10章 奪われた自由
僕の闇をまともに受けた
君のプラスチックじゃなかった心は
壊れ始める。
君「もうどうすればいいかわからない
私は私でなくなる」
僕「僕の言う事を聞けばいい」
そうしていれば「真実の愛」が手に入る
んだからと僕は勘違いした。
君はガッカリした様子を見せる。
そしてポロポロ涙を溢しながら
君は話す。
君「もう…別れてください…
お願いします…」
僕はビクッとして、それから精一杯
強がった。
僕「…そっか…別れてあげる…」
君は意外そうな顔を見せ僕を見つめ
聞き返す
君「…なんで?」
君の涙を見た僕は欲しかったのは
こんなんじゃないと悲しくなった。
僕「泣いているから…」
僕は下を向く
そしたら変だな?
僕の目から水が流れ始めた。
それを見た君はそっと僕を包んで
ぎゅっと抱きしめる。
君「ごめんなさい
私だけなのに…
あなたには私だけなのに…
私のそばに…いて」
僕は疲れはてながら
「こんなはずじゃなかった」
と思い君の涙が僕の顔に当たるのを
黙って受けていた…
君は僕が怖くて怖くて仕方なかっただろうね?
僕も恐かった。
君に裏切られている事が…
わかっていたんだ
もうこれは愛じゃない事くらい。
だけどいつでも君の隣にいたかった。
ただ、いつも僕の隣にいて欲しかった。
初めは君を傷つけるつもりなんて
少しもなかったんだよ…?
けど、僕の心はもう止まらない。
僕のそばにいて欲しい
僕以外のそばにいる必要がない
もう、終わり…
この巣から君を出さない。
ここにいれば「真実の愛」なんて
なくても誰も君に近づけやしない
んだから…
僕と君はお互い疲れていた。
喧嘩をたくさんし、それでもお互いの
異見は重ならず。
時間が経ち、泣き止んだ僕らは
空を見ながら一緒にいた。
そして君はポツリと呟く。
君「前に話した愛した者を食べる蜘蛛
あなたはそれだけにはなれないね
私とそんなに一緒にいたいんだ
もの…私がいなくなったら
困るでしょ?」
僕「そうだね…もう病気だね」
君「病気なら治る
大丈夫 治してあげるからね」
僕「治して僕から離れたい?」
君「…っ そんな事は言ってないよ
知ってる?地獄蜘蛛には
その愛した者を食べた時に付いた
血の跡が胸の辺りにあるんだって
その跡は何をしても消えない
らしいの」
僕「ふ~ん めんどくさい事する
蜘蛛の話しね…
それがどうしたの?」
君は何かに気づいていたのか?
何を思っていたのかわからなかった。
そしていつも通り君は思いにふけながら
答えらしき言葉を出した。
君「愛で傷ついた愛の憎しみは
ずっと消えないモノなのかもね?」
僕「………?」
君に僕は依存した
君がいなきゃもうダメだとも思う
前からずっと我慢してきた
妄想だけで抑えていた
僕は君を欲しいがあまり
僕はついにしてはいけない事をした。
君の羽を奪った…。
君のずっと大切に守っていたものを
一瞬で奪った。
君から自由を奪う為に君の羽を
食べてしまったんだ。
僕はやっと君を手に入れたような
気がした。
これで君は綺麗事を言わない。
神より僕の勝ちだ!
僕は君に快楽をあげられる
君を僕だけの者に、僕はできる。
君は喪失感に抱かれながら
食べられた身体を抑え息を切らす。
君「はぁはぁ…っ もうないのか
もう…飛べないのか…」
君は呟く。
僕はずっとずっとこうしたかった…。
僕「これで君は僕の者」
それを聞いた君は冷静に戻ったのか
自分のしてしまった事を後悔し始めた。
君「私は神様の者…
ではもうないか…
取り返しがつかない…」
僕は君がこれで帰る所がなくなったと
思った。
なんせ君は僕と愛に溺れたんだ
君は神の王国でいう大罪を犯したんだ。
これで「真実の愛」が手に入る
けど、僕のやり方はきっと逆だった。
君は困ったように泣き出しそうに
怯えるように僕に言った。
君「ねぇ…?別れて…」
前のようにもう恐くはなかった。
もう君は僕といるという自信があった。
僕「いいよ?けど僕と離れたら
絶対後悔するよ?」
君「……っ? 少し考えさせて…」
君は僕から少し離れ下を見て
目をつぶり思いにふける。
そして、下を向きながらゆっくり
僕の方に戻ってきて質問をする。
君「ねぇ…?私の事好き?」
僕「好きだよ?」
君「ホントに好き?」
僕「ホントに好き」
君は何かを決心したようにニコッと
笑った。
君「うんわかった
私はこれからあなた専用ね
私はあなたが好き…」
白い雪が落ちていく…
冷たい風が通り抜ける…。
神と神の王国にも、もう隠せなくなった
君は何故か可笑しくなった。
周りが別れろ、何度言えばわかる
蜘蛛に騙されているんだという中
誰にも祝福されない秘密の恋は
どんどんと不安と嘘を積み重ね
冷たい悲劇を募らせていった。




