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三姉妹方程式  作者: 蝉時雨
二学期
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case:45 【×転校生の場合】Act.2

『変なきっかけで敵意を向けてくれないことを祈るばかりである。』


とは思ったものの、それがどのタイミングで発露するのかなんて予測を立てるなんて超人じみた子できるわけもなく。

かといって普段の授業からでもその機会というのはいくらでも降ってくるというのも否定できないのも事実で、そこから予測を立ててみてはなんて考えることもできるわけで。



なんて考えていたのだが、現実はどうだろう。

転校生はこちらに眼を向けることはない。


私が目立つことを極力避けている、ということもあるかもしれないが。

それにしても姉や妹の狂行は私の範疇の外であるというか、生徒会長なんかはその最たる例なのだが、それらに絡まれている時でさえ気にしている素振りはない。

委員長は何か有る度にこちらを睨んできているというのに。


あ、いや、別に転校生に興味を持ってほしいとかそういうことではなく。


何かこう、誰にも興味が無いというか。

そんな風な違和感を感じてしまうというか、見た目は委員長感全開なのにどこか無気力さを感じるというか全力ではないというようにかんじられてしまう。

どちらかというと今どきのギャル、的な方が雰囲気的に似ていると思ってしまうほどに。


とは言え完全にそうかといわれればそれも違うというか、うむ、難しい。


「おんやぁ?なんだかんだ言ってまだ興味はある京ですかな?お京さん?」


何て授業中の転校生、小鳥遊さんを見つめもとい観察をしていると後ろの席から冷やかしの声が。

いや、こんなの無視だ無視、聞こえなかったことにすれば冷やかしもなかったことに。


「っていや無視しないでよッ」


なら無視されるようなことを言わないでもらいたいものだ。

でもとりあえず、釘を刺しておかないとこの先しばらく同じことを言われそうなので忠告はしておく。


「いい加減そのネタ飽きたよ?よっちゃん」


「いやさ、つっても最近ずっと転校生ちゃん見つめてるじゃん・・・まさか京ちゃん、春?!」


「・・・今まだ夏でしょ」


あまりにもありえない問いかけに思いっきり突っ込みを顔面に入れてやろうかとも思ったが、そこは我慢して当たり障りのない返事をして置く。


恋愛事云々の前に私は生徒会長や駄姉妹のような変な感性の持ち主と一緒にしてもらいたくないものだ。

現在進行形で授業中だったことを忘れてそんなことを考えているとよっちゃんからバッシングの嵐

そしてよっちゃん含め叱責を食らう羽目に、解せぬ。


ただ、話を戻すが転校生からは委員長みたいに積極的に私に敵意を向けてくるような雰囲気を感はしない。

だからこれはあれだ、『触らぬ神にたたりなし』というやつである。


編に刺激して妹とか姉とか出しゃばって変に話をややこしくする必要もないだろう。

故に私は静観を決め込む。


とはいっても世の中そううまくは事が運ばないもので、それが楽しいと思える人もいるというが・・・



放課後教室でよっちゃんと妹に別れを告げた直後に政経担当の教師に荷物運びを手伝わされた私は社会科準備室を後に、この時間はもう教室に残っている人はいないだろうな~なんて思いながら荷物を取りに教室へ。

しかし予想は裏切られ、その場に居たのは転校生。

いい機会だし少し話でも、なんて思ったのが運の尽き。


「心配しなくてもうまくやってるってば、誰もこんな見てくれじゃ私がアイドルだなんて気づいてないって」


瞬間私の周りの空気が固まった。

どうしてこう私は間の悪い瞬間に居合わせることが多いのだろう。


「ええ、わかってるわよ、前の学校でもそれが原因で入れなくなったわけだし細心の注意をはらってるって」


ええ、ほんと細心の注意を払っていただきたい。

とりあえず、校内でそんな電話をしている状況は細心の注意とは言わないのではと私は心の中で落涙を落としておく。

ただ、ここでめげてはいけない。

何事もなかったかの世にここを去れば、彼女は自分がしでかした過ちに気が付かない。

私もトラブルに巻き込まれない。


まさにウィンウィンの関係というやつだ。



何てゆっくり考えている暇は私にはそもそもなかったということを私はこのあまりにも衝撃的な展開で忘れてしまっていたのかもしれない。

もしくはただの現実逃避か。いや、逃避だな、これは逃避だ。

今すぐ逃げ出したいもん。


「・・・えっ・・・?」


私が呑気に考え事をしている、そんな気配を感じたのか転校生が振り返る。

本当、私なんですぐこの場から逃げなかったのか。


「あっ、えと・・・あはは、さような、ら?」


とりあえず、何もなかった、聞いていなかった風を装いこのまま立ち去ってみる

「あんた、今の会話聞いてたわね!?」


なんてことはできるわけもなく。

「い、いや、何のこと?」


なので作戦を変更してごまかしてみたり

「あんた授業中とかいつも見てたでしょ・・・しらばくれてもいいことないよ」


運過去の自分にビンタしたい、完全な墓穴だったようだ。


「言っておくけどこのことばらしたりしたら・・・」


ばらしたりしたら、どうなるのかはその相貌が雄弁に語っていたことを私はここに記しておこう。

それと共に

「あれ?京ちゃんまだ帰ってなかったの?お姉ちゃんと一緒に帰る?」


この時ほど姉を尊敬したしたときはないことも記しておこう。


「それと、小鳥遊さんも下校時間はとっくに過ぎてるわよ?あ、部活動見学?それなら遅くならないうちに帰るか誰かと一緒に帰るのよ?」


何て注意しながらも私の手を引いて強制退場させてくれるあたりさすがは姉、たまには役に立つ。


とは思うものの、去り際の小鳥遊さんの表情と聞こえてきた舌打ちに私はただおこの先に待ち受けている苦難を先延ばしにしただけだと気付く。



まったく二学期始まってそうそう、うまくいかない。

これを楽しいを思える奴の気が知れないぞまったく。


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