case:29.5 【×高嶺の花への場合(番外)】Act,1
体育祭、私はひとつ危険な事故にあいかけた。
けれどもそれを救ってくれた人がいた。
ここからは回想になってしまうけれども、あの時の私は雑務に追われていた。
予想以上に男子生徒から怪我人が続出してしまった為に対応が生徒会に収まらずどこに頼むのか、そして開いている生徒の確保に奔走していた時だった。
試合が終了しているクラス名簿を片手に階段を上がろうとしたその時、完全によけきれたと思っていたのだが私はそこでじゃれ合っていた男子生徒とぶつかって落ちそうになってしまった。
正直、階段から転げ落ちたとしても大した怪我にはならないだろうが面倒といえば面倒である。
その時はこれだから男子は、なんて呑気にも考えていたものである。
しかし現実はそうはならなかった。
誰かが誰かを呼ぶ大声と共に私の背中に、柔らかくそしてフローラルな香りのするものが張り付いた。
感覚だけでわかる、誰かいや女の子が私を助けるために飛び出してきたのだ。
だが、落下に対する負荷は変わらず、落ちてく。
私は焦った。
助けてくれようにもかかわらず、その子にまで怪我させてしまうのは。
私が許せない。
と思ったとたん、落下は止まった。
下に待ち構えていた誰かに受け止められていた。
とっさのことに判断が鈍りボケっとしてしまったのは私の誤算だった。
はと階段を見上げた時には私とぶつかった男子生徒はいなくなっていた。
ただ話を聞いている感じでは、私を受け止めてくれているこの二人は私を受け止めようとしてくれていた彼女の知り合いということがわかる。
おそらく、私の状況から一瞬の判断でここまで指示したのだろう。
その推眼には恐れ入った。
おそらくこの感情はつり橋効果とかそういったものでは決してない。
だって、私は別に階段から落ちること自体にはそこまでの恐怖は感じていなかった。
だのに胸が高鳴っているということはつまり、そういうことなのだろう。
今まで、誰かに言い寄られることは多くありはしたものの、誰かに自分が惹かれるということはなかった。
だからこそ今私は、彼女に見とれてしまっていた。
いけない、とわかっていても、生徒会権限で名簿をあさり、彼女には言い寄る邪魔者が多いことを知り。
それでも日々気持ちを伝えるチャンスをうかがうように観察を続けていた。
たまに見つかりそうにはなったものの、運よく難を逃れ、邪魔が増えてもなお機会を待ち望んだ。
そして今、その時が来ようとしていた。
私の気持ちを伝え彼女を私のものにするその瞬間が。




