14章 光の糸
太陽が眩しい…
追放された僕はまたぼ~っと、
神の王国から離れた場所に
巣を作り蜘蛛の巣の上にいた。
過ぎ去ってしまえば何もなかった
ようになるんだな。
君がいなくなり、空っぽになった
僕は途方にくれ、憎しみ、怒りを超え
孤独と後悔が僕を襲った。
けど、僕は蜘蛛。
そんな弱さは、他の生き物には見せない。
見せたって誰も助けてくれたりしないし、バチが当たったとしか思われないんだから。
僕はただ、たたずむしかなかった。
あれだけの事があったのに
僕の感情は君を想っていた。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も、
僕はずっとここで、君を待っていた。
騙されていたんだとわかっても、
君を嫌いにはなれなかった。
横切る虫達、流れる雲、輝く太陽を
横目に僕はぼ~っとしていた。
僕はまた、ひとりぼっち。
どれだけ時間が過ぎたんだろう?
あれから、君から離れた僕には
何事もなく、神の王国も誰も
なくなった。
静かに、静かに何もなく時は過ぎていった。
君は泣いていないだろうか?
苦しんでいないだろうか?
婚約者と幸せにいるだろうか?
何をしているんだろうか?
離れていたら、君の事が何も
わからないんだね…?
けど、こういう弱い所だけは二人
似ていたから君も同じ気持ちで
いてくれているだろうか?
忘れなきゃ!思いださないように!
ずっと葛藤を繰り返した。
結局忘れる事なんてできなくて
ずっと君を考えていた。
そんな事をしてるうちに、
僕の出した答えは…
「君に謝りたい」
何故かそう思った。
もう、一緒にいれなくてもいいから
会えなくていいから
1度ちゃんと君に謝りたい。
そんな感情だった。
そう思って、僕は動き出す事を
決意していた。
いつも何もせず、糸を張って待っているだけの僕。
待っていたって苦しいだけなら、
君に最後の想いを伝えたいって
ずっと考えた末に思った。
夜空はこんなに広いじゃないか…?
空のキャンバスに僕は糸で、
君への想いを綴った。
見えなくていい、届かなくていい。
いつもの僕の精一杯の自己満足でもいい。
君への謝りの言葉を思い浮かぶだけ全部、光が差した時にだけ見える
秘密の糸の文字。
僕は神の王国目掛けて一生懸命綴った。
そして、僕は巣に帰り、日が昇るのを
待った。
朝になり、光が僕を差す。
文字が浮かび上がり、君への想いが
溢れ出す。
空一面に僕の言葉が映し出される。
僕「ふぅ、これでいいんだよね…?
君にバカだと思われてもいいさ」
届かなくていいとは思ったものの
ほんとは君からの言葉が欲しかった。
「許してくれる」と、
その言葉だけで終われる気がした。
まぁ、そうじゃなくても君に届いて
くれてたらやっぱり答えなんて求めないや。
どっちとも言い難い感情がうごめく中
僕は少し気が楽になった。
そしたら、それに気づいてくれた
君が手紙をくれた。
まさか、またホントに君からの
言葉が届くと思っていなかったから
やっておきながら正直、
戸惑いもあったが素直に嬉しかった。
君はいつも空を見上げていたから、
こんな事にも気づいてくれたんだと
思う。
君がくれた手紙には
こう書かれてあった。
「私もごめんなさい…一時凄く
あなたを憎んだ、けど時が過ぎ
よく考えてからは、あなたを
恨んだり、憎んだりした事は
なかった
私がした事の後悔しかなかった
あの時はもう、憎しみと孤独に
囚われ、親もみんなもいて
仕方なかった
けど、今もあなたの事はとても
怖い…それでもね?
それ以上にあなたを愛してる…
確かに他の愛もあった…
婚約者もいた…
あなたには悪い事をした
言おう、言おうとしてたけど
あなたを失う事が怖くなってた
同じ神の王国にいる婚約者と
離れる事もできなかった
本当にごめんなさい
けど、牢獄の中にいて凄く考えて
出した答えは、私がホントに
愛する事ができたのは
あなただけって事!
これだけは信じてほしい
もし許してくれるなら、
あなたにもう一度会いたい」
と、書いてあった。
君から許してくれると聞くだけで
この苦しみも終われるはずだったのに…
僕はその手紙を読んで、
欲が出てしまった。
僕もホントは
もう一度会いたかったから…。
バカだね…明らかに君の言う事はまた
自分都合で綺麗事を並べた嘘なのに。
その時僕は舞い上がり、過去の事は
過去の事とまた君に会えるという事が嬉しくなり、冷静さはなくなっていた。
その時はやってよかったと、僕の行動は
間違いじゃなかったと思っていた。
君への謝りは、僕の誤り。
今思えば君はあの時、寂しかっただけなんだよね?
あの事件で、神の王国には戻れたものの
君のズル賢い汚い部分は薄々みんなに気付かれ、家族にも神の王国にも不信に
思われてしまった君。
君の周りにはやっぱりたくさんの虫達は
いたけど、蜘蛛と愛し合った紋白蝶、
婚約者を裏切った紋白蝶という
罪があるから結局神の王国から、
愛されなくなった。
そして、大罪を犯した君は牢獄を出た後も
神の王国の隅っこでひとりぼっちになった。
僕みたいに最初から誰もいない孤独と
君みたいに大勢の中からの孤独は
きっと比べ物にならないくらい
寂しいんだろうね?
だから、僕に戻っただけなんだろう…?
あの時、僕達はやり直さなければ
こんなにまた、傷つけ合わなかったのにね…
二人とも、孤独に耐えられない
ダメなバカ達だね。
僕のする事は、すべて空回り。
君のする事は、すべて空回り。
前に進めない…。
空は見えるのに、光は差すのに、
いつまでもどうして僕らは
こんななんだ…?




