表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/34

31話 パームラビット

「おら、行くぞ!」


「は、はい」


翌朝、オレとリンダはスヴェンさんに連れられ平原を抜け山の麓にある森に来ていた。


「お前らには兎を捕まえてもらう」


「兎??」


「そうだ。この森にはパームラビットという兎が生息している。今日の晩飯にこいつらを取ってこい」


「兎か、、、なんだか可愛らしい感じだけど、食べるために狩ろっか」


「はっ!可愛らしい、、、か。油断して痛い目見るなよ」


「??はい、わかりました」


兎と聞いてオレとリンダは簡単な狩のようなものを想像していた。


だが、、、



ーーーーーーーーーー




バキッ!


「うぐっ!」


ゴッ!


「きゃあっ!!」


目の前にはバレーボールサイズの真っ白な毛並み、真っ赤に染め上がったまるでユキウサギそのままの姿の兎集団にオレたちは囲まれていた。地球のユキウサギと違うのは、額にドリル状の角が生えていることだ。


「はぁ、、はぁ、、クソっ!数が多い上にすばしっこい」


周りには三十匹ほどの兎さんがオレたちを取り囲んでいる。単体では大した強さはないがすばしっこさと多方向からの同時攻撃で徐々にダメージを与えられていく。


一匹が飛びかかってくると同時に間合いで反応し切り捨てている間に五、六匹が襲ってくるという感じだ。こいつらは集団で狩をするらしく兎のくせに肉食らしい。なんと恐ろしい。。。


「リンダ、一旦この包囲から抜け出そう。ジワジワ体力削られてやられてしまう」


ドシュッ!キーッ、、、


矢を放ち一匹仕留めたリンダに声をかける。


「ええ、わかったわ!」


太刀で兎たちを牽制しながら倒したパームラビットを袋に入れる。

すでに二十匹ほどは取れただろうか。


「よしっ!リンダ下がって!!」


森の出口方面の兎の集団に向けて斬牙を放つ。体から魔素が減ったのを感じるがまだ動く余裕はある。


「いまだ、一気に抜けるぞ!」


「わかったわ、、、、、きゃあっ!」


兎の包囲網を抜けた瞬間、リンダが木の根に足をとられつまずいてしまった。


「リンダ!く、間に合え!」


瞬地で間合いを詰め駆け寄るが今のオレの瞬地〈中〉の射程距離は5m。10mほど離れていたリンダには距離が足りない。


「きゃああぁぁっ!」

「っっっリンダ!!」


兎の集団が角や牙を剥き出しにリンダに飛びかかる。



ズシャッ、、、、、



「、、、えっ、、、?」


頭を抱え込み身を守っていたリンダが恐る恐る顔を上げると、数匹のパームラビットが地面から生えた岩の棘に体を串刺しにされ絶命していた。突然現れた岩の棘にオレも驚いて声が出ない。


「い、いったい、、、」


「ふっ、兎如きにやられるとは。弱い人間は早々にこの森から立ち去れ」


木の上の方から声がする。


ガサガサ、、、シュタッ!


真っ赤に燃えるような赤髪をなびかせ、綿のような緑色の繊維でできたローブのような衣服を纏い、両の耳がピンと尖った15〜16歳くらいの少年が、木の上から飛び降りてきた。


「エ、、、エルフ?」


リンダが驚きながら言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ