case:10 【×幼馴染の場合】Act.2
新学期から一週間が経過し何とか姉妹の奇行にも慣れ始め一日の疲労も少なくなってきた。
姉の授業、姉妹揃ってのお昼を難なくくぐりぬけたそんなある日の放課後。
ここ数日、何らかの部活動に身をおいているものにとっては待ちに待ったであろう新入生勧誘のため学年関係なくいろんな生徒が様々なユニフォームを身にまといあっちへこっちへと勧誘にいそしんでいる。
大半が一年生のフロアに進出しているため一番かしましいのはその階だろうが、我ら二年生のフロアにも少なからず勧誘のためいくつかの部活動が顔と大声を出している。
正直騒がしい。
と、まぁ、一年から三年までをも動かすこの次期は、そういう認識では無いとは思うが学園最初の一大行事と言っても過言では無いとは私自身思ってしまう。
ちなみにそんな私は帰宅部である。
特に理由は無いがこれといった部活動が少なかったのと、調理部などは興味があったが家の手伝いとかお母さんの手伝いもあったものだし、後はなんとなくそんな時期から嫌な予感がしたのでやめたのだが、今年から調理部の顧問が姉になったものだからから改めて入部しなくて良かったと思う。
そして当時の私に『グッジョブ』と言ってやりたい。
とは言っても帰宅部の私といっても今日は特に母の手伝いとかも無く、こんな時間に帰っても特にやる事はない。
かといって姉が顧問の調理部になど顔を出そうものなら入部まで秒読みになってしまう。
という訳で、現在私はよっちゃんが活動中の陸上部の見学中というわけである。
私の他にも上級生に連れられて見学している一年生や入部届けを手に校舎に戻っていく後ろ姿などがある。
今グラウンドは野球部、サッカー部それとよっちゃんが所属している陸上部の三大運動部にて占領されている。
さすか三大運動部とあってか、私がサクラする以前からちらほら一年生の見学者は多数いた。
そもそもサクラとは漫画研究会とか人の入りが少ないような部活が見学者ないし入部者を増やすために取るような手段でもとより入部者が多数来るような部活には必要の無いことなのでは無いのだろうか。
まぁだからといってたまの暇な放課後くらい幼馴染を待つのもいい友人たるものだろう。
とはいえ、よっちゃん含め陸上部はウォーミングアップ中で入部する気まんまんの新入生にしてみればこれから何があるのかとワクワクだろうが、ただ単に幼馴染を待っている私自身としては何の楽しみもない時間。
少しばかり視線を他の部活に移してみる。
まずは野球部だが、集団での準備運動もそこそこにキャッチボールやバッティングなどを始めている。
そうそうに部活の内容を見せるのはいいことだと思う。
続いてサッカー部、野球部とは違い集団で準備運動する以前から各々で軽い体操のあとリフティングやシュート練習などをしている。
この二部活だが見学している生徒のほとんどが男子生徒と思いきや、女子生徒も少なからず来ており特定の選手が何かする度に黄色い声援が上がっている。
よくよく見るとその中に二年の女子が混じっているのが目に入った。
声援が上がる選手を見てみたが正直記憶にない。
どうせ三年生とかそこらへんだろうが、俗に言うアイドル選手という奴だろう。
そういうのに興味がないわけではないが私のタイプではない、それにそんなにキャーキャー言うならマネージャーにでもなればいいだろうにとも思う。
まぁ、運動部には運動部の戒律とでも言うのだろうかルールめいたものがあるのだろうから私が口出しすることでは無いが。
例を挙げるとすれば部内恋愛とかそういうことなのだろう。(興味ないの一言に尽きるが・・・)
なんて視線を他の部活動に浮気している間に陸上部の準備運動は完了していたようで、おのおのが競技ごとの場所へ移動していた。
もちろんよっちゃんは短距離走の場所へ、私の視線に気がついたのか、はたまた偶然よっちゃんが走るタイミングで私と目が合ったからなのかすごく大げさに手を振っていた。
振り返してなどはやらないが。
コースに立った瞬間よっちゃんの雰囲気が変わった。
普段からよくつるんでいるような仲だからのほほんとした雰囲気が真剣なものに瞬間で変わるというのは見ていても面白い。
普段を知っているからこその面白さなのだが、こう真面目なよっちゃんはこう、なんと言ったらいいのかきちんと『宝月 弥生』なのだ。
自分で言っててもたとえが下手だとは思うがこれは幼馴染ゆえの苦悶だから気にしないで欲しい。
ただ、それほど雰囲気が変わったということだけ伝わってくれればいい。
しかしきちんと走るよっちゃんを見るのは中学の県大会以来になるのか、こうしてみると意外と凛々しくも見える。
惜しいかなきちんとした陸上のユニフォームではなく体育時のジャージ姿というのが少しマイナス気味に見えるだろうが、それでも普段と違う姿というのは新鮮でいい。
そして短距離走の選手が揃ったところでスタートのホイッスルがなった。
ゴール付近にタイムを計る人がいないからおそらくこれは新入生にむけたオリエンテーションのようなものなのだろう。
が、皆が皆(特によっちゃん)これが本番といわんばかりの全力を出していた。
というほど素人目には何がすごいのかはわからなかった。
そう、ただわかったのが皆真面目なんだな。ということだけ。
そりゃ私に運動なんかできるわけ無いよね、去年の通知表も座学が無ければ評価は『2』だったろうからな。
とりあえずのオリエンテーションはよっちゃんが一番ということでおわったが、まぁ普段と違ったよっちゃんを見れた、ということでよしとしておこう。
感想等など随時お待ちしております。
よろしくお願いします。




