case:11 【×幼馴染の場合】Act.3
幼馴染編最後です。
どうぞ
走り終わったよっちゃんをそのまま無表情で見ていた。
正直陸上の世界のことはまったくわからないのだ、この結果にどう反応していいかすら困っている。
我が高校の運動部のすごさなんかまったくといっていいほど知らないのだ。
そんな私にはこれ(無表情)しか無いわけである。しかたなし。
とすると、走り終わったよっちゃんが私のほうを見て軽く汗をぬぐいながら
走る前とは打って変わって軽めに手を振っていた。
流石に走った後は陸上選手でも疲労感は強いのか走る前のような過激さはない。
まぁ当然といえば当然か、陸上慣れしているとは言え同じ人間なのだからな、うん。
と私も『お疲れ様』の意も込め軽く返してやる。
が、そこで私は対する彼女の反応の不可解さに気がついた。
私はよっちゃんに対して手をふり返したのだが、なんだかよっちゃん自身は私ではなく他の別の誰かに対してその反応をしているようで。
いうなれば『自分が挨拶されたと思って返してみたらそれは後ろにいた別の誰かだった』かのような。
なんだか嫌な予感がすると思い、よっちゃん注視してみれば手を振っていたのがまるで誰かにその誰かが探している人物はそこにいる。ということを教えているようなゼスチュアで私を指している。
それはなんとなしに伝わった。
伝わってしまった、そりゃあ走る前の過剰さも減るだろう、業務連絡のようなものなのだろうから。
もちろんその誰かを確認するには後ろを振り返るしか無いのだが、私の首は思うように動いてくれない。
というかだ、思い当たる節が二通り、姉か妹かしかない。
加えて言えば調理部の顧問である姉が陸上部に顔を出す理由がないことから導き出される結論は一つ。
そう『真実はいつも一つ』だ、今すぐここから逃げ出したい。
コ○ン君いつも立ち向かってすごいと思う。
なぜ最初から気がつかなかったのだろうかとさっきまでのんびりしていた私に喝を入れたい。
もはや私に何かできることはなく、来たる出来事への気合入れとして深呼吸。
をするために大きく息をすったところで急に後ろから抱きつかれたのである。
案の定妹である。ああ、わかりきっていたさ、心の準備もしたさ。
けれども、せめて息を吐き終わってから来て欲しかった。
それぐらいは許して欲しい。
やはりいつもと違うのはジャージ姿であるということだった。
「お姉様!!ボクが陸上部に入ったと聞いて見に来てくれたんですか!?」
そう、私の妹はこう見えて部活動には真剣なところがあり、中学のころ全国大会でベスト8に入ったのだ。
・・・よっちゃんは同じ大会で準優勝していたが。
「やはりボクのお姉様はさすがですね!!陸上部の皆さんよろしくおねがいします藤間幸です!!そうお姉様の藤間幸でぇす!!」
そう、こう見えて。だ
これで私のクラスだけではなく少なくともグラウンドに出ている人物。
少なくとも陸上部関係の人間とそれの見学者には数日前のあの騒動の根幹が露呈したことになってしまう。
しかし、いやしかしそうだった。
中学から陸上部だったのだから見学していれば出くわすのは容易に想像できたはずだろう私。
というか何で見学なんてものをしていたんだ私。
よっちゃんに誘われた時点で気づいていればすぐにでも帰っていたのに。
・・・いや、待て。待てよ?
そもそもよっちゃんがそれに気づかないわけがないわけで・・・・・・あ、あいつ賄賂をもらったな!?
「いや、まて違う、ちがう妹よ。暇だったからだ、暇だったから”よっちゃん”を見てた、そういうわけで帰る」
「え゛っ????」
あえて特定人物の名称を誇張して言ってみた。
瞬間空気が凍りつく、私には知ったことではないが。
私はよっちゃんに向け、私の一言でよっちゃんを睨みつけている妹に気がつかれないようにゼスチュアで「KI○L YOU」よっちゃんに伝え、青ざめるよっちゃんと何かをあめき叫びながら激走していく妹を尻目にその場をあとにした。
ああ、姉妹の縛りが無く自由が利く放課後というものは何てすがすがしいのだろうか。
こういう日は無性に甘いものが食べたくなる。
仕方なし寄り道はいけないが少し商店街にでも行ってケーキでも買っていくか。
お母さんとお父さんの分も、ああ、お父さんは甘いもの苦手だったか・・・ブレンドコーヒーでも買いに行こう。
姉と妹の分だと?今は姉妹のしがらみから解放された自由な私なんだ姉妹の話はよして欲しい。
そうして少しの寄り道をして帰った後その日の夕食後の自習終わり、買ったケーキをお母さんと食べている最中にひっきりなしにスマホがなっていた。
が、差し出し主の名前は―---おかしい、見覚えがないな。
今朝もそうだったがこの「宝月弥生」という人物は何か盛大な間違いを犯しているのではないのだろうか。
しょうがないこういう面倒な案件には一切の無視がいちばんだ。
つまるところそう罪には罰、私は無慈悲なのである。
翌朝のスマホには昨日の夕方から今朝にいたるまで謝罪のメッセが大量に着てたのはは言うまでも無い。
もはや狂気のよっちゃんを感じた朝であった。
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