case:8 【×三女の場合】Act.4
三女編最後です。
が、方程式はまだ続きます。
よろしくお願いします。
放課後、流石にホームルームがあるからと姉を解放し、一人先に教室に戻る。
よっちゃんが入室そうそうよって来るが底には好奇心半分心配半分といったところだろう。
まぁ二時間も戻らなかったとなれば保健室で一悶着あったことは明白だろう。
その中身が気になって仕方ない、というのはよっちゃんの性格から考えてありえないことではない。
だからといって教えるわけ無いが。
問題ない、と席に戻ることを促すもいかんせんよっちゃんは後ろの席、追求がとまることはない。
と、丁度意気消沈気味の藤間先生が教室に入ってきて帰りのホームルームが始まることに。
その先生の様子を見てよっちゃんの追求もとまった。
まさに見ればわかる、というものだ。
まぁ、この様子を見ればこのあと教頭先生にも絞られるのだろう。
教頭先生云々は保健室の先生からの情報である。
このあとちくっておくとの事。
我が姉ながら『ざまあみろ』である。
「えー・・・では、帰りのホームルームを・・・」
としてもだいぶ堪えているのか最初の快活さがどこへやら。
あまりのビフォーとアフターに何人かの視線が集まったが知らん振りをしておくことに。
この様子だと今日はすぐにでも帰れるだろう。
なんて気楽に考えていると現在まだホームルーム中だというのに、ここごく最近でとっても聞きなれた音が校内に鳴り響いた。
そう校内放送の鐘の音が・・・。
あ、この悪寒なんかデジャビュ。
『お姉様!!今日は一緒に帰りましょう!!藤間幸です!!お姉さまの!!幸でぇす』
盛大に語尾にハートマークをつけるかのようなあまったるい声で全校生徒の前で宣言する。
他の学年、クラスや私という存在を知らないものにとってはこのお姉様=藤間京こと私に結びつくものはいないだろう。
だがこのクラスは違う。
なんといっても藤間三姉妹の二人が揃ってしまっているのだから。
一瞬で凍りつくクラスの空気、その発生元は言わずもがな教段の上の人物。
流石の姉も妹のここまでの行動力は予想外だったのか、意気消沈していた顔が見る見る怒りゲージマックスになっていく。
そこからは目にも止まらぬ速さだった。
教室のドアを開け即ダッシュする藤間先生、その数秒後にはひとつ上の階の放送室から『ただいまの放送は誤報によるものです生徒は気にしないよう』などという藤間先生のアナウンスが流れたぐらいだ。
急遽中断されたホームルーム、戻ってくるような気配のない藤間先生にクラスの皆はこれどうするの?といった視線を向けてくる。
見つめられたところで私に何か解決策があるとでも言うのか。
・・・いや身内のことだから私がどうにかしなくてはならないのだが。
みんなの視線の集まるなか必死で声を絞り出す。
「か、帰っていいんじゃないかな?藤間先生には私から言っておくよ・・・」
さっきまではざまあみろと揚々とした気分が一転、ただのちょっとした放送に声を絞り上げるのもやっとなほど体力をがっつりと持っていかれた。
今では悔やまれるなぜあの時スマホでも何でも妹に連絡し釘を打たなかったのか。
まさに後悔あとに立たず。である。
そんな落ち込みマックスの私をよそにまたもや田中とかいう男子が調子に乗ったのか
『よっ次女!!』などと走ったのを皮切りにそれに便乗した男子生徒数人が『姉妹のまとめ役!!』とか何とかおちょくってくる。
正直相手にしている余力は今はない。
からといって何もしないわけではなく。
「茶化した奴は藤間先生と妹に事細かに捏造してちくっておくから」
「「・・・ひっ、ごめんなさい!!!!」」
その一言にそうなったときのことを予測して自分の将来を暗示でもしたのか皆オアざめ一斉に謝ってきた。
最初からそうやって何事にも波風立てずにいればいいものを。
このクラスの男子生徒は少し短絡的過ぎるきらいがあるぞ、と心に刻む。
ホームルームというホームルームはやっていないがそれも終わり様子見にと職員室へ部活の顧問の先生に鍵を仮に行くついでと様子見に行ってくれたよっちゃんの話だと、今現在姉妹揃って教頭先生に総スカン食らっているそうだ。
それもそうだろう、今年に入って二日立て続けに前代未聞の出来事が起きているのだから。
教頭先生の胃のほうが少し心配である。
阿呆姉妹二人が説教を受けているなか私はそそくさと学校を後にする。
ちなみに今日はよっちゃんは部活のミーティングがあるらしいく先に帰っていいとの事。
そしてもとよりしまい二人には一緒に帰ろうと提案はされたが了承以前にそれは正規の方法では無いもので現在も説教を受けている最中なのだから待ってやるいわれもない。
特にどこかによる用事もなくすぐ家に帰り部屋にこもり鍵をかける。
そしていつもならやらないことだが制服のまま布団へとダイブ。
まさか、本当にたった二日足らずでここまで疲弊するとは微塵も思っていなかった。
とりあえず何かあれば間接的ではなく、直接私に言いにくるようにいい気か背無くてはならない。
それに、えーとああ・・・考えることが多く頭の中がぐるぐると
なんて考えていると説教を終えた二人が一緒になって帰って生きたのか階段を激しく上る足音が多数。
時間を見てみると17:30
いろいろあって家に着いたのが四時前だから一時間半も頭を痛めていたということだ。
そしてノックもなしにガチャガチャと激しい音を放つ部屋のノブ。
壊れるのではというぐらい激しく鳴らしたあとは昔ながらの脅迫じみたノックとともに声がふってきた。
『お姉様!!幸です!!先ほどはごめんなさい、もうあのような愚行はいたしませんからあけてください!!』
『京ちゃん!?お姉ちゃんは悪いことして無いよ!?京ちゃん!!??だからお姉ちゃんだけでも入れて!!』
『はぁ!?今回はお前も込みでお姉様は怒ってんだろ!?何自分は悪くないみたいに言ってんだよ!!』
『はぁあああ!?実際私のせいじゃ無いじゃないあんたが校内放送なんて使うからいけないんでしょうが、ねぇ~京ちゃん!!』
『おまっ、昨日の自分を棚に上げて、知ってんだからな機能だって自分が校内放送を私事で使っていたのを!!』
「は、はぁあ!?何のことかしら身に覚えが無いわね!!ほら京ちゃんこんな妄想女よりお姉ちゃんのほうが頼りになるからあけて?ね?』
『だれがさせるか!!』
相変わらず人の部屋の前でどたんばったんぎったんがちゃがちゃうるさい奴らである。
それにこの言い分だと尾根に関しては反省ゼロではないか。
この差が大きいというのに。
『二人共うるさいわよぉ~!!!!!』
なんて他人事のように考えていたらいつの間にか上まで上がってきたのか、ほらお母さんの滅多にならない雷が鳴ってしまった。
まったく自業自得という奴である。
『京ちゃんもおとなげなぁい、めっ。でてきなさぁ~い!!!!』
と今度はお母さんまでドアノブをガチャガチャ回し始めた。
こうなったら出ざるを得ないでしょうが。
そうして三人仲良くお母さんに近所迷惑を考えるべきだといさめられる。
私にとってはとんだいい飛び火である。
引き続き三姉妹方程式よろしくお願いします。
次回からは姉妹以外の関係者各位がでます。
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