case:81 【×二女の場合】 Act.2
小鳥遊さんのライブ以降、何をするにも彼女の言葉が頭をよぎって何にも身に入らない。
誰と出かけても『この人も私を友達と思っているのか?』なんて考えてしまう。
そもそも、そもそもの話私は皆の事を本当はどう思っているのか。
昔であれば『興味ないから』だとかなんとか言って一蹴するところなのだが、今はそうは思えない。
それほどに私の周りに人間関係というものは激変していた。
委員長や櫻井さんから始まり生徒会会長だった高嶺先輩とそのストッパーの政道先輩、転校生の小鳥遊さんに留学生のアヴィさん。
正直昔からしたら考えられないほどに関係が増えたと思う。
でもそのすべてを友人だと思えるかといわれると難しい。
もっともな話そんなことこの短い生涯で考えたことなどないからである。
そもそんなことを考える若者がいるだろうか、いやいないだろうて。
・・・そんなことないのか?ううむ、周りを気にしたことが無いからそれすらもわからない。
思えば勉強ばかりでテストはわかってもそういったことはわからないのである。
今更気が付いても、と言った話ではあるが。
皆はそこのところもわかるのだろうか、私や他の人のことをどう思っているのだろうか。
はあ、こんなことよっちゃんに知られでもしたら変にからかわれてしまうだろうことは予想が付く。
けれども無視できないのが不思議な感情だ。
こんなこと今までなかったのだからどうしようもない。
まったく自分のことながら難しいものである。
そんなことを悩んでいたら読書にも身が入らないわけで。
「はぁ、とりあえず休むか・・・」
そう独り言ちながら本を置いてベットに横になり目をつむってみると思い返されるのはこれまでの事。
おもえばこれまでいろいろなこともあったと思う。
そんな中で確かに友人と言えなくはないようなこともしてきているのだろう。
今更な話『興味ない』『どうでもいい』なんて思いつつも心のどこかでは気を許していたのかもしれない、友人として。
正直にこんな悩み打ち明けられるような人間関係に心当たりなど話、しばらくはこの悩みともうまく付き合っていかないといけないかな。
なん考えていたら携帯に連絡が
「よっちゃんから電話?どうしたんだろ」
不思議に思いつつも電話に出ることに。
「もしもし?」
『あ、京ちん?しもしも~今から私んち来てよ!!』
開口一番これである。
確か今日皆予定があるとかで一日暇なはずだったのだが、何かあったのだろうか。
それにしてもよっちゃんの家か。
「なんか変な事考えてない?」
『え!?い、いやそんなことないよ!!??』
何時もならいきなり来ても可笑しくはないナズナの二、と思い問いかけてみたところこの反応。
そんなことあるやつの反応である。
『とりあえず、待ってるから!よろしくっ』
そういって電話は切れた。
まったく、すがすがし言い逃げである。
しょうがない、向かうとするか。
と、ろくに準備もしないで家を出てきたところであることに気が付いた。
今日一日何かあったわけでもないのに姉妹たちが静かだったこと。
まさに家にいないかのように静かだった。
・・・なんだかいやな予感しかしないものである。
後にも先にも面倒くさい問題ばかりがあるものだ。
人間関係への悩みだったり、これから起こるであろう騒動への悩みだったり。
帰ったらきっと怒られるのだろう。
実に面倒くさいものだ。
と憂鬱に浸りながらよっちゃんの家に着いた。
正直このインターホンは押したくないが押さないといろいろありそうなので・・・押してもいろいろありそうなのだが・・・意を決して押すことに。
するとしばらくしてニヤニヤした顔のよっちゃんが扉を開けて出てきた。
「いらっしゃいお京さん。ささ、入って入って」
「まったく、何さ」
私の文句を聞き流しながら背中を押して入室を進めてくるよっちゃんをなおさら訝し気に思いながらもよっちゃん家のリビング前につくと人の気配がたくさんあった。
本当に何事だろう。と内心同様しながらリビングのドアを開けたその瞬間
『ハッピーバースディ!!お姉京さちゃ藤間んま!!』
「は?」
は?いったい
「あれ?京ちゃん何その反応」
「いや・・・何事かと思って」
正直訳が分からなかった。
最後聞き取れなかったし。
そう思っての一言だったが・・・
「何事って今日は京ちゃんの誕生日でしょ、自分の誕生日忘れるとか大丈夫?」
こいつに心配されるのはさすがに心外である。
といっても、私の誕生日か。こんなに人が集まってるとは何とも不思議なものである。
でも、なんで
「皆いつもお世話になってるからって集まってくれたんだよ。友達として当たり前だ、ってね」
もちろん私も!と私の考えを先読みしたかのように説明しては胸を張るよっちゃん。
皆も笑いながらうなずいていらっしゃる。
見渡してみれば今年に知り合った皆がここに集まっていた。
「なにさ・・・それ」
なんだか、悩んでいた自分がバカらしく思える。
それを悟られたのか小鳥遊さんも不敵に笑っておられるし。
「みんな、ありがと」
なんだか久しぶりに心からの笑顔を浮かべた気がする。
皆それを受けて一斉に騒ぎ始める。
まったく、これじゃあ誰が主役なんだか。
でも
「こういうのも悪くないでしょ?」
よっちゃんにはお見通しの様だ、まったくさすが私の友人・・・か。
「まあ、ね。でも今日は私の誕生日だよね?」
さっきからひっきりなしに引っ張りだこなんだがそれはいかがなものだろうか。
はぁ、まったくこれだから胃薬が手放せない。
・・・何てね。




