閑話 下着騒動
300,000PV突破に感謝して。
とある日――
「アスカ~。ちょっとええか?」
「んぁ? アニーが頼み事なんて珍しいな。どしたよ」
いつも通りの旅路。そろそろ次の街に到着や言う辺りで意を決して馬車の幌の上に居るアスカに声をかけると、女のウチでも息を飲むようなドエライ別嬪な顔が向けられるんやけど、だらしなく横たわって面倒そうに石を投げとるせいで普通に接する事が出来るっちゅうか、時々こいつの中におっさんでも入っとるん違うかと勘違いしてしまいそうになるほどや。
「実は下着の事で相談があんねん」
「うん? リリィさんならまだしもアニーは大して興味なかったろ」
そう言うてアスカの視線がウチの胸に突き刺さるんで、失礼なアホには間髪入れずにドタマにハリセンを見舞ってやる。この瞬間――少しだけ嬉しそうな顔をするんが妙に気持ち悪いんが嫌やけど、殴らんとスッキリせんからな。
「ウチやない。他の女性達に大々的に売り出したいんや」
オレゴン村で初めて着けてから、今までのモンにはもう戻れんほどやったんで王都に居た時に貴族連中に売りつけて確信した。これをギルド経由で商売にしたったら、貴族の奥さん連中に絶対に売れるはずや。ウチには関係のない事やけど、リリィも別モンの下着を着けてからっちゅうのも、アホな男はそこにばっか目がいっとるし、同性もなんか秘密があるんやろうと探りを入れてきとる。
特にギルドの女性職員や。誰でも買えるようにしてあの連中を味方につけておけば、ギルドでいくらかは優遇してくれるはずや。これにはそうしてくれるやろうと確信が持てる程の商品や。
「いいんじゃねぇの? そっちが売っても問題ないと判断したなら、俺は文句を言うつもりはないぞ」
「ほんならいくらか下着を作ってもろてええか? 金は後払いで頼むわ」
「金は要らねぇからいいよ。他のモンだ」
「そうやなぁ……ギルド職員の下着姿でどうや?」
アスカはウチのリリィと同じで女を好いとる。そらぁもう綺麗どころとすれ違えば声かけるし、少し甘ったれた声で要求されてもうたらコロッと騙されよるアホやけど、金もぎょうさん持っとるし魔族を倒してまえる実力の前では、騙されたところで問題あれへんとか思うてんねやろうなぁ。
「素晴らしい取引だ。是非とも協力させてもらいたい」
「交渉成立や」
こうして。アスカの協力を得て7色・7サイズほどの下着を各100枚ほどアスカに用意させ、それらを〈魔法鞄〉に詰め込んで準備は万端や。
――――――――――
「さて。ほんなら行ってくるわ」
街に到着し、宿を取るなりすぐに行動や。あんま大きな規模やないけど贅沢は言ってられへん。今は侯爵をエルグリンデに送り届ける護衛中やからな。さっさと用事を済ませんと置いてかれてまうかもしれへんから急がんと。
「おう。ちゃんと写真を忘れんなよ」
「でじたるかめら……やったか? そっちはリリィに任せたで」
「安心してください。アスカはんに教えてもろたとおりに使いこなしますよって」
アスカに渡されたんは妙な金属の塊。何でもウチ等が見た光景を記録できる魔道具やて言われ、使い方も説明されたんやけど、ウチは何を説明されとんのかさっぱりやったけど、リリィはすぐに理解しおったんで、任せる事にしたわ。
「本当に頼むぞ。綺麗で可愛い女性の下着姿をしっかり写してこなかったら飯抜きにするからな」
「そないな事で飯抜きにされんのかい!」
「当然だろう! 俺が生きる目的の9割9分がそれなんだからな」
「それやったら一緒に来たらええですやん」
「悪いがそっちだけに関わってられん。俺には俺でやる事があるからな」
そんな言葉を最後に、アスカは逃げるように走って行ってもうた。あのアホのやる事なんて1つしかあれへんけど、止めるんは不可能やからこっちはこっちで集中せんと。
「行くでリリィ」
「任しといてぇな」
頬を軽く叩いて気合を入れ、商業ギルドの扉をくぐって真っすぐに登録受付のカウンターに。いくつかある中でもあえて女職人が座っとる席に腰を下ろす。
「ようこそ商業ギルドへ。本日はどのような商品をお持ちでしょうか」
「これや」
こそっと〈鑑定〉をかけて受付娘の胸の大きさを調べ、それに合ったモンを〈魔法鞄〉から取り出すと、さすが職員をやっとるだけあって目ざとい。しゃーけど、今回の本命はこっちやない。
「これは……なんでしょうか?」
「これはとある人物が制作した今までもモンとは比べ物にならん全く新しい下着や。今回はこれの販売のために登録したいんや」
「……これが下着だとおっしゃるので?」
「他にこないな薄手なモンはどこにつける言うねん」
まぁ信じられんのも無理はないわな。今までのと比べて見た目も着け心地もホンマに別モンやからな。逆にそうなんですかとすぐに受け入れる方が既に登録されてんのと違うかと怖かったくらいや。
「かしこまりました。それでは書類をお持ちしますので少しお待ちください」
「はいよ」
っちゅうことで職員が奥の部屋に行ってもうた訳やけど、その手にはキッチリとブラを握りしめとるところを見ると、きっと裏で着けてみるつもりなんやろう。せやけど正しい着けけ方をせんとリリィみたいに綺麗で男の目を釘付けにするような胸にはならへんのやけどね。
「失礼いたします。お手数ですが奥の部屋へお越し頂けますでしょうか」
20分ほどで戻って来た職員は少し型崩れしたブラを手に戻って来て、そないな事を言ってきおった。やっぱ着用に挑戦したみたいやけど上手くいかんかったんやろうな。何やぐったりしとるわ。
「ええで」
案内された先に居ったんは、若いのに随分と貫禄のある龍族の女や。それが腕を組んで深く腰掛けとる姿はアスカ好みの美貌に均整の取れた肉体をしとるわ。
「君達か。新しい下着を持ち込んだという商人は」
「ええ。アニー言うBランクの商人ですわ。よろしゅう頼んます」
「B……か。私はこのギルドを任されているアンマダだ」
一応握手を交わしたが、Bと聞いた瞬間に若干やけど握る力が弱ぁなりおった。きっとウチ等の格好を見て、経験則で低ランクや思うたら予想以上に高位の商人やったからやろう。敵やのぅて懐柔に切り替えたんやろうけど一歩遅かったで。
「それで? どないしてこないな場所に連れて来たんです?」
「しかもわざわざギルマスはんが直々に……なんか気に障る事でもしてまいましたか?」
一応アスカのおかげ言うかせい言うか分からんが、ウチ等が何年も続けてきた行商でのレベルアップより、ここ一月の上がり方が尋常やないから何とかなる思いたいわぁ。ここにユニかアスカが居れば敵となりそうな連中の気配を探れんのにって考えとる時点で、鈍ってしもうとるって事なんやろうな。
「うん? 君達は商品登録を利用するのは初めてかね」
「そうですぅ。今までは掲示板に張ってあるモンを見て行商しとっただけなんで」
「しかし。Bになる経緯で登録の1つや2つしていてもおかしくないはずですが?」
「まぁいいさ。別に登録販売をしなくてもBになれる商人もいるからね。それじゃあ初めての君達に登録とは何なのかの説明をしよう」
アンマダによると、商品の登録っちゅうのはそれに値せんほどのクズ商品やったら拒否。ほどほどに商売のタネになりそうなんはあの受付て済ませるらしいんやけど、今回ウチが持ち込んだ下着みたいに金の匂いがプンプンするモンは事前に情報が漏れんように個室で登録手続きをするんやと。
これをする事によって、他の商人が同じモンを販売するためには金銭を支払わなあかんらしく、それをせんと販売してもうた場合はギルド員から除名されるんやと。そないな事になってもうたら商人としてだけでのぅて人として生きていかれへんようになってまうわ。
「――とまぁこんな所か。理解できたかな?」
「そうですなぁ……その権利っちゅうのはどの程度続くんやろか?」
「金額によるね。販売額の1割で2年。2割で4年と言った感じかな」
「それはどん品でも同じなんです?」
「ああ。その品でも一律だ。そうしないと不平不満が出るからね」
「……そうですか。ほんなら2割払いますわ」
こういう時、人の嘘が分かるような便利なスキルがあったら楽なんやろうけどなぁ。何でもありのアスカやったらそう言った魔道具とか作ってくれるかもしれへん。今回は思いつくんが間に合わんかったからしゃーないけど、出来るようやったら次回からはそこを計算に入れとくか。
「なるほど。ではそれだけの金銭を支払ってギルドが保護する価値があるのかを調べさせてもらおうか」
「構いまへんよ」
と言う訳で、ギルマスにも〈鑑定〉を使ぅて大きさを調べ、アスカからもろた雑誌言う便利な本に書かれてた通りの説明をしながらブラを着けてやると、2人ともに驚いた顔のまま固まってもうた。
「これは素晴らしいね。これでもギルドマスターとして質の良いモノを愛用していたんだが、それに比べるとこれは確かに別物だ。全く違う商品と言っても過言ではないじゃないか」
「マスターのおっしゃる通りです。このような物が広まったら世の女性達はこぞってこちらを購入なさるでしょうね。わたしでしたら間違いなくこちらを購入します」
やっぱそう思ってまうらしいわ。ウチからすればリリィ達が着けとるような刺繍が施されたモンより、いま着けとるようなしっかりと押さえつけてくれる方がええと思うんやけ――ん? なんやごっつムカつく事をアスカに言われた気ぃするわ。後で殴っとかんといかん。
ついでに下の方も穿いてもろうたけど、こっちもこっちで好評やったんでしっかりと登録してもらう事ンなったし、製作者に今の姿を確認してもらういう理由をでっちあげて、アスカの注文通りに2人の下着姿をバッチリ収めさせてもろうた。
その際にギルマスの好奇の目ぇが少し怖かったんやけど、特別な魔道具で変な使い方をすると壊れてまうと説明して納得させた。
「……これでええんか?」
「はい。これで大丈夫です。お疲れさまでした」
「ほんなら帰らせてもらうわ」
審議の結果。下着は上が銀貨7枚。下は銀貨5枚。上下組み合わせで金貨1枚と決まり、それぞれ売れる度に商品保護のためとして2割の税が持ってかかれるんやけど、正直アスカと旅するようになってから商売以外に金を使った記憶があれへん。
あのアホは飯も寝床も武器もポーションも日用品から魔道具に至るまで何でも作りだせるスキルを持っとるからな。普通ならどうしたって用意しとかなあかん食料をいつでも用意しとるし、白金貨くらい出さな購入でけへん時間停止付きの〈魔法鞄〉の中にもぎょうさん料理がつまっとるから、金がたまる一方でウハウハやなぁ。
――――――――――
「……帰ったかね」
「ええ。ギルド内に彼女達の気配は感じられません」
「そうか……」
ふぅ……全くと言っていいほど不思議な獣人達だね。ギルドカードを所持していながら冒険者と遜色のない気配。あれでつい最近Bランクになったと言うのは信じられないな。
確かエルグリンデ経由で獣人の商人がBランクになったと言う情報が入って来ていたが……まさかあれほどの相手だとはね。今まで私の情報網に引っかからなかったのは一体どういう事だろうか。
「後を追わせましょうか?」
「そうだね。少しでも情報を仕入れておきたいから頼むよ」
「かしこまりました。すぐにスヴァイを向かわせます」
彼女達の商品はとても魅力的だ。今回持ち込まれた下着ももちろんだが、背負っていた〈魔法鞄〉もかなりの高性能だろう。さすがに時間停止は付いていないだろうが、相当な容量が入るのはこの目が間違うはずがない。
更には武器。冒険者であれば高ランクの者達が身に付けるような物を平然とぶら下げているのは商人として違和感を感じてしまう。
普通の商人であれば、武器等で己を武装するより護衛として冒険者を雇った方が時間の無駄にもならないし、金銭的にも安上がりとなるので普通の商人であれば武器に金銭を浪費しないというのに、彼女達はそう言った普通とはかけ離れている。これは何か裏にあると私の勘が告げている。
その秘密が分かれば、このギルドにさらなる大きな富をもたらしてくれるやも知れん。その為には弱みの1つや2つ握るのは当然の事と言える。
その日は早めに仕事を終わらせ、明けて翌日。早速とばかりにギルドで最も腕利きのスヴァイを呼びつけたのだが、何故か酷く怯えており、物音一つに対して過剰なほどの反応を見せている。
「どうした? いつもの君らしくないな」
「え、ええ」
一体どうしたと言うのだろうか。彼は確かに優秀な覗き屋として活躍してもらっているが、その優秀さから多少鼻につく言動の多い男のはずが、その片鱗が微塵も見当たらない。
「? まぁいい。早速だが報告をしてもらおうか」
「……無理だ」
「は?」
「おれも仕事柄ヤバい目には何度もあって来たが、今回ばかりは無理だ。あんな連中の内情探ろうなんて命がいくつあっても足りねぇよ」
ふぅむ……相対した時は人の気配などに鈍感と言ったように感じたんだが、どうやらそれは偽装していたという事なのかな? それとも、侯爵の手の者がスヴァイ以上の実力者だった?
どちらにしても、何の情報も持ちかえれなかったと言うのは覗き屋としては失格と言わざるを得ない。
「なるほど。それは君の振る舞いを見れば多少は理解できる。しかし、君がギルドの職員として一定の金銭を得ている以上、最低限の仕事も出来ないような役立たずには支払う給料はないぞ?」
私はスヴァイが優秀だと思っているからこそ、多少の問題は大目に見ている。しかしその期待に応えられていない以上は、雇う意味はない。
それをはっきりと言葉で告げると、スヴァイが眉間にしわを寄せて思考を巡らせ始めた。その時点で、敵わなかったであろう存在と何かしらの契約を交わしているのではとの仮説が浮上する。この言葉は既に何度か告げた事があるのだが、奮起するか逆に脅しの言葉を吐き出すかの二択だったのに、今回は思考した。通常とは違う反応が出た時点で、何かあると分かる。
「……森角狼だ」
「うん?」
「連中は森角狼を使役している」
私もギルドマスターとして森角狼の素材を目にした事はあるが、彼女達の実力では間違いなく殺されてしまう。であれば、それを使役している何者かがあの2人の側に居て秘密を守っていると言う事なのだろうか。
「他には」
「……」
「そうか。では私が直接見に行ってみるとしよう」
どのみち、登録許可証を彼女達に渡さなければいけないからね。その際に件の使役者でも確認する事が出来たら、そこから弱みにでもつけ込んで裏に居る存在との取引出来る伝手を得ようじゃないか。これでも若い頃は覗き屋として〈絶無〉の二つ名を冠していたんだからね。発見されない自信はある。
スヴァイに2人の泊まっている宿を聞き、許可証を手にギルドを飛び出す。まずは森角狼の実力がどの程度の物なのかを確かめる為に〈気配希薄〉で限界まで薄め、宿まである程度近づいて時点で〈無音歩行〉でゆっくりと獣舎のある裏手に回り覗き込んでみると、そこには確かに森角狼の姿が確認できます。
しかし。それ以上に驚きだったのが、その背に跨って毛をぐいぐいと引いている少女の存在。
「ユニー。遊ぼうなの遊ぼうなの」
「ワタシは読書の最中だ。そう言う事は主に頼め」
「ぶぅ……ご主人様は忙しいのなの。遊んでなんて言えないのなの」
「知らん。とにかくワタシは読書に忙しい。もうそろそろ出発の時間なのだからな」
「つまんないのなの!」
「痛ぁ!?」
相手にされない事で、少女が癇癪を起こした子供の様に叫ぶと同時に握っていた毛束を引きちぎってしまった。その瞬間。ユニーと呼ばれていた森角狼が丸呑みするように牙を突き立て、ブンブン振り回したかと思うと天高く放り投げられた。
「あははは~。高いのなの高いのなの~」
(えええええええっ!?)
Aランクの冒険者ですらそのひと噛みで命を散らすと言われているほどの一撃を受けて、少女は無傷な上に遊んでもらっていると思っているのか楽しそうに笑い声を上げている。一体どんな構造をしているのか。頭がおかしくなりそうだよ。
「ん?」
「ふぎゃ!? どうしたのなの?」
「いや……何やら気配を感じたのだが」
「……本当なの。何か居るのなの」
マズイ。これ以上ここに居ると森角狼の牙がこちらに向きかねないのでさっさと退散。そして突然気配が出現したみたいな違和感を相手に与えないように徐々にスキルを解除。入り口で獣人商人達を呼び出してもらうとすぐにやって来た。
「こんな時間にすまないね。登録証明書が出来たので届けに来たんだ」
「あぁ……そう言えばそないなモンがある言うてましたなぁ。わざわざギルマスが来るなんてなんかあったんですか?」
「何を言ってるんだい。あれだけの商品の登録証明書だよ? 私が持って来る事が当然じゃないか」
あの下着はまさに、女性にとっては何よりの武器となる。小さな胸も大きく形良く見せ、男の劣情を煽るような素晴らしい造りは、世継ぎ問題に頭を悩ませている貴族婦人に販売すればそれも解決するやも知れないとあっては、それだけの人物が運んでくるのが当然と思わせれば、あらぬ誤解を受けない。
「なるほど。そう言っておけばあらぬ誤解を受けずに済むか。理にかなった言い訳じゃないか」
そう言いながら現れたのは、息をのむようなこの世の物とは思えないほど美しい少女。それが私の内情を言い当てるかのような物なので内心ドキリとしたが、それをおくびにも出す訳にはいかない。
「君は?」
「俺はアスカってケチな旅人だ。今ん所はアニー達と一緒に侯爵の護衛をやらせてもらってんだ」
「君みたいな少女が護衛?」
スヴァイが獣人商人達には森角狼が居ると言っていた。となると、あの化け物を使役しているのはこの少女とするのが尤もらしい回答となるものの、そうだと納得できるほど強い気配を感じない。
「まぁ、これでも飛び切り強い従魔を従えてっからな。さっき見たと思うがあの森角狼がそうだ」
「森角狼を従魔に? それはまた随分と凄い魔物を従魔にしたんだね」
「あくまでしらを切るか。まぁいい。昨日来てた馬鹿にも言ってあるが、余計な探りは入れない方が身のためだぞ? 女性だからいくらかは加減すっけど、昨日の野郎みたいに無様な姿を衆目に晒したくなければ、この辺で手を引いておけ」
ニヤリと口の端を吊り上げるような笑みに、言いようのない恐怖が背筋を駆け抜けるものの、はいそうですかと認める訳にはいかない。たとえ目の前に剣を付きつけられようと、商人である以上は利に背を向ける訳にはいかないからね。
「誰と勘違いしているのか分からないけど、敵意を向けられていてはまともな会話は望めないかな。とりあえず許可証だけでも受け取ってもらえないかな」
「もちろん」
本来の仕事である登録証明書を手渡し、すぐに宿を後にするのが精一杯だ。まるで全てを見透かされているような確信を持った発言の数々は、決して関わってはいけないと私の勘が告げた。
後日になるが、王都から齎せらた情報によって、A級の賞金首であると知った時は肝が冷えたよ。
これからも読んでいただけたら幸いです。<(_ _)>




