case:56 【×文化祭準備の場合】Act.4
学園祭の準備も終盤、そんなときに事件は起きった。
正直私に関係あるか、と言われれば確実に『否』という返事が返ってくるようなものなのだが首を突っ込んでしまったのだから仕方ない。
それは文化祭準備が落ち着いて文化祭を誰と回るかといったことを皆明確に考え始めたころ。
それと同時に学園中では何組のだれだれ君がやれ先輩に告白しただの、サッカー部の何とかっていう先輩に告白されただの浮ついた噂話が学校中に充満し始めた時だった。
私は被服室にてミシンを動かしていた。
それもこれもモデル喫茶を提案した現役読者モデルの彼女。
名前は確か・・・出てこない。
しかし今更聞くにはなれないから彼女のことはモデル子さんと実に安直なあだ名を私の心内でつけた。
その彼女は衣装は私に任せて、と張り切ってはいた物の届いてみれば確かにデザインはすごいの一言。
まさにパリコレ風なのだろう。
しかしモデル子さん、あんまり頭が回らないタイプなのだろう。
着る人のサイズとかをまったく考えていなかった。
故にとりあえず比較的器用な者たちが借り元から許可のもと裾上げなどサイズの調整に尽力しているという状況である。
ちなみによっちゃんは戦力外通告されて今この空間において私一人アウェーを感じている。
もちろん言い出したモデル子さんは率先してミシンを動かしている一人なのだが、そもそもの人望の厚さというものを見せつけられている気分に陥ってしまう。
とはいえ、彼女モデル子さんのことだが、そのギャルギャルしいかっこからはあんまり想像していなかったが以外と、などといっては失礼だろうが何というか普通に面倒見のいいTHE姉御、って感じの人だった。
まぁ、つまるところ私にはミリっぽっちも関係ないのだが。
「いやぁ藤間ちゃんもめんごね、関係ないのに手伝ってもらっちゃってサ」
何て空気の私にもきちんと距離感を図って接してくれている。
そこまで無理にとも思うが、なんとなく負い目を感じているんだろうなぁ、なんて苦笑いでかえす。
こんなことを考えるのも正直久しぶり、といっても一年前はこれぐらいのほほんとした感じで平穏だったのだが。
とりあえずの作業合間合間に休憩のため教室を出自販機での缶コーヒーを嗜みつつそんな、半年の間に私の周りも徐々に地獄に侵食されているなぁなんて戦慄しているさなかいやな噂が耳を過ぎる。
正直噂話なんてものどうでもいい、とはおもっていた。
『人の噂も七十五日』なんて言葉もあるんだ気にしたところでってやつだ。
けれども聞いてていい思いをしない噂っていうのもあるわけで。
今回はそんな方の噂だった。
なんでもモデル子さんが成功しているのは枕だからだとか、実は何人もオジサマをかこっているだとか。
実にくだらない、だから何だという話であるし真贋定かではないことは信じない派の私としてはこういう風に本人のいないところで好き勝手のたまる輩は根本から好ましくは慣れない。
なろうとも思わないが。
ただ噂が立つということはそうではない人間の方が絶対数が多いということで。
たぶんモデル子さんの耳にも入っているんだろうな、なんて他人事なのに我が事みたいに少しいらだっていたりする私もいたりするのは内緒である。
が、そんな気持ちで被服室にもどってみると悪評なんのそのと楽しそうに皆と談話しているモデル子さん達。
強いなぁ、なんてぼーっとしていたら皆何を勘違いしたのか慌てて作業を再開し始めた。
私そんな変な顔していただろうか。
何て考えたが、少しばかり楽しいなとも思ってしまった。
しかし、というか案山子というか、何というか。
正直ここまで楽しいが長続きしないとは思わなかったことをここに追記しておこう。
あんな噂を聞いてからそんな時間はたっていない、だからこそだろう。
男子のモデル子さんに対する目が何人か変わっていることに気が付いた。
これはそういうことなんだろうな、っていうのがまるわかりになるほど態度の変わっていた男子生徒もいた。
「なぁ、いいだろ?お前も相当好きもんみたいだし、な?」
なんてあからさまにそんなこと目当ての発言。
「・・・正直アンタみたいのに答える義理はないし言っても信じてもらえないから何も言わない。けどこれだけははっきりさせてもらうわ、もしそうだとしてもあんたは‘ない‘ネ」
それに対してのモデル子さんの弁。
そしてそれ以降その男子に視線すら向けないという徹底ぶり。
正直名前を憶えていないのを惜しい思ってしまった。
「・・・あぁ?いやいや、は?ふざけんなしこのクソアマがぁ」
私が男だったら結構落ち込むけどな、と思ったがこの男子生徒どうやら逆で逆上してしまったようで。
完全にそっぽを向いているモデル子さんを殴ろうとしていた、しかもグーで。
それも完全に顔を。
『藤崎さん危ないっ』
「あっぶっ!?」
たぶん皆気が付いて声を上げたんだと思うモデル子さんもとい藤崎さんに。
しかしそれより先に私が投げつけた体操服入れが男子生徒の顔面に直撃していた。
それにより顔面パンチを回避できた藤崎さん。
しかし、男子生徒の怒りの矛先は私へと向かい。
「てっめぇ、女のくせに調子こいてんじゃねぇよ!!!!」
何てそのグーが私に直撃した。
そこからの私の記憶は一度切れたことをここに記述しておく。
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