case:24 【×体育祭の場合】Act,2
とある日の放課後、毎日のように続く練習に精を尽くしていた。
思うのだがこの練習は強制参加では無い。
にもかかわらず私に関していえば委員長にひきずられ半ば強制的に参加させられている。
他の生徒には家の事情とやらでサボり・・・もとい休んでいるクラスメイトが数名いる中でだ。
もちろんよっちゃんは委員長に引きずられながらも毎回私が引っ張ってきているが。
それにしても私への扱いがひどいというかなんというか。
一度抗議を申し出たのだが『運動音痴だから』の一言で却下された。ぐうの音も出ない。
そんな風にちらほら何人か休みが出る現状ではあるのだが、今日だけは違った。
普段練習にあまり参加しない娘まで今日はジャージ姿でグラウンドに来ていた。
といっても完全に来ているだけで身なりを気にして練習に参加する雰囲気は一切しないが。
というか今日は全体的にグラウンドに来ている多クラスの生徒が普段に比べても多い。
そしてその普段見ない生徒の共通点として皆一様にそわそわしているというか、上の空状態というか。
挙句には普段練習で見ている生徒も今日に限ってはどこか身が入っていない様子でもあった。
委員長だけはいつも通りなのだが。
そして私が普段通り泥と汗にまみれている時、急にグラウンドのあちらこちらから黄色い声援が上がった。
何事と委員長含めまったくそちらに注視してない者までもそちらに視線を向けた。
そしてようやく何故皆が今日に限って様子がおかしかったのか分かることができた。
その理由は校舎からやってきた生徒会役員の腕章をつけた二人の生徒にあった。
我がクラスでも競技決めの時に噂になっていた現生徒会長と副会長様であった。
事情通のよっちゃんの話によると、怪我などの問題の早期解決のため生徒会の役員が毎回監督担当をしてるようなのだが、今日だけは他のことで普段忙しい生徒会長と副会長が担当なのだとか。
どうやら皆今日に関していえば、練習よりもそちらが主目的であったようで、一人が走り出すとそれにつられるように生徒会の二人達の方にとたんに人垣ができてしまった。
もちらんうちのクラスからも何人もの女子生徒が練習を離脱してそちらに向かってしまっている状態だった。
残されたのはそういったことに興味がない私やよっちゃん、あとは相当のメンクイな人たちがほんと数人数えれる程だけが残っている。
もちろん委員長は興味が無い、というか今は私しか見えていないのだと思う・・・自意識過剰であればいいのだが。
だがしかし、自意識過剰なんのその。
呑気にその人垣を眺めていたら委員長からの怒声とともに私一人だけでのノック練習が始まった。
よっちゃんやほかの生徒がいるにも関わらずに。
まるできちんと練習できないうっぷんを私で晴らすかのように、右へ左へ走らせるように球を転がしてだ。
そして黄色い声援が遠くで上がるたびに私は委員長の怒声を浴びせられたのであった。
さすがにこの状態、私の心身も限界でよっちゃんに助けを求めたのだが。
「藤間京!!自分からにげるなぁぁぁあああ!!」
という委員長の叱責にさすがのよっちゃんも苦笑い。
私の堪忍袋も限界に近づいてきていた。
そんなさなかどこからか舐めるような視線を感じた。
なんだか嫌悪感を感じるその視線に気を取られ、飛んできたボールは見事に私の鳩尾へと吸い込まれるように直撃。
意識が遠くなりそうなさなか、その視線は人垣の中から確かに感じたことを確認した。
そして私は珍しく慌てる委員長の声を遠くに感じながらも保健室へ運ばれることとなった。
ただ幸運なことに今日の練習は休んでいいことにまさに怪我の功名というやつではあるが、そもそもあの舐めるような視線がなければこう痛い目にあうこともなかったのである。
そのことにこう私の中からふつふつと湧き上がる物があった。
実際には委員長に感じていたものなのだが、その矛先は直接関係のまったくない生徒会へとなぜだか向いていた。
マジ生徒会許すまじ。
そもそも生徒会が来なければ委員長があんなに激昂することもなかっただろうし、(おそらく男子の)あの嫌悪感を感じる視線を投げられることもなかっただろう。
そう考えれば考えるほどなんだか生徒会に怒りを感じてしまう私がいた。
本当のところ全く生徒会は悪くないし、言ってしまえば生徒会は仕事をしていただけで私に何かしたわけではない。
ないのだが、一ミリも彼らに悪いところはないのだが、それでもこの行き場のない怒りを消化するには生徒会は今の私にとっていい八つ当たりの対象だった。
まぁ直接関与もないし、私一人が心の中で生徒会に八つ当たりしようが彼らには何の影響もないのだから八つ当たりぐらいは許してほしい。
というか、許すも何も私の胸中であれば生徒会の許しもくそもないのだ。
今回に関しては生徒会が悪い、そういうことにしよう。
うん、そう思えば明日からも続く委員長の強制練習もなんだか心も軽く参加できそうだ。
ありがとう生徒会、そしてこんちくしょう生徒会。




