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5章 臆病な蜘蛛

僕が勘違いしてたんだね?

君と一緒にいるうちに…

僕は紋白蝶じゃない。


空なんか飛べない、君と一緒に飛ぶ事

さえできないんだ。


どれだけ君に空からの世界を聞いても。

どれだけ君に悪者じゃないんだと言われても。

どれだけ、君と一緒にいる事を望んでも

どれだけ、君を強く強く愛しても…。


 僕は弱い弱い蜘蛛なんだ…

僕の狭い世界では僕は1番

全てが僕の思い通り。

けど、1歩外に出れば僕は嫌われ者。


他の生き物を傷つけ食べてしまう、

糸で縛りみずからは戦わず楽をして

生きる卑怯者。

君と出会ってから、僕はこんなにも醜く

汚いんだと知らされただけだった。


君は僕の何を愛してくれた?

違うよね?君は僕を愛してくれていたんじゃなくて、僕を助けてあげたいと最初は思っていただけなんだよね?

僕があまりに可哀想だから…


いや、それも違うのかな?

自分の孤独を埋める為に、僕を利用していただけなのかな?


僕も他の虫達と同じだね…?

君が神の王国から来ているからって

いい子と勘違いした。

初めはこんなはずじゃなかったのにな。

君を偽善者としか思わなかったのに。


神の使いか?罰を与えに来たのか?

僕はそう思ったりもしていた。


けど、君に間違いを教えてあげる。


僕は、君の考えが僕に凄く似ている事に

気づいていた。

誰かを利用し、自分の存在価値を

誰かに認めて欲しがる。


寂しがり屋で、誰かを一途に愛する事を

失う事を誰よりも怖がる。

信じたいけど、心の奥の底では

自分のメリットしか考えず、

その自己満足で自分を満たす。


満たされなければ偽善者を作り

いい自分を演じる。


そのうち、演じてない自分の事は

誰も愛してくれない…

ホントの自分を見せたら、

みんな離れて行ってしまう…


そんな孤独の闇に堕ちて自分を見失う。

それが、僕と君の中にあった負の連鎖。


けど君は、自分より下だと思った僕に

優しくする事で自分の価値を確かめる事ができ、そこで 必要とされる「自分」が出来上がり、満たされていただけなんだろうね…。 


分かっていたのに、僕は今更君を

失うのが怖かった。

この愛を失う事が怖くなっていた。


その無邪気な暖かい優しさが例え嘘でも

誰よりも何よりも僕を傷つけると

知っていても

それを…君のくれるものを…

愛と勘違いしていてでも、

僕は君に本当に愛されていると

信じていたかったんだ…。


僕は心なんていらない。

自由が手に入る翼もいらない。

この心に光りもいらない。


空想の神も、幻想の「真実の愛」も、

唯一信じている残酷な紅い月(運命)

もいらない。

僕は、君を作る要素が欲しい。

闇に引きずり込んででも君が、

君が欲しい…。


君は僕の心を騙して縛り食べた。

空っぽになった僕の心は

何もなくなった。


返してよ?

こんなに苦しいなら…ってね…

ワガママで独りよがりな願いだね。

蜘蛛を食べる紋白蝶なんて

聞いた事ないよ。


 君の間違い、偽りの優しさで僕に

近づいた事。

悪戯に愛を教えて、僕と一緒にいた事。


後1つ、これが1番の君の間違い…

それは僕にホントに愛されてしまった事…。


 僕はなんで君と出会えたんだろうか?

会えてよかったのかな?

不安と不信は僕をもっと深い闇に堕として、嫉妬と嘘は僕を醜く変えていった。


あの時僕は、君をとても可愛い

僕にとっては天使だと思っていた。


綺麗で汚れがなく、いい子で無邪気で

純粋で笑顔も声も瞳も大好きだった。

けど、全てが嘘で僕はまた信じるものを無くした。


そんな天使いるわけなかった。

僕は夢を見ていただけなのかもしれない…。


考えが似ている事には気づいていた。

理解もできていた。

けど、僕とは違うと思いたかった。


君が汚れた神の王国の者なんて

僕は気付きたくなかった。


こんな汚れたくだらない世界で

僕は何を信じてしまっていたんだろう?


神のせいか?アイツがちゃんと教えず

見ていないから!

結局、崇められているだけの神さ。


何も出来やしないし、

結局君には気づけない。


なんてね…僕のした事を神のせいにしただけさ。

君も結局、神の名を利用して好き勝手

やっていただけなんだろう?


けど、どんな理由があっても僕は

君を許せない。

って、悲しいけど今も思っている。


大好きな君よ…?

君は今、何を思っている?

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