case:29 【×高嶺の花の場合】Act,2
「はぁぁ・・・」
朝の登校からため息を漏らす。
あいにくと本日は朝練がないのか朝の登校にはよっちゃんと妹が付いてきてしまっているが、それでも隠し切れない疲労というものがある。
それが姉妹のこと以外となると、委員長がいい例なのだが『あんまり外に出したくない』という気持ちが勝りうちにためたりするのだが、今回はそれ等にすら勝るほどの不安と疲弊をもたらしている。ということだ。
もちろんそんな私の不安は一緒に登校している以上二人に伝わってしまうわけで。
「どうしたんですか?お姉さま朝からため息を・・・ボクは心配です」
心配です。と言いつつもふんすと鼻を鳴らすところ、過激的というかなんというか。
完全に他人のせいだと思い込んでいるじゃないか。
まぁ、今回に関してはあながち間違いでもないというか、それが正しい方が強いというか。
「京ちゃん大丈夫?昨日の事っしょ?」
「!?弥生先輩どういうことですか!?」
よっちゃんの一言で妹が食いつく。
そりゃもちろん昨日のことだから妹が知らないのも当然。
故に、妹にも一応の説明をしておかないと、と同時に昨日は部活動だったため別々に下校した私達だが、その後の事とかもよっちゃんに報告しなければ・・・。
あの後もいろいろとあったし。
それは昨日のゴミ捨てのあと委員長のひと叱りを終え、よっちゃんと別れた私は一人いつもの帰り道を歩いていた時の事。
学校から出てすぐの出来事だった。
その時、最近感じていた視線の正体が姉妹によるものではないということに気が付いた私は、では一体誰の視線が私に刺さっているのか、という考えに頭を支配されていた。
それほどに最近の出来事の中では群を抜いて心身共に疲弊するでき事であるといえる。
ただ、ふとまたゴミ捨て中、そして最近普段から感じていた視線を背後から感じた私は次こそはその正体をと勢いよく振り向いた。
しかしそこには人影どころか小動物の一匹すらいなかった。
正直自分の感覚をうたがいもしたが、考えてみれば視線を感じただけで人の気配はなかったと冷静になってみればなんだ、と思ってしまう。
何というか、自意識過剰気味なのである。とほっと一息。
とりあえず、今は特に何にもないと一息ついたのもつかの間だった。
ちょうど木と木の間からわずかにのぞく校舎の窓がら何かがきらりと光るのが目に入った。
そして自分でも驚くほどおぞけが走った。
確実に、といえるほどその何かの正体がわかってしまったのだ。
『望遠鏡』そしてその奥の瞳と目があったことを直感が告げていた。
場所的にそこは三年生の教室がある階、距離的に人相なんかは全くわからない。
それどころか、向こう側も直観的か、それとも実際に見ていたからなのか目があったことを認識したことでそこから立ち去る人影ぐらいしか確認できなかった。
だが確実にそこに誰かがいたことだけは確認できた。
そうやはり誰かに私は見られていた、監視されていたといっても過言ではないほどのものだった。
その恐怖に思わず詳しく確認することを忘れ足早に帰宅してしまったことが悔やまれるが正直昨日ほど誰かわからない誰かに恐怖を感じたことはないといい切れてしまうのだ。
結局その日は誰にも打ち明けることはなく布団に収まってしまった。
と、言うのが昨日の出来事。
その暴露にさらに心配の色を深くする二人。
さすがに妹はいつもの調子で『ふてぇ奴だとっちめてやる!!』などと息巻いているがよっちゃんの方は昨日の今日である、さすがにいつものお茶らけた様子はなかった。
「う~ん、さすがにそこまで来ると勘違いじゃすまないよねぇ・・・勘違いでも確認することは大事だと思うし・・・よし」
久ぶりに見るよっちゃんの陸上以外での真面目な表情。
そして、一つ手を鳴らすと同時に提案してくる。
こういう時は、というと失礼だな、と笑われてしまうがそれでもこういうときのよっちゃんは頼もしい。
休み時間や下校時などなるべく一人になることを避けようというのがよっちゃんの提案、そしてさらに三年生の階には文科系の部活動の教室があるため幸も福江調べてくれるというのだ。
私も調べることは調べようと思っていたが、それは妹にとめられてしまった。
曰く今一番危ないのは私だからだそうで、まさにその通り。
何とも恐怖で頭が鈍ってしまったか。
一応このことは教師でもある姉にも話しておこうと思う旨を二人に説明する。
何かと猪突猛進型な姉妹ではあるが、大人の力があるのとないのではいろいろと違ってくる。
故に使えるものは親でも使おう、とは言いすぎだが、できることはできるだけすべてやっておきたい。
それほど、今の私の中の恐怖が勝っているという証拠に他ならないわけなのだが。
とりあえず、これからしばらくは手段行動を基本に帰りは部活動が終わるのを待って一緒に帰ることになった。




