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三姉妹方程式  作者: 蝉時雨
二学期
96/133

case:77 【冬休みの場合】 Act.3

とろとろと頭をとろかしその身をその場所に拘束する。

古来より伝わる魔の家具・コタツ、その威力には普段の快活さもなりを潜めるようで。

まさに筆舌に尽くしがたし、と言うところである。



現在はちょうど日付けも年も変わって0:01分。

家族皆でカウントダウン番組を見ながら、商店街近くの神社から年越しの鐘の音に耳を寄せている。


そういったところで毎年恒例の初詣ついでに初日の出でもながめに行こうという提案をしによっちゃんが家にやってくる。

年越しの挨拶の後は時間をつぶすためいったん家に上げるわけなのだが。


「あー、今年もこうなってるんだ」


「相変わらずね、まったく二女として恥ずかしい限りだよ」


そう、普段であればやかましいほどかまってくる、あるいは喧嘩している姉妹がこの日この時に限っては二人してコタツでぬくぬくとしている。


私?私はそれに絡まれるのが面倒なので普通にダイニングテーブルでホットミルクなんかをすすりながら現状を客観的に実況なんかしているところである。


「おーよっちゃんじゃない~あけましてだっこ~」


「あー弥生先輩あけましておめでとうございます、それは気にしないでください」


姉なんかはお酒も入っていることもありもはやとろけきってスライムの様である。

このまま本物みたいにへばりつかないことだけを毎年祈っている。


「んじゃ任せたでお京さん!!」


「京ちゃんに~ダ~イブ~」


が、祈りが届いたことは一度もないのが現状である。

そして

「あ、てめっお姉さまにくっつきやがって!!・・・お姉さま~」


ひしっと二人して私にへばり抱き着いてくる。

妹も姉の酒気にやられて少し、というかだいぶ頭が緩くなっているのである。


実に面倒くさい、が例年通りなので慣れた部分が多いのが本音である。



というところで、時間もいい感じになりめんどくさい二人を着替えさせ引っ付けたまま近くの神社までやってきたところではある。

が、いやはや毎年結構な数人がいるものである。


学校を挟んでこっちと向うで人数も割れているだろうに意外としった顔が多かったりする。


「いやぁ、去年もそうだったけど相変わらずだね」


「それは人だかりが?それとも私のこの現状の事?」


よっちゃんが私を見ていってくるが私は冬だというのに真夏の如く熱い。

なんでって、それは冬着の上からさらに着込んでいる二人に抱き着かれている状態なわけで、顔は真っ赤だしもう帰りたいわけで。


「う~ん、どっちもかな」


「年越しだし仕方ない、と思うことにしている」


私の一言によっちゃんも苦笑いである。


『とりあえず初日の出を眺めるまでは我慢だね』なんてよっちゃんと一緒に姉妹を担ぎながら屋台甘酒屋台なんかを回って時間をつぶすことに。


さすがに何もなしで寒空の下を何時間もなんて時間を持て余すだろうし、何より私はいいとしてよっちゃんなんかは寒いだろう。

甘酒を入手しに行ったよっちゃんがなんか余計なものを引っ付けて帰ってきた気がした。


「あけましておめでとうデス、ケイ!!!!」


そこには着物姿のアヴィさんがいた。

きっとこの時私はものすごく間抜けな面をしていたのだろう。


見かねたよっちゃんが説明を

「私が連絡入れた」


黒幕はそこにいた。

姉妹でもこんなに面倒だというのにこれ以上面倒な人を増やすな、とは思いもしたがクリスマスを一緒にできなかったことを突かれ私としても反論できなくなってしまった。


何ともしたたかな外国のお方である。めんどくさい。


と、一瞬背中に悪寒が走った。

この気配覚えがある。

何て振り返ってみるも見知った顔はなかった。


「け・い・さ・ま。ふっ」


なんてことはなかった。


全生徒会長で現ストーカーな高嶺先輩の息が私の耳にかかる。

思わず身震いをしてしまったが、酒にやられている姉妹が邪魔で逃げることもできない。


「ぬぅあ~きさま~、ボクのお姉さまにぃ~・・・ふぅ~」

「あ~私も~」


挙句には普段警戒したり牙をむき出し威嚇する側である駄姉妹どもまで一緒に私に息を吹きかけてくる始末。


「Oh!私も参加デース!」


そして負けじと抱き着いて狂うアヴィさんと爆笑しているよっちゃん。

こいつら本当に、本当に・・・

「いい加減にしろーーーーーー!!!」


しろー・・・しろー・・・・・・しろー・・・・・・・・・・


境内に響き渡った私の悲鳴。

しかし、誰も止まることはなかった。


周りも止めることなどなかった。

商店街の顔なじみさんなんて『あらあら仲の良いこと』なんて微笑んでるし、そこらの男女のペアなんかはいちゃっついてるし。


とりあえず皆他人に無関心というか、よっちゃんは後で地獄を見せるとして。

時間もいいところで、空も青白んで来ていよいよな時間である。

私はそれを口実に離れることを強要、何とか引きはがすことに成功。


事初日の出に関しては姉妹も離れてくれるので助かるというものだ。



ああ、年に一度のめでたい日の出確かにきれいなのだが。

おわったとたん皆一斉にひっついてくるのだけはやめてほしい。


散々な年明けだ。


とりあえず言えることは胃薬飲んできてよかったと思うことだけである。


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