case:15 【×不良生徒の場合】Act.4
不良少女編最後になります。
もう一度確認しよう。
・・・うん声の主は妹だった、そうまぎれなく妹だった。
いや
いやいやいや、なぜここにいるし。
部活はどうした。
というよりなんでここがわかったし。
「男子、許すまじっ!!」
そして現状を見るや否や、まるで私に相対している不良男子生徒が絶対的悪であるかのような決め付けとともに、私が彼にやって見せた物よりもより精錬され完成度の高い、もはや飛び蹴りというよりドロップキックといっても過言ではないほどの蹴りをその生徒にかましていた。
吹き飛ぶ男子生徒、そして見事な着地。
さすが運動部だな、とここで実感してしまう私も私なのだろう。
その妹の見ていた不良生徒たち、そして一緒に逃げてきた彼女までもがしきりにウルフウルフとつぶやき始めた。
さらには蹴りを食らって飛んで行った男子までもが同じことを叫びながら逃げ出したのを皮切りにほかの生徒も蜘蛛の子を散らすように逃げて行ってしまった。
そんなこんなで場に残るは混沌とした空気のみ。
若干一名が私に疑惑のまなざしを向けている。
それもこれも先ほどからウルフウルフと恐れられている存在(私の妹)が猫なで声で、いやもはや猫そのままといったほうが伝わりやすいか。
ともかく全力で腕にすり寄りかまってアピールをしているからである。
いや、まあぁわかるけどね。
でも一番この娘に疑問を抱いているのは私なんだけど、とは言いだせるわけもない。
そもそもウルフとは何ぞや?というのが私なのだから。
「な、なぁお前は、そのウルフと知り合い、っていうかもしかしなくても姉妹?とか?」
というところでジャージ女子から核心の質問が飛び出た。
瞬間妹のこの名も知らぬ女子へのにらみが強くなりジャージ女子が声にならない悲鳴を上げたが今回は悪いな、私は彼女の味方だ。
「う~ん、そもそもウルフっていうのがこのうちの妹を指しているなら、そうなるかな?」
「は、はぁ?」
歯切れのわるい私の返答に余計困惑顔を濃くするジャージ女子。
まぁうん、そうなるね。
ということで答え合わせとして私と彼女、その両者の視線が妹である藤間幸のもとへと行くことに。
「え、え?あ、いやそのお姉さま、それは違くて、え、え~となんのことですかねぇ~あはは」
なんて妹はごまかしているけれども。
そういえばちょっと前によっちゃんが『商店街のロケットウルフ』とかいう単語を漏らしていたような・・・。
幸には内緒にしていてほしいと頼まれていたみたいだけど。
「いやでも、あんたロケットウルフその人だろ!?商店街でたまに出没するっていう噂の!!現にあの蹴りはウルフの代名詞だろうが!!・・・です・・・」
途中彼女の断言的な言葉使いにまたも妹の視線が厳しくなり急に萎縮し言葉使いを治すジャージ女子。
こらころ、そんなに睨んだら肯定しているよなものだろうに。
「『商店街のロケットウルフ』・・・ねぇ」
「お、お姉さま!?ち、違いますよ!?ボクはそんな凶暴かつ乱暴者では」
「なんのこと?私は別に幸のことを言っているわけではないんだけど?」
「あっ・・・」
よほど私には知られたくなかったのだろう。
私がその単語をつぶやいたとたんに慌てて自分ではないことを強く否定してくる。
まぁ、それまでの態度で確定ではあったのだけれども、この行為が一層妹がそれであることを証拠付けてしまった。
まぁだからと言ってその『商店街のロケットウルフ』がどういうものあのかは詳しくはわかったわけではないのだけれども。
まぁそれでもジャージ女子に対する答えは出たわけで。
「と、いうみたいで」
私が答えると同時にうなだれる妹そんなにばれたくなかったのか。
一体どういう存在なのだロケットウルフ・・・
「ウルフに姉がいたことも驚きだけど、さらに姉は運動は全然ダメなことのほうが驚きだよ」
おおう、いやそれは今関係ないだろう持ち出すなジャージ。
「いや、それよりもボクはお姉さまがこんなところでそんな奴とあんな危険な目にあっているほうが驚きです!!よもや貴様ぁ・・・」
あけっらかんに私と対話するジャージ女子に対しいらぬ想像をした妹が一人。
おいおいそう、いきり立つな。
「ち、ちがっ、これはそのあのこの方が助けてくれたんですよ!」
ほらこんな金髪不良少女まで萎縮させる(自称)かわいい妹が一体どこの世界にいるというのか全く。
「妹よ、そう怒るな彼女は悪くないし、諸悪の根源ならさっき逃げてったよ」
『ロケットウルフのおかげでね』という言葉までは飲み込んだ。
これ以上幸にストレス与えて開き直られても困るし、ここは弱みの一つでも握っておいたほうがいいと判断。
「え・・・お姉さまはやはり女神!!こんな見るからに不良な奴だろうと困っていたら助けるとかボクますますお姉さまのことを」
「藤間ぁ・・・さぁちぃいいいいいいいいい!!!!」
ジャージ女子と私の言葉で私を見直したとか軽くジャージ女子のことをディスり始めたりとしたところで再びドスの聞いた声が路地裏に響き渡った。
「あ・・・弥生先輩・・・」
「お前、部活抜け出してこんなところでって、京ちゃん!?どゆこと!?」
やぱっり妹よ、抜け出してきたのか・・・
・・・・・・なぜ抜け出したのか、とかどうしてここが、とかは私でも怖くて聞けないから聞かない気音にしておく。
とりあえず妹の後始末やら説明やらで私も一度学校へ戻ったほうがいいかな。
「とまぁ、いろいろ解決って事で。ジャージ女子、あんたも不良やってないで学校には行きなよ?」
とこの状況に置いてきぼりだった彼女へ、送るといったところだがそれができなくなった。
といっても危険は去ったのだからもうその必要もないだろう。
そういえば彼女を助けた理由、過去の出来事だが・・・まぁこの騒動、思い出すもないよね?
だからこの話は思い出したときに語るとでもするよ。
「!?っておい何で学生って決め付けるんだよっ!!」
と何の気なしに言った私の一言だが彼女的には気になったところがあったようだ。
まぁ、そんな難しいことではないと私はしたり顔で
「地理的にあそこをあの時間にたむろするのは無職の人間かサボりの学生、無職の人間がそんなわざと崩したような身なりはしないし、見た目の年齢的にも合わないでしょ?後は単にカマかけただけだけど私の感も捨てたものではないね」
「・・・~~~~っ」
そういうと彼女は今日一番恨めしそうな顔をして私を睨んでいたが、今日一番自然なぶっていない表情だった。
翌日
まぁ校門前でそのジャージ女子と自分と同じ制服姿で遭遇するとはね、だれが思うでしょうか。
ましてや妹と同じクラスとはね、ははは。
まったく乾いた笑いしか出ないものである。
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