8話 リンダの父と母
アレルガルドの世界、大陸の中の小さな町パームラ。平原の中央に位置するこの町は、山への往路、海への往路、森への往路、旅人の立ち寄りやすい中継地点のような役割を担っていた。田舎でもないが都会でもない。レンガや木造りの家が立ち並ぶごく平凡な町だ。
比較的平和主義な国王が統べるカンナバルという国の領土にあたり、レニー伯爵という貴族がこの町を領地として収めていた。
街並みは穏やかで、行商や露店の賑わう感じの良い町だ、というのがオレの印象だった。
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「さ、着いたわよ」
「ここがリンダの家かぁ」
レンガ造りの二階建てで大きめな家。
中流階級以上はありそうだ。
実はリンダは貴族のお嬢様でした、、、なんてマンガみたいな設定だったらどうしようと思っていたオレは内心ホッとした。
「ただいまー」
「おかえりなさいリンダ。あら、そちらの方は。。。??」
「あっ、カイト。この人があたしのお母さんでレイラ。母さん、この人は放浪者のカイトっていうの。平原でモンスターに襲われてたところをあたしたちのパーティーが見つけたんだけど、行く当ても無いし宿に泊まるお金も無いからとりあえず連れて来たんだけど、ダメかな?」
「はじめまして、カイトと言います。娘さんには危ないところを助けていただきました」
リンダの母は薄茶色のロングヘアーが印象的なスタイルの良い綺麗な人だった。
とてもリンダくらいの歳の娘がいるとは思えない。
随分若く見える母さんだな、少なくとも30後半はいっているはずなのに。。。
リンダは母親似か?
などと、失礼なことを思いながらも
オレはぺこりと頭を下げお辞儀した。
「あらあらお気の毒に。。。私は別に構わないけど、お父さんがなんていうかしらね、、、」
そらそうだ。
どこの世も父というのはそういうものだ。オレの親父はモヤが小学校に上がったとき手を繋いで歩いてたクラスメイトの男の子を凄まじい目で睨んで居たしな。
「お父さんは?」
「畑にいると思うけど、もう少ししたらお昼だし戻ってくると思うわ。そうだ!カイトさんもよろしかったら一緒にお昼いかが?お腹すいてない??」
ぐううぅぅぅっっ。。。。。
「ははっ、、、お恥ずかしながら」
「ふふふ、男の子は素直が一番よ。さぁ、リンダもそんなむさ苦しい鎧なんか脱いで着替えてらっしゃい。カイトさんはその辺でくつろいでいてくださいな」
「はぁい」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて、、、」
家の中は綺麗に片付いており、良い感じのインテリアなど置いてありとても穏やかな雰囲気になっていた。
レイラさんに勧められるがまま近くの椅子に腰掛けた、、、瞬間。
バァンッ!
「腹減ったぁ!帰ったぞー!!」
青い髪の少年、見た感じ14〜15歳で身長150cmくらいの男の子が勢い良く扉を開けて入って来た。
右足の膝から下が無く、片手で松葉杖をついている。
「ん?なんだお前は、、、??」
少年はオレを見て言った。
「あっ、リンダの弟さんかな?はじめまして、カイトです。。。」
ブチっ
ん?なんだ今の音??
「だぁれが弟だこるぁあぁぁぁっ!!」
バキィッ
「ひでぶっ!!」
ブチ切れた少年は松葉杖でオレを思い切り殴り飛ばしてきた。
「ひでぶ」なんて人間が発音するなんて思ってなかった。
「あらあらあら、、、」
レイラさんが台所からパタパタと出てきた。
音を聞いたリンダがダダダダッと階段を駆け下りてくる。
ふむ、白のTシャツにデニムのような生地のパンツか。なかなかステキだ。
「お父さん!何やってるの!?」
「いぃっ!?お父さん!!?」
「んだこのボンクラっ!なんか文句あんのか!?」
口の悪いお子様、、、いや、お父様か。
レイラさん、ショタだったのか。。。




