」
僕「わかってくれてありがとう」
初め、君のしてくれた色んな世界
の話し、色んな君の話しを聞く事すら
憎くなった。
君の優しさは偽りで
君の心の醜さが本当の君。
僕に嫌われたくて嘘をついた。
僕のそばにもういれなくて嘘をついた。
何十にも重ねた君の嘘は
何が嘘で何がホントなのか
わからなくなるほどだった。
僕「どうせ僕は蜘蛛だから
何をしてもいいと
思ってるでしょ?」
君「そんな事ないよ」
僕「嫌われ者だから
どうせ味方なんていないから」
君「そんな事ないよ 好きだよ」
僕「僕のどこが好き?」
君「私の悪い所を怒ってくれる所
ホントはあんなに優しいもの
ごめんね…」
僕「ううん 大丈夫だよ
ねぇ?大好きだよ」
君「…うん 大好き…」
「真実の愛」を手に入れれば
こんな事しなくても君は僕の者に
なるんだ。
だから、君は僕を
好きでいてくれたらいい。
誰にも邪魔されない
君と幸せに愛し合える場所を作る。
そしたら、僕はもう誰からも白い目で
見られる事なんてなくなる。
君といても誰にも変に思われない
みんな祝福してくれるように
きっとなる…。
悲しげにズレた愛を育む僕らは
もう最後まで行かないとわからない。
一個ズレたボタンのように、最後まで
行ってみないとズレていた事にすら
気づけない。
儚くそれでも優しい月が満月になる頃
素直に泣けない僕らの戻れない恋…
鈴虫達が僕らの悲しい心変わりを
肩代わりして鳴いてくれていた…。