case:39 【×夏休みの場合】Act.4
夏休みの一イベント。
肝試し、今震える櫻井さんを横に洞窟へ一歩足を踏み入れる。
洞窟内はたった一歩とはいえ空気ががらりと変わりどこかひんやりとした空気に。
明かりも持っているろうそくしかないといった状況が背中に冷たい汗をしたたせる。
なんて考えていると前方からぼうっと人影があらわれ櫻井さんから悲鳴にならない引きつったような息が上がった。
「いいやあぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」
かと思ったら前方からものすごい奇声も上がった。
正直こっちに驚いてしまったが、この突然現れた影の正体は一番最初に入っていった委員長ペアであたしたちの急な登場に驚いてしまったとの事。
「こ、こほん。はしたない姿をごめんなさい・・・恥ずかしいぃ!!!」
特に私に見られたのが引き金となったのか出口へ一直線に走り出してしまう。
これはよほど恥ずかしかったと見える。
球技大会ではよくよく痛い目に合わされた私だがなんだかはしたない話胸がすく思いというのはこういうことなのだろう、と思ってしまったのは内緒である。
委員長グループに出会ってからまたしばらく、今度はよっちゃんと妹に出くわすことに。
一方通行なのだからであって当たり前なのだが。
「あああ、さっくらいさんじゃあないですかぁ!!こんなところでお姉さまといかがおすごしでぇ!?」
当たり前のように櫻井さんに眼をつけながら迫ってくる妹。
それどころではない櫻井さん。
私としては櫻井さんの味方なんで。
「はいはい、どうどう。終わったんなら戻りなさいな、私達はまだまだあるんだから」
「では、ここからはこんな役立たずよりボクをっんむぐっ」
「んじゃ失礼しました~」
さすがの妹の自分勝手さによっちゃんも空気を読んでくれたのか口をふさいで出口へと向かっていく。
後に出口の方から妹の怒声が聞こえてきたのは言わずもがな。
ただその声に櫻井さんが驚き抱き着いてきたのは不覚にも可愛いなと思ってしまったが。
すると行き止まりと思しき場所に蝋燭が二つ。
折り返し地点ということであるが、この肝試し域は明かりがあるが帰りは明かりのない中帰ることに。
暗闇の中だと域の時よりも怖さはひとしおか、本番はここからということになるだろう。
「あは、あははは、ら、らくしょっすね、へへへへ」
本人曰くはということらしいが、最初から足をがくつかせ今も顔面を青くしているこの娘は何というか。
ということで怖がらせないよう安心させる意味もこめて手をひいていこう。
と思ったら別の場所から引力が。
空いている手を引かれてまるで私を連れ去る様で。
ってなんて呑気に考えてられない状況だった。
「は?え、ちょなに!?」
「ぇ先輩ぃい?ど、どこすっか!!??」
思わず大声をあげてしまったことで櫻井さんが恐怖に漏らす声が聞こえたが、私を引く手はそんなことを気にせずどんどんと進んで
「ってそうはさせるか誰だあんたは!!」
あまり非科学的な存在を信じていないから、というかその手に伝わる感触からきちんと抜くもろを感じられたから明らかに誰かのいたずらであることは簡単に推察できた。
大方妹あたりが櫻井さんに嫉妬して
「んふふ、まぁここらでいいでしょう。あの子も恐怖で動けないみたいですし、ねぇ京様?」
とか勝手に疑ってすまなかった妹よ。
というかなんでこの人がここに?そうそれは紛れもなく生徒会長の声であった。
「いや、なんでさ!?」
「あら、知らなかったかしら?ここは私の叔父が経営しているペンションなの。お友達から貸してくれないかと打診を頼まれたのだけれど、そういうことなのでしょう?京様ぁ」
長くじらされたとでもいうのかまるで獲物を目の前に待てを強要されている肉食獣のような、とりあえずこの状況はひじょ~~~~~にヤバい。
ということだけは言える。
だって、この暗闇の中私は生徒会長の位置を声とか視線など感覚的なもので測るしかないのだから。
それに反して会長はなぜだか私の位置を熟知しているみたいだし。
「ひぃいやゃあああああああ、先輩どこっすかああああ!!」
生徒会長を警戒し、迂闊に動けないでいたら奥からこれまた何とも言えない悲鳴と共にこちらに走ってくる櫻井さん。
暗い中何とも方向を見失わずに来たものだという簡単と、可愛い悲鳴だなということを呑気に考えてしまった。
だって
「どうふっ!?」
その櫻井さんが無意識にも生徒会長にタックルかましたようであったからだ、櫻井さんは訳も分からず小あばれしているが。
と、ふと足元に何かが転がってくるのを感じ拾い上げてみるとそれは何と暗視ゴーグルなる物だった。
おそらく生徒会長の・・・いやそれ以外はないだろう。
とりあえず、いろいろあったが櫻井さんのおかげで恐怖とはそうそうにおさらばできそうだ。
私はその暗視ゴーグルを身に着け、今田混乱している櫻井さんをさとし、悠々と出口へと向かう。
もちろん生徒会長は放置だ。
というよりはよっちゃんと、あとペンションのオーナー。
今思えば高嶺という苗字を名乗っていた段階で気が付けよ私とも思うがそれは言わない方向で。
この二人に文句の一言でも言ってやらねばと思う。




