17話 冒険者の覚悟
二階から先にスヴェンさんが降りてきた。
「スヴェンさん、リンダは!?」
「ああ、レイラが言うには大丈夫だそうだ。あいつは後方支援型だったからケガの治療は得意だからな。念のためハイポーションも飲ませてたからひと安心だろう」
「そう、、、ですか。。。」
ホッとして力が抜ける。
(でも、そんな大怪我させたのはオレの失敗だ。オレがもっと早く気付いてたら、動けてたら。。。)
黙り込んだオレの向かいにスヴェンさんがしゃがみ込んだ。
「おい、お前『オレがもっと上手くできたら』とか考えてないだろうな?」
図星だ。
「で、でも!オレがもっと早く対処できてたら。。。」
「バカヤロウっ!自惚れるのも大概にしやがれ!!」
一喝され思わず目の前のスヴェンさんから目をそらす。
丁度、リンダを診終わったレイラさんも階段をトントンと降りてきた。
「あなた。リンダが寝付いたから静かにしてあげて」
「、、、、、ちっ!」
スヴェンさんは何か言いたそうにしていたが、そのまま外に出て行ってしまった。
「、、、カイトさん。厳しいことを言うようだけど、あたしもあの人と同じ意見よ。自分がどうにかできたんじゃって思うのは傲慢よ。少なくとも、その時考えつく最善を尽くしたのでしょう?」
レイラさんの真剣な表情と言葉が胸に刺さる。普段怒ったりせずおっとりした人だから余計に響く。
「、、、はい。。。でも、オレが、、、オレがもっと、、、」
ダメだ。
気が抜けたせいもあるのかレイラさんの説教が効くのか、泣きそうだ。
「あの人は自分の右足だけでなく仲間の命も失ったことがあるから、人一倍そう思ってたはずよ。リンダも冒険者としてそれなりの覚悟を持ってるわ。でもね、、、」
グッと涙を堪え下を向くオレを不意に良い香りが包む。
「、、、娘を、助けてくれて、ありがとう。。。」
オレを抱きしめるレイラさんの腕は微かに震えていた。
それを感じた途端、堪え切れなくなる。
「う、、、うああああぁぁぁぁ。。。」
生まれて初めて、声を出して泣いた。




