14話 初クエスト受注
家に帰るとレイラさんが昼メシの準備をしていた。
「ただいまー」
「あらみんな、おかえりなさい。すぐにご飯にするから手を洗って着替えてらっしゃい」
スヴェンさんは椅子にドカッと座り、オレはリンダと階段を上がっていった。
装備を外し部屋に置いてすぐに手を洗いに行く。
「あらあら、だいぶ疲れたみたいねぇ」
「はい、初めてのダンジョンでなかなか苦戦しまして。。。」
「あ、あなた平原の洞窟に連れていったのね。懐かしいわ〜」
「ふん、こいつらには弱っちいモンスターしかいないあの洞窟で十分だ」
「あら?でもたしか今時期はゴブリンの繁殖活性期なんじゃあ、、、」
トントンとリンダも着替えて降りて来た。
「そうなのよ!お父さんったらそんなことも教えてくれないでしんじらんない!ゴブリンがワラワラ出て来て大変だったんだから!!」
「もぅ、意地の悪い人ねぇ。リンダ、ちゃんとカイトさんに守ってもらえた?」
「なっ!?そりゃ、、、カイトの方が沢山倒してたけど。。。あたしだってゴブリンなんか一撃なんだからね」
「ふふっ、はいはい。さぁ、準備ができたからお昼ご飯にしましょ」
今日の昼メシはステーキだ。こいつはスタミナがつきそうだ。オレはレイラさんの料理に舌鼓を打ったのだ。
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「違う世界から、ねぇ。。。どう思う?あなた」
「。。。。。」
みんなが昼メシをいただいた後、食後のコーヒーのような香りのする甘味のある飲み物をいただきながら、オレはスヴェンさんとレイラさんにこれまでの顛末を全て包み隠さず話した。
聴き終えたスヴェンさんは腕を組んで黙ったままだ。
「。。。うん。サッパリわからん」
「お父さんっ!」
「そんな話今までに見たことも聞いたこともないからなぁ。今カイトに関してわかることとしたら、異常にレベルの上がる速度が早いこと、何故か伝説級のモンスターと【従魔の契り】を結んでいること、この世界を収める神の加護を全て受けていること。この三つだけだ」
「そうねぇ。でも、どうしてこうなったのかしら?」
「それがわからんから何にもわからん、ってことだな。大雑把な解釈をすれば、こいつは違う世界の人間だからこの世界の常識は通用しないってことだ」
「、、、それしかわからないですね。正直、オレ自身が何がなにやらな感じなので、今はただ妹を取り返すための力を身に付けないといけない。って想いだけです。」
「まぁ、それが一番の近道かもな。なに、ひとり立ちできるようになるまでは面倒みてやるさ、心配すんな」
「ありがとうございます」
「でもカイトさん、くれぐれも無茶だけはしないでね。この人も昔から無茶ばっかりして、、、私がどんな気でいたかもしらないで」
「お、おいレイラ。今はその話はいいだろう。。。」
「でも、私が盗賊団に捕らえられた時、向こうの要求で一人で助けに来てくれた時のお父さん、、、あぁ、今でもあの姿は忘れられないわぁ。。。108人の盗賊相手にバッタバッタと切り倒していったのよ…」
レイラさんが遠い目で回想し始めた。
「だからね、リンダ。ピンチの時に駆けつけてくれる王子様は絶対捕まえて離しちゃいけないのよ。お父さんこれでも昔から女の人にモテてね、周りに近寄る虫を払うのにも苦労したわ〜」
馴れ初め話が始まったか。。。
「レ、レイラ!お前ら、午後はギルドでクエスト受けてくるんだ!さ、さっさとしろ」
はーいとリンダが返事をしてオレ達は二階に上がっていく。
階段を上がる時に
「恥ずかしいからそんな昔話するなよ」
「あらいいじゃない。あの子達もいつかそうなるかもしれないんだから」
「なにぃっ!許さん、許さんぞぉぉっ!」
という声が聞こえて来たが今は無視しておこう。
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オレ達は冒険者ギルドについた。
受付に行くと今日は男の人がいる。
長めの赤い髪を後ろで結び、書類に目を通しているようだ。
「あの、クエストを受けたいんですが」
オレが話しかけると男性は爽やかな笑顔で答えた。
「おや、見たことない顔ですね。新人さんかな?リンダさんのお連れさんということは、、、」
「ええ、ハインスさん。この人まだ登録したばかりだからあたしも一緒に5級のクエストを受けます」
「おお、そうですか。では、今ギルドが受けている依頼を出しますね」
えーと5級は、、、と言いながらハインスという男性は書類を探している。
「知りあい?」
なんとなしにリンダに聞いて見た。
「そこまで大きなギルドじゃないからね、大体の職員はわかるわ」
そうか、リンダも一年以上かけてギルドに出入りしてるから当然か。
「はい、お待たせしました。今受けることのできる5級クエストはこちらです」
ハインスは丁寧に説明してくれた。
礼儀正しくて顔も悪くない。それなりにモテそうな人だなと印象を受ける。
・町の下水掃除
・キュア草の採取
・廃屋の解体作業
・お年寄りのお使い依頼
・壊れた屋根の修理
・屋敷の執事からの特別依頼
が、今のオレにできるクエストのようだ。
「あの、最後の一つだけ内容がよくわからないのですが。。。?」
オレが不思議そうな表情でハインスに尋ねると彼は困った表情をしながら、
「ああ、やっぱりそこは疑問に思うよね」
と答えてくれた。
ハインスによると、町には大きな屋敷があり貴族が住んでいる。昔この町を起こした時に活躍した一族の末裔らしく、国からこの町を領地として見ているそうだ。権力的にはギルドよりも顔を利かせているらしい。物語に出てくるような貴族特有の横暴な振る舞いはしていないらしく、これといって無茶な統治をしているわけではないのだが、
「屋敷のお嬢様のおねだりを聞いてほしい??」
「はい、、、貴族の娘なのでわがまま自由奔放な方と聞いてはいるのですが、報酬は高く10万ルギとなっております」
「じゅ、、十万!?それって5級のレベルじゃないんじゃ。。。」
他のクエストの報酬はピンキリだが500〜8000ルギくらいだった。
「はい、最初は三級以上のクエストだったのですが屋敷のお嬢様のことを知る高ランク冒険者は手を出すそぶりが無く、依頼者の執事からクエストランクを下げるように言われ、4〜5級の高額狙いの冒険者が何度か受けたことがあったのですが、、、」
「お嬢様の無茶ぶりに達成できなかったと。。。」
ええ、と目線を下げ若干疲れた表情を見せるハインス。
それもそうだ、高ランク冒険者ならそんな面倒なクエストを受けなくても自身のランクのクエストを受けていても報酬は稼げるだろう。
「どうする?リンダ」
「う〜ん、論外ね。自分の身の丈に合わない依頼は受けるものじゃないわ。地道にコツコツ行きましょ」
うむ、全くの正論だ。
「と、いうわけでオレ達はキュア草の採取を受けます」
「ですよね、、、はい。わかりました。それでは受注書類にサインをお願いします。それと、採ってきたキュア草はそのままこの受付までお持ちください」
こうして、オレ達はキュア草10本採取のクエストを受けた。
平原の洞窟で生えてあるのをリンダが確認していたし、モンスターを倒しながらなのでレベル上げにもなるからだ。
「それでは、どうぞお気をつけて行ってらっしゃい!」
ハインスの爽やかな笑顔と元気な声でオレ達は見送られギルドを後にした。




