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22章 孤独の果てに

 あんなに強く降っていた雨が

嘘みたいに晴れ、青空が広がった。


僕「もういいか…そろそろ苦しむのも

  終わりにしてやるか」


僕は、君を想い作った巣を出た。


君が出ていってしまった、

君をどれだけ待っていても戻ってきて

くれなかった巣を出た。


 この呪縛とも縛りともお別れだ。

新しい世界に行く事にした。

心は空っぽになったけど、この場所から

離れる事で君から離れてあげる。


 前の見えづらい腫れた目で

軽く笑いながらこの場を去った。

行く前に、通りがかりのあの蜘蛛と

話してから行きたかったけど

あの蜘蛛はもうどこにもいなかった。

少し残念に思いながら

一歩踏み出した。


何もない新しい世界へ…

僕は自由に生きていく。


ちょっと疲れていただけさ

君との思い出を全て捨てて

僕は普通の蜘蛛に戻る


僕「あそこに行こう! ずっと

  憧れていた向日葵の咲く丘へ」


 太陽が優しく光る中、風が優しく通りすぎる中、僕は前に進もうと歩き出す。


振り向かないように、もう戻らないように。

もう大丈夫!笑顔を作れる。

それが誰かに作り笑いだと言われても

それが精一杯の嘘であっても…。


ひたすら歩き、中立の国を

まっすぐ歩いた

山を越え、谷を越え、君と行った桜の木がある高い山を横目に

大きな湖を過ぎて川をくだった。


そして、深い森を抜け

やっとで向日葵の丘に着いた。


僕は息を切らしながら笑顔を作り

一面に咲く向日葵を見おろした。

ほら?向日葵はこんなに綺麗。


 そんな時、君に似ている紋白蝶が

優しく通りすぎた。

僕は固まった、ゾクッとした気持ちを

抑え、見ないようにした。

確実に君じゃないとわかっているのに

足早に歩く。

振り向かないでそっと思い出を重ねて

呟いた。


僕「どうか笑顔で…

  どうか幸せに…

  今までありがとう」


もう、未練など後悔などない

僕もきっと幸せを見つけるから。


遠い昔に誰かがそういえば

言ってたな

「過去は消せない!」

確かに!今もそれは正しい。

過去は確かに消せなかった。


あの時は消してやると思っていたけど

消せなかった。

今は別にそれでもいい

過去は消せない

別にいいんじゃない?

消す必要がない!


だって過去は過去でしかない。

どんなに消せなくても、もう過去は

過去でしかないんだよ。

それだけ別にいいんじゃない思い悩む事じゃなかったんだな

…時は凄いものだ!


そう考えるとなんか少し楽になった。

後、好きになったのを忘れるのは

無理という結論にも至った…。


君が言っていた


君「変わるものばかりだけど

  変わらないものがあったって

  いいんじゃない?」


そうだね、変わらないもの…

それは過去、君と一緒にいれた日々。

あの時の気持ち、

それだけは変わらないよね?


あの頃の自分は、今の自分。

今の自分は、未来の自分。

自分は変わりはしない

けど、考え方、心は変わる。

それが成長か堕落かの違いだけ。

どちらに転んでも無駄にはならないさ

大丈夫!

僕はもう1人じゃない。


 向日葵の丘に着いて僕は巣を作った。

僕の居場所だもん、仕方ないじゃない?


虫達は言う


虫達「あそこに近づいてはならない」


僕「バーカ うるさいんだよ

  弱い虫達め」


虫達「醜い全てを食べる

   蜘蛛が来たぞ!

   あそこには絶対近づくな!

   心も体も取られるぞ」


僕「ははは 何とでも言え

  僕はここから動かないぞ

  かかる奴が悪い

  そうそう 絶対近づくな」


あの蝶々を失う事が1番怖かったんだから、もう僕に怖いもの何てないさ。


 新しい土地に来ても相変わらず

僕は嫌われていたけれど、仕方ない。

僕は蜘蛛だから闇の国を

どこへでも自由に作れる蜘蛛だから。

それ以外にはなれないよ

最初はこんなもの

その内みんなも慣れてくるさ。


 神も君もいなくなり、あんなに忙しく

色々あったのは夢のようになった。


虚像のような偽造ばかりの君との愛


あの日々があったのは、君といたからなんだな、君を愛したからなんだな。

君がいなくなり、嘘みたいに退屈で

何もない僕の生活は戻ってきた。


神の王国?神の王国者達?

なんだそれは?

そんなものには、普通は会わないんだよ


僕は思いだし笑いをして空を見上げた。


たまに見える紅い月、僕の真っ黒な

蜘蛛の巣

いつもある、孤独に巣食う心の闇

これだけは変わらず今もある。


向日葵の花、新しいうるさい虫達

一面黄色と青の世界。

これからいつもある世界。


これが、君がいなくなった

僕だけの新しい世界だ。


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