case:49 【×席替えの場合】
「えー、再来月には文化祭が控えている状態です」
六限目のホームルーム、珍しく藤間先生が先生らしい表情で先生らしいことを言った瞬間教室がわいた。
文化祭。
普通にさえ意図からしてみたら胸わき踊るイベントの一つだろう。
現によっちゃんも私の後ろでうるさいし。
しかし
「ですがその前に中間考査がありますので皆さん勉強を怠らないように」
その一言で一瞬にして教室がお通夜のような雰囲気にまで落ち込んだ。
いや、そこまでの事か?と思うのは別段テストを苦に感じていないメンツだけだが、そうではない、特に男子生徒なんかは目に見えてテンションが下がりきってしまっている。
ただ、ふと。
本当に何気なく視線を巡らせてみただけなんだが、委員長とは目があってこうなんだか体育祭で感じたような悪寒を感じてしまった。
これはあれだ、本能が委員長から逃げろと言っているに違いない。
何て一人別の事で戦々恐々としていると後ろからゾンビみたいなうめき声が。
言わずもがな、よっちゃんである。
おおかたテスト関連だろう。
「お京さんや」
「なんだ宝の字」
「勉強教えてくれやす」
ほらな。
なので私はこう言ってやるんだ。
「ことわ」
「断るを断ーーーーーーーる!!」
せめて最後まで言わせてほしかったがかぶせてきたよっちゃん。
こういうところでは頭が働くというか直感も鋭い物になるのにどうして。
何て考えても答えは明らか、よっちゃんだからで終わってしまうのも悩みの種である。
「はぁ、放課後だけね」
だからこうやって私も妥協してしまう。
こういう甘やかしがよくないっていうのはわかっているのだが結局私はどこまで行っても甘ちゃんなのだろう。
「あと、授業中もわからないところがあれば聞いてよね、それだけでも十分違うから」
「それはもちろん!!」
何て旨を張って言い切るよっちゃん。
だったら普段からそうしてくれと切に願う。
が、今この限定的な状況でも聞いてくれるのと聞いてくれないのでは後の勉強に多大な影響をもたらすだろうから限定的でも聞いてきてもらえるのは楽であるというのは本音である。
何てよっちゃん徒この後に迫るテストについて相談しているとここでまた藤間先生が爆弾を投下してくる。
「では最後に、心機一転席替えでもしましょうか!」
あれ?この姉はこんなに先生としていただろうか?
私の記憶が正しければここまで真面目に先生していた時など数える程度しか・・・
ふと、後ろの席のよっちゃんを横目で流し見すると涙目で私を見つめていた。
ごめん。
私のせいではないが、なんかいたたまれない。
恨むぞ姉よ。
ということで。
いや、そんな呑気なことではないのだが。
教壇にはくじがはいいた箱が一つ。
一番前の席の人から順にくじを引いて、くじに書いてある番号のところに移動するといった極ありきたりの席替えなのだが、私達は後ろの方に席があるので必然的にとれる選択肢が変わってくる。
もはやこんなところで運のなさが露見しようとはっ!!
いや、私って運ないな~とか思ったりしていたが何もこんなちゃちなことで現実を見せてこなくてもいいじゃないか。
「京ちゃん、私がいなくなってもわすれないで、ね・・・ガクリ」
ほうら後ろの阿呆もこんなことになってしまっている。
でいれば面倒ごとは避けたい所存なのに。
と、やっと自分の番が回ってきたということでくじを引きに行くことに。
ちなみにいまだに窓際後ろの席が空いているので私は私の今後の平穏の為、そこを取りに行きたい所存ではある。
あるのだが、まぁ、仕方がない。
そうなったときは腹をくくるとしよう。
何て、これがよっちゃんが教えてくれたフラグとかいうものなのだろう。
くじの結果にうなだれる私の横をすり抜けよっちゃんが屍のような雰囲気でくじを引きに行く。
よっちゃんは最後の方だから席はほとんど余っていない。
が、まだ奇跡的に私の前の席だけは空いていた。
とはいえそこ以外はかなり距離が離れてしまっているところばかり。
それではああなるのも仕方なし。
「っ・・・いよっしゃぁぁあああああい!!」
何て心配してやった私の真心を返してほしい。
「京ちゃん、テスト勉強よろしく!!」
結局私とよっちゃんは堅い絆(笑)で結ばれていることの証明になった。
しかし、その副産物として席替えの総合的な結果は、私の前がよっちゃんなのはいいとしてその隣が委員長。
そして私の隣にこれまた幸か不幸なのか小鳥遊さんが居座る形となってしまった。
結果、横の列の人たちからものすごい視線を感じることになる。
次の席替えはいつだ?もう今すぐ席を変えてしまいたい。
できる事ならやり直しを要求したい。
だけどこの結果が分かったときに腹をくくったんだ私!!逃げるな私!!
けれど誰か、胃薬をください。
じゃないと胃に穴が開きそうです。
感想などよければよろしくお願いします。




