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12章 雲のように

 君と出会ってから、巣にかかる虫は

今も食べていない。


君が他の虫達をもう食べないでと言うから、

どうしても食べたくなったら私を食べてと言うから。


僕は、美味しそうだなぁと思いながら

巣にかかる虫を眺めて逃がした。


君とどれくらい会っていないんだろう?

会えない日ばかりなのに、

君との約束を守っているバカな僕に

嫌気がさす。


私を食べて?

食べる君も隣にいないんですけど?

文句は言うものの、

約束は破れなかった。


逃げて飛んで行く虫の方向に

ぷかぷか浮かんでいる雲を見つけた。


そーっと、そーっと、伸ばしてみた手は、あの空にある雲には届かない。


僕「なぁ…?

  僕と同じ名前なのに、なぜお前は

  空を飛べる?

  なぜ、お前は嫌われていない…?」


僕は悲しくて仕方なかった…


僕「お前のように、飛べたなら君とも

  苦しみ傷つけ合わず

  一緒に同じ空、飛べたのかな…?」


水溜まりに写った僕を見て、

僕は僕を睨んだ。


僕「お前なんか、嫌いだ、嫌いだ、

  嫌いだ…‼」


僕は、巣から降りて

水溜まりを蹴散らした!


そして、そこに倒れ込んだ。


嫌われ者の僕なのに

君に嫌われるのが怖かった。


僕は君が大好きだ

君がいないと生きられない

弱い弱い臆病な蜘蛛。


君はどうかな?

僕がいなくても生きていける?

羽がないと強く生きられない

弱い儚い臆病な紋白蝶。


 僕は、水溜まりに浮かびながら

空を眺め、雲を見た。


時が経つと風に流され、

形をゆっくり変える雲を眺め

また、君との時間に思いをよせた。


君「あなたに、最近は恋愛というか

  愛着が沸いてきた」


僕「ん?それはどういう事?

  恋ではなくなって飽きてきたって 

  事かな?」


君「違うよ、慣れると馴れるは違う

  馴れるは思いや感情が伴うもの

  恋愛だけだと自分をさらけ出せ

  ない、でも愛情なら自然体の

  自分でいられる」


僕「ん?なんか下がってる気がする」


君「そんな事ないよ!

  恋愛感情は大事だけど

  不安定なものでしょ?

  愛着は変わらぬ気持ち、

  安定感がある!

  良いとこ、悪いとこ

  全部含めて愛せるもの」


僕「ん~よくわからないけど

  じゃあもう目標達成かな?」


君「ううん、愛されないと生き物は

  育たない

  目標は常に持ちたい!

  目指すものがないと、

  深みに沈んでしまう」


僕「じゃあ君にこの上の目標が

  まだあるんだね?

  難しいなぁ、真実の愛って奴は」


君「もちろん!まだまだ終わらない

  愛されている事、

  認められているって事が何よりも

  生き物を動かす力になる!

  あなたも私みたいにならなきゃ

  ダメ!」


僕「えええええ!

  ん~?

  君の事は大好きだけど、

  僕には君と似た感情は

  まだわからないなぁ…

  僕はダメダメだから」


君「自分を評価出来ないと、

  他の生き物のいいとこを

  見つけたり、

  評価する事も出来ない

  

  生き物は変わりたいって思うと

  驚く程変われる

  核も性格も変える事ができる

  

  自分の悪いとこもそうだけど

  良いとこも評価できないと

  他にも厳しくなる!

  

  長所と短所は紙一重!

  ダメって思う数程良いとこもある」


僕「なるほど!

  じゃあ僕は、僕をまず評価しよう!

  大きくて強そうなカッコイイ姿

  見た目から何でもはいるのだ

  

  何かあったら闇の世界に紛れれば

  僕は大丈夫」


君「ふふふ

  造作だけで一緒にいる者は、

  いつ崩れるかわからない偽りの

  関係…

  けど、闇の世界という逃げ場所

  があるのはいいと思うよ

  私にはないから、あなた以外

  ないから…

  

  たまに怖くなるわ

  あなたが他に行ってしまうんじゃ

  ないかと…」


僕「そんな事ないよ!

  僕は君が大好きだ!

  僕はどこにも行かないよ⁉」


君「じゃあ、きっとあなたも私も

  恐れがなくなったら最強だね

  

  きっといつか何も気にせず

  めいいっぱいあなたを愛せる日が

  来るんだろうなぁ…」


僕「…うん」


君「色々大変な事は沢山あるけれど

  一緒に乗り越えて行けるよね

  

  何処にいても気持ちが離れな

  ければ大丈夫!

  

  また、こんなに誰かを愛せる

  なんて思わなかった…


  出会いは不思議だね…」


君は少し寂しげに思いにふけ、

それを振りきるように

いつもの笑顔で

僕にニコっと笑いかけた。


きっと、

君も色々あったんだろうと思った。


だから、僕も少しだけ君の心の闇を

背負ってあげたいと思っていた。


 なのに、どうしてこんなに

変わってしまったんだろうね?

僕ら二人…。


「真実の愛」なんて求めてしまったからかな?


てか、なんで求めているんだ?


今までしてきた罪を消したいから

なんだろうか…


きっと君も…


自分のしてしまった間違いを、

間違いと認められないから

求めているんだろうか?


神に許されたいから君は「真実の愛」を求め、僕は神に勝つ為に「真実の愛」を求めているのかな?


それともホントに好きだから

それが「真実の愛」ならいいと

望んでいるのかな?


けど、君はホントに

僕を好きかな?


僕はホントに好きなのかな…?


なんか時間が経つ度に、

嘘も真実も紙一重な気がして、

わからなくなっていくんだ。


 神の王国の神は、絶対的な存在!

みんなが崇め信じる存在。

それはわかりやすい。


闇の世界にある紅い月は、

幸福、不幸の巡り合わせ

自分の成り行き、運命を映す存在。


罪を浄化してくれる、

「やり直す」という力を与えると

信じられている。


「真実の愛」は?

なんなんだ?

実際は…答えがない…


自分だけでは信じられないし、

自分だけでは何も見えない。


一番わからないものが

一番なんてズルいもんだね?


求めちゃいけなかったんだろうね

きっと僕らは…


不純な考えで求める愛は真実にはならず

お互いを壊していくだけ…結局は。


けどね?

最初は不純だったかもしれないけどさ

一緒に時間を重ねる度、

僕は君が大切になった。


そうして思いをよせてるうちに夜に

なった。

僕は水溜まりから動けずにいた。


頭を冷やすと解るのに、

冷静になればわかるのに、


僕の考えと君へしている事の

矛盾が大きすぎて、僕は苦しくなった。


僕「大切になったか…

  じゃあ何故傷つける…?」


だけど、なんでだろうね?

止められないんだ憎しみが…


ねぇ…?

変わってしまうよ?

想いなんて変わってしまう


変わらないものはないよ?


変わらないものが1つくらい

あったっていいと思ったけどさ…


雲のように流れて、形を変えて

君と僕の想いは時間と共に

変わってしまった。


今ね…?

とても苦しいんだ…


雲から落ちて記憶喪失に

なりたいくらい君事消したいのに…


あの頃の君の笑顔が


頭から消す事ができないんだ…。

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