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三姉妹方程式  作者: 蝉時雨
一学期
9/133

case:9 【×幼馴染の場合】Act.1

方程式・幼馴染の場合編

今回は短めです。

二学期からも、はや一週間部活動もいい盛り上がりを見せる季節がやってまいりました。

おやおや、そうでしたわてくしの名前は宝月弥生ほうづきやよい、皆からはよっちゃんという愛称で親しみを込め呼ばれており今期では陸上部期待のホープである。

キラッ☆



「・・・どこ見てるの、よっちゃん」


今朝は朝錬が無いということでいつもどおりの(どういつもどうりかはご想像に)朝食を終えた後よっちゃんと合流し(姉は仕事で早朝から泣きながら家を出て行った)登校中である。

しばらく雑談もよそに虚空を見上げ舌をぺろりと出すよっちゃんに突っ込みを入れるもこの状態じゃあそれも仕方の無いことなのかも知れない。

そう、いま私の左手には腕に巻きつく妹的未確認摩訶不思議生物が絡み付いているのだ。


「んふふふふふ~お姉さまの手ぽかぽかします~」


正直歩きづらくてたまらないし、姉がいなく私を独占できている幸福感からか顔は破顔を極めた先を行きもはや溶けている。

その光景には流石のよっちゃんもたまらず突っ込みをあきらめた、というところだろう。


ん?なぜ私が妹的未確認摩訶不思議生物を放っておくかだって?それはもちろんここ数日で新たに見につけた日々を健全に生き抜くための処世術である。

こんなことにいちいち突っかかっていたら正味体力が持ちません。


「・・・おやおやお京さん、右手がお暇そうですね」

「ああ、うん、おかえりよっちゃん」


私の突っ込みすらも意識とともにどこかに飛ばしていたよっちゃんがやっと戻ってきた。

もちろん突っ込みの答えは戻ってこなかったが。

そのよっちゃんだが今まではどこか虚空をみて何かをつぶやいていたが今度は打って変わって私の空いた右手をを凝視している。


左手に妹がくっついているのに鞄はどうした?と疑問が聞こえてきそうなので先に答えておくが、もちろん妹が抱きしめている。


話は戻すがこのよっちゃん普段こそ悪巧みしている特はなんだかんだ顔に出る性格なのかわかりやすいのだが特に何も考えずに行動し悪い方向に働くときがある。

その場合何が起こるかまったく予想の範疇を超えてくるためにできればとっぴな行動にはでて欲しくないものであるが。


「空いてるなら私にちょぉ~おだいっ」


どう考えても逃げようのない、仮に手を上へ下へと動かしたところで運動部と帰宅部の違い。

すぐにつかまるのは目に見えている。そんな無駄なことはすればするほど労力は倍倍になって帰ってくるから今更無駄と思える抵抗はしない。


しないが、ああ、この状態でそんな事されてしまっては隣で興奮のあまり鼻息すらも荒くよだれが口はしからちらりと見えているこのモンスターが何をするかなんて予想するまでもない。

まさにモンスターVSというやつだ。



「ちょっ、ちょっと弥生先輩!!お姉様はボクのものなんだから空いているからってひっつくの禁止!!」


「おいおいさっちんよぉ~ここは先輩を敬えよ~」

おいおい、いつから私は妹のものになったのだろう。まずそこを突っ込んで欲しいものだ


「お姉様に関してだけは先輩後輩関係ないですよ!弥生先輩はお姉様を狙っていないと明言してくれているからあまりうるさく言わないだけです」


「だったらこれぐらいもいいじゃんかぁ~」


「はぁあんっ!弥生先輩に許したのはせめてクラスメイトだからじゃれ付く程度なだけで公衆の面前で抱きつくなんてそれはもはや犯罪行為スレスレです!!」


黙って二人の話を聞いていたが突っ込みどころが満載である。

っよし、ここは心を決めて一つずつ順番に突っ込んでいこう。


「二人共」

「「??」」


「どうしたお京さん」

「どうしましたお姉様」


なんだかんだいがみ合いつつ私優先なのはなぜだろう。がしかし今そこでは無い。


「まず歩きづらい」


「はっ、これはごめんなさいお姉様・・・・・・」


とか謝りつつもよっちゃんを睨みつける妹、ようはお前が離れろと訴えているわけだが・・・


「頑張れ京ちゃん息をあわせてほら、ひっひっふー」


それは妊婦が陣痛が来たときにする呼吸だ。

とこんな風によっちゃんは妹の凶悪な視線をひょうひょうとかわしている。


「はぁ」

歩きづらいのはあきらめるしかないか。


「あっ、ほらお姉様がため息!!弥生先輩!!」

「一人は寂しいんだい!!」


こんな風に(一部が)惨めな言い争いに発展してしまう。

ので次へ

「そもそも、狙ってるとかってなにさ」


「それはもちろんお姉様を性的に見ているか否かですよ!!あのくそ上の姉のように!!」


「・・・・・・その基準で行くと妹よ、お前も入っているんだな」


「はっ!!で、でも私はお姉様の嫌がることは絶対にいたしませんし、お姉さまが望まない限り無理やりとかでは」


あたまが痛いが妹の衝撃的な独白はもう無視してよっちゃんを見やる。

あの苦笑い、気づいていなかった鈍感は私だけということか。ま、まぁなんとなくは気がついていたし。

いいわけとかでは無いし。


まぁよっちゃんがそうでは無いと名言している以上よっちゃんは安心していいか・・・自分の直感を信じていいのかは不安であるがここは信じることにしよう。


そしていま妹の言葉を思い返して思ったがよっちゃんに対して犯罪行為スレスレと文句を言っていたがお前、それを堂々とやっている自分には何も沸かないのか改めて、私自身幸という存在が・・・姉妹がわからなくなってきた。


頼みの綱の幼馴染は私の右手でここぞとばかりにごろにゃんしている。

こいつ本当に私に気が・・・いやそもそも女同士でそんな事あるほうが稀有で家の姉妹が破滅的に異常というわけでよっちゃんに限ってそれは本当に無いか。

だとしたら、こいつこの状況を楽しんでいるな、まったく。

はぁ、朝から憂鬱である。

感想などなど随時いただけたらと思っております。

よろしくお願いします。

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