case:33 【×高嶺の花の場合】Act,6
たった今日一日でいろいろなことが起きた。
それまでの緊張感のある日々は延々と思えるほど続いていたのに、蓋を開けてみればすぐ終わりそうな話である。
ただ、好いた者が思いの丈を打ち明けようとしているだけなのだから。
ただ、ただそれだけの事なのにここまで面倒ごとになっているのはなんでなのだろうか、と頭を悩ませるところではあるが。
拘束具を取ってもらった私は改めてこの場にいる三人。
生徒会役員である、高嶺生徒会長と副会長の政道先輩、あと一応助けに来てくれたであろう妹の幸を見やる。
もちろん、この状況の一番の被害者である私を無視していろいろ話を飛躍させようとしたのであるから全員正座させている。
いつだかの委員長がウチの姉を説教して恐怖を覚えもしたが私だって説教するときは説教する。
そんなときに相手に与える恐怖感云々は考えない。
「はぁ、まったく、当の本人を置いてきぼりに各々好き勝手発言ですか・・・まったく生徒会が聞いてあきれますね」
「・・・っ」
「あぁ・・・怒る京様も素敵ぃ」
妹や姉、よっちゃんのような身内を叱るならいいが相手は接点の少ない、というか一切といっていい生徒会役員様だ、怒っているとは言え敬語は崩さない。
その私の正論に二の句が出ない政道副会長はまだまともだといえる。
それに、こういうことに慣れている妹も今は静かにしてくれているのはありがたい。
問題は正座しつつも見惚れくねくねと珍妙な動きをしている生徒会長様である。
正直そこに集会等で見るキリリとしたまさに高嶺の花という面影は微塵もない。
まぁ、今回私から言えるのは迷惑を考えてほしいということだけだから妹やや政道副会長は完全とばっちりに近いのだが。
「それに関してはこちらが全面的に謝罪する、申し訳なかった藤間さん」
「え?はぁ、まぁ・・・ですが当の本人はこの様子ですが?」
どう説き伏せようか、と頭を悩ませていると先に口火を切ったのは副会長だった。
全面的な謝罪、おそらく、というか絶対この人が会長のストッパー的役割なのだろうが今回は予想外だったというところか。
というかなんとなくわかっていたがやはり会長の独断暴走だったか。
「そう・・・強引なのは謝るわ京様、でも・・・でも!!京様を心から愛している気持ちは本物だから!!!!」
はい、会長からも謝罪いただきました、結果今までのすべては会長一人の行動であることが私の中で確定。
でも気持ちが本物だからと言って誘拐まがいの行動をしていいわけではないだろうに。
「はぁあ!?お姉さまを心から愛しているのはこのボクだ!!!それだけは譲れないね!!!!!!」
と静かにしていた妹だが変なところで突っかかる、まったく頭が痛い。
なので、言い合いが勃発した会長と妹はほっといて副会長と話すことに。
「はぁ、まったく頭の痛い・・・それでどうします副会長?」
「あ・・・はっ!えっと・・・その再度謝罪を・・・」
生徒会長と妹の口論を驚愕のまなざしで見ていた副会長、何か変なところでもあったのか同じことを言ってくる。
「いえ、それはもういいです、で問題は事の収集ですよ」
正直私一人であの二人を相手にする気はない、というか相手にしたら精神的に不登校する。
だからこそここ一番便りになりそうな人を利用しようという算段なのだが・・・人選を誤ったのだろうか。
なんて考えていた
「ああ、いやこの件を足掛けに会長の辞任を要請しようかと」
ら、そんなことを言ってのけた。
ので
「はぁぁぁああああああああ!?」
私は思わずそう叫んでしまっていた。
すると当然総論していた二人もこちらの話題に耳を寄せるわけで。
「いやいやいやいやいや」
「何を驚いているのだ?君としてもこういう変な会長はやめてもらった方が安心だろう?」
いやいやいやいやいや、この副会長来た時からそういう事を言っていたが、ここまで愚直というかそれ一本になると周りが見えないというか。
正直、事の収集とは今この現状をどうするかこの後どうするかを説いただけなのに会長がどうのとか。
そんなのぶっちゃけ私にはどうでもいいし、どっちかっていうと一般生徒に戻ろうがこの行動がやむとは思っていないからキチンと生徒会で管理してもらいたいものなのだが。
「なっ、それはこまるよ政道君!!」
「なにを今更!このような行動に出たということはこういう結果になってもいいという覚悟があっての行動・・・・・・・」
と混乱しているとまた違うところで口論が勃発してしまった。
こういう人たちは誰かと言い合っていないと落ち着かないのだろうか。
もう頭もお腹もいっぱいいっぱいだ。
「あーーーーーー、だぁーーーーーーーーーもう!!!!いいです!!!!今回の件はなかったことにしましょう!!!!会長はそのまま会長で!!!!!!!!」
聞いててもあまりにことが進まない現状にもうやけっぱちの心情だった。
正直この時の私は柄にもなく感情だけで喋っていたのだろう。
「高嶺会長!!!何かあれば直接来てください!!!!今後こういったことは勘弁ですから!!!!!!」
だからだろう、こんな事を言ってしまったのは後悔しかない。
総じて投げ捨てるように幸と一緒に旧校舎を後にした。
この事件はそれで解決。私はそういうことにした。
後日、会長が辞めるとか噂が流れたがそれは噂のみで終わった。
それと、あの日からそれ以上にあの視線が降り注ぐこととなった。
ああ、胃が痛い話である。
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