16章 裸の王様
僕らは神の王国を掻い潜り、
また嘘をつき、罪を犯し、神を欺き
愛を誓う事を選んだ。
誰も許してくれないこの愛の為に
僕らは神と闇を無視して、
永遠の愛をどの世界にも無断で
誓うのだ!
僕は闇の世界に行って、宝物の紅の闇を取ってきた。
君は僕と一緒に身を隠して、神の王国に
ある、宝物の翠の光を取ってきた。
そして、中立の世界の真実と言われる場所。
永遠を誓う愛の泉に2つの宝珠を捧げる。
永遠を誓う愛の泉、僕らは姿、形。
光と闇、生きる世界は違えど
「真実の愛」を誓う。
それがまた、争いの火種になる事を
恐れずに。
…偽りの「真実の愛」と考えずに。
僕は復讐心が消えなくても、
一緒にいたかった。
君が憎くて許せなくて仕方ない。
けど、君と離れる事は
もっとできない。
これがなんなのかわからなかった。
僕は最初、君といる事を内心は
諦めていた。
今の僕は君と離れる事を諦めた。
僕らはもう戻れなかったんだよね?
引き返せなかっただけなんだよね?
もう互いに「真実の愛」なんてないのに。
ただ、引き裂かれれば引き裂かれるほど
ほどこうとすると、もっと絡んでいく
蜘蛛の糸のように二人を縛って
離さない。
僕の糸が君へと繋がる、赤い糸だったら
よかったのにね…。
生まれ変わったら、今度は同じ姿で君と一緒の世界で陽の差す道を堂々と
手を繋いで歩けるかなぁ?
一緒にひらひら飛んでいれるかな?
それともまた同じで、お互いまたこの姿かな?
そしたら、今度は迷わず、君を食べるな。
それとも、君が蜘蛛で僕が紋白蝶かな?
そうだったら、僕は君を愛せるかな?
愛そうと思うかな?
食べられるかもしれないから、
僕はまず愛そうとしないな。
僕のような蜘蛛に近づこうとしないな。
そんな事を考えていた…。
ただそばにいたい。
初めはホントにそれだけだったのに。
僕らが一緒にいても、何も残せない…
争いと憎しみと怒りしか生まれない。
僕らの子供も、生まれるわけもない。
僕らには、最初から未来なんてなかったんだ。
愛を誓ってからの日々
神の王国の攻撃を受けそうになった。
神側は、何度もまた僕らを突き放そうとしてきたのだ。
「こんなの無効だ!蜘蛛に騙されて
永遠を誓ったんだ!」
偽りでも「真実の愛」を誓った僕らには
誰にも手は出せないのだ。
だから、前みたく僕らを無理矢理
離す事はできない。
僕らは家族になったのだから。
もし、離す事が出来るとしたら、
愛を誓ったどちらかが、愛をなくして
しまう時だけ。
それ以外は、僕らは離す事はできない。
愛を誓ってから、色々あった。
笑い合って、嫉妬で喧嘩をして
もう、仕方ないよねと諦めて
今までで1番そばにいた。
けど、僕らの愛はやっぱり最初だけ
徐々にまた崩れ始める。
…土台のない砂の城。
少し波風が吹けば、もろくも崩れてく。
神の王国は「真実の愛」なら認めざる負えないが、僕に対しての恨みは
ずっと深いものだった。
特に彼女の家族はどうしても許しては
くれなかった。
その諦めの悪いあちらからの攻撃。
彼女は僕と家族になったのに、
神の王国を捨てきれない。
神の王国の家族の言う事も聞いてしまう
彼女にイライラしてた。
僕「もう、なんで言う通りにしない!」
君「してるよ!ずっとずっと!
なのにどうして認めてくれない⁉」
僕「君は僕の者!僕の言う事は絶対!」
君「私は、あなたを裸の王様にする
つもりはないわ!
私の言う事も聞いて!」
僕はずっとイライラしていた。
多分、君も…。
僕「神を裏切って一緒になったん
でしょ?
神じゃなく僕を見てよ」
君「ふふふ…
神なんて…
私の目の前にいるのは何も身につけない
王様だけ…」
君は力なく笑った
もう、神すら信じていないように
こんなに苦労して反対を押しきり、
ここまで逃げてまで一緒になったのに。
思い描いていた、二人の愛の夢は
違っていて、現実は「幸せ」と
呼べるものではなかった…。
そして、僕はいつまでも君に甘えている
裸の王様だった。
そんなある日君は、
ふと僕のある所に気づく
君「あれ?胸の辺り…
こんな血みたいな跡
あなたにあったんだ!」
僕「う~ん なんだかわからないけど
前からあるんだよ」
君「………」
僕「あまり、気にしてないけどね
僕には身に覚えがないし」
君「…そうなんだ…」
僕と君の対立は終わらなかった。
一緒にいたいはずなのに。
お互いずっと一緒にいようとするほど
譲れないものがたくさんあり
僕は、嫉妬もたくさんあり、
君をまた縛るようになる。
苦しくて苦しくて、僕の言った言葉は
僕「もう自由がいいなら自由にしたら
いいよ、僕の言う事は間違い
なんだろ?
僕は君がわからない
僕だけと言って僕だけじゃない
君がわからない!」
君「あなただけと言ってるでしょ?
私をそんなに縛りたい?
そんなに信じられない?」
僕「今更…っ
今更…信じられるはずなんて
ないだろ⁉
僕を裏切り、神を裏切る、
愛してくれた婚約者まで裏切る
君なんて…っ‼」
君「…………っ⁉
そう、そうだよね…
私なんて…そうだよね…
あなたも…そうやって
思ってるよね…みんなと同じ…
ごめんね…そうだよね…」
僕はカッとなると言葉を抑えられない
君は僕を受け入れようとした
僕は君をどこまでも縛ろうとした
僕から逃げてと言わんばかりに
僕は君にきつく当たってしまった。
これ以上一緒にいると
ホントに君を人形のようにして
しまいそうだから…
そしたら、君はホントに
出ていってしまった。
神の王国で、一旦考えたいと。
君はまたいなくなった。
愛の泉で永遠の愛を誓っても…
結局、こんなものか…。
あちらの虫達の攻撃、僕の神への冒涜という周りからの目線…
こうしなきゃ、ああしなきゃ、
僕の嫉妬、君の孤独…
争い、争い、もう疲れたね…
世の中の普通はこんなに
疲れるものなのか?
どうせこんなに汚く、
くだらない世の中なくせに…
僕「偽善者共め!みんな大嫌いだ‼」
僕は君を許せなくて、どうしても
過去が許せなくて過去は僕を縛った。
僕は君と愛を誓ったが、
そのストレスと君がいなくなった孤独で
、君と僕の巣にかかった
虫をついに食べてしまった…
あれほど、約束を守ってたのに
こんな所で…
許せない罪だった。
食べてから我に返った。
僕は君に合わせる顔が無くなっていた。
約束、裏切りと君を攻め続けていた
僕なのに、僕は君を最悪な形で
裏切ってしまった。
口についた汚れた血を拭いて、
僕はボーッとしていた。
その時君から手紙が届いた。
君「私が悪かったわ ごめんなさい
帰っていい?」
僕は、顔を会わせたくないのと
こうなったのは君のせいだという
気持ちでいっぱいになった。
自分の後ろめたさを少しでも消す為に、
君を無視して一旦寝る事にした。
どうしよう…どうしよう…どうしよう…
美味しかったはずなのに、
食べ終わってからの僕の喪失感は
大きいものだった。
弱い僕は、自分のした事を棚に上げ
全部こうなったのは、出ていった
君のせいだと責任転嫁をして、
君を怒る内容の手紙を、
僕は目が覚め起きてから君に出した。
僕は最低だ、もう、ホントに…。
なんで蜘蛛である僕がこんな
普通の事をしただけで、
こんな気持ちにならなきゃいけないんだ。
僕は君を愛してからずっとおかしい。
君は僕の心を縛り弱らせた、
そして、食べた。
僕「今までの他の生き物は
こんな気持ちだったのかな…?」
僕が何も考えず、生きる為にしてきた
事はこんなにも相手に
苦しい思いを与えていたのか…?
これは僕の罪、これは僕への罰。
けどね?僕は蜘蛛、こうやってしか
生きられないんだよ…。
君はあれから1度も帰って来なかった。
神の王国が何をしたかわからないけど。
君は2度と僕の目の前に現れる事はなかった。
神の王国に何度も手紙を送った。
冷静になって何度も謝った。
けど、ここぞとばかりに神の王国は
君を脳内洗脳した。
そして、彼女の心から悪夢である
僕は消えた。
彼女は、僕と愛し合った記憶を
忘れてしまった。
残っているのは僕への憎しみと
恨みだけ。
彼女の代理人という
者から1通、手紙が届く
「私は、騙されていただけ
愛の誓いも脅されてしました
私の羽を、自由を奪った憎い蜘蛛、
蜘蛛が謝りたいという言葉を聞いた
のが間違いだった
愛を誓ってからの日々は地獄の
ようだった 愛だと教え込まれ
欲望に溺れさせられ神を捨てろと
脅された 仕方なかった
私は彼を愛した事はありません
彼の言う事は絶対と言われ
怖くて言う事を聞かずに
いられませんでした
私にはもう近寄らないで下さい
もう2度と会う事はありません」
との事だった。
僕は目を疑った。
それからずっと眠れなかった。
けど、どうしようもなかった。
彼女が僕をこう言っていて会いたくない
と言うのなら受け止めるしかなかった。
僕は別れを選んだ。
変わってしまった君と離れる事を
選んだ。
僕の力のなさ、弱さ、心の闇を恨み、
とても惨めで情けなかった。
悲しみは憎しみを生んで、
また僕を1人に戻した。
君に食べられた心は空っぽになって、
あの頃より醜く、あの頃より酷く
孤独だけ残した…。




