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13話 初めてのダンジョン

洞窟の中は薄暗く、ジメジメしている。

石壁や天井、床には淡く光る苔が生えていて本が読めるくらいの明かりがわりになる。


リンダが言うには、ダンジョンにはモンスターの好む魔素が充満していて植物にも影響を与え、暗闇でも自家発電できるように苔が進化しているそうだ。


魔素が濃く充満している部屋には大型のボスモンスターが発生するようだが低レベル冒険者のオレたちには魔素を感知することができない。


『【スキル】魔素感知〈序〉を習得しました』


失礼、できなかった、に訂正だ。


「なんだかあそこの陰からイヤな感じがするな」


「え?どこどこ?」


岩場の影からプルプルと動く青い流動体が出てきた。


「スライムだわ。カイトあなた、魔素を感知できるの?」


「いや、ついさっき女神の声が聞こえてスキルを習得したみたいだ」


「あたしなんかまだできないのに…」


リンダが拗ねている。


「と、とりあえずこいつを倒そうか」


オレは足でスライムを踏んづけた。




プギー


と音を立てて地面に吸い込まれていく。


「消えた。。。」


『レベルが上がりました。身体能力が向上します』


「お、レベルが上がったみたいだ」


「えっ?早くない??」


リンダが驚いている。

念のためステータスを見てみた。



ーーーーーーーーーー


ヒノダテ カイト Lv2

状態:正常

【特殊効果装備】

(月牙狼の太刀)〜斬りつけた部位数が増える毎に傷口が共鳴し深くなる

(黒牙狼のコート)〜炎耐性向上、素早さ向上

【スキル】

恐怖耐性〈序〉〜恐怖に耐性ができる

痛覚耐性〈序〉〜痛みに耐性ができる

魔素感知〈序〉〜魔素を感知できる

【日常スキル】

アレルガルド言語〈終〉〜アレルガルドの言語が使えるようになる

【従魔の契り】

金狼ウルハ〜金狼と魂の共有化している。金狼よりも下位の狼系モンスターを使役できる。

【加護】

女神ナナの加護〜攻撃力上昇

女神カナデの加護〜スキル習得率アップ

女神ライアの加護〜防御力上昇

女神メルの加護〜物理外防御耐性

女神セリーヌの加護〜素早さ上昇

女神ヴェルダの加護〜状態異常耐性

女神カリーナの加護〜体力上昇

主神チハヤの加護〜レベル上昇率アップ


ーーーーーーーーーー



。。。なんだか凄く強そうなステータスになっている。


ウルハとの繋がりの中に下位の狼を使役、とあるが、もしかして狼系の装備がオレにしっくりくるのはウルハのおかげか?と自分なりに予想をたてた。



「ホントだ、レベルが上がってる。他にもなんか色々ついてるし」


「ええ、いいなぁ。あたしなんかレベル13からなかなか上がってないし。これでも一年は地道にギルドで依頼こなしてきたのよ」


ぷぅと頰を膨らませるリンダ。

なかなか可愛いな、と思いながらオレたちは先に進んだ。


リンダの説明だと、レベルが上がると段階に応じてギルドで受けれるクエスト難度が変わってくるらしい。

昇級試験があるらしく、ギルドで行われる階級別モンスターの討伐か、1ランク上のクエスト達成で昇級ができるそうだ。


5級〜レベル1〜10

4級〜レベル11〜20

3級〜レベル21〜40

2級〜レベル41〜60

1級〜レベル61〜80

ゼロ級〜レベル81〜100

超級〜レベル101以上


というのがギルドの基準。

いくらレベルだけ先にあげても昇級試験は飛ばすことができないそうだ。


パームラのギルドに集まっている冒険者は5〜4級が多いらしく、不死鳥にやられたジェイルはかなり強い方だったそうで王宮騎士団に入れる程の実力だったらしい。

レイラさんはああ見えてレベル55、スヴェンさんに至ってはレベル68らしく、二人とも名を馳せた冒険者だったと聞いた。



「リンダの両親は強いんだな」


「うん。二人とも現役から退いて城の武術指南役とかも申し込まれたらしいんだけど、お母さんがあたしを身籠ってからは一切冒険者稼業はしてないんだって。お父さんは喫茶店の店長してるしお母さんは専業主婦だしね」


マジか。スヴェンさんあの外見で喫茶店経営。ショタ好きなレディ達が集まりそうだな。。。

なんにせよ、危険の尽きない冒険者よりは安全なスローライフを選んだわけだ。



話しながら歩いていると、小柄なモンスターが出てきた。


こいつは、見覚えがある。


「ゲギャッギャッギャッ」


忘れもしない緑色の体。

耳まで裂けた大きな口。


オレがこの世界で初めて出会ったモンスター、ゴブリンだ。


「リンダ、こいつはオレにやらせてくれ。仲間、ではないけどオレの同郷の仇がある」


「、、、うん。わかった、気をつけてね」


オレは太刀を抜いてゴブリンに向かい一直線に構える。


剣術なんて学校の体育で習った剣道以外かじったこともない。


だから、上段にかまえ一気に踏み込み太刀を振り下ろした。


「らぁっ!」


「グエェッ!」


ゴブリンの右肩から左脇腹にかけて一刀両断する。


太刀の重さを利用し振り下ろした太刀はなんの抵抗もなく地面に突き刺さった。

ひと間ズレてからゴブリンの体が二つに分かれ地面に吸い込まれていった。



「凄いカイト!一撃ね!」


「ああ。。。バスの運転手さん、ひとまず仇はうったよ」



『【スキル】太刀熟練〈序〉を習得しました』



一振りしただけだが、なんとなくどう振ればどう切れるかの感覚がわかった気がする。


「ん?、、、リンダ。どうやらまだこいつら大勢居るみたいだ」


洞窟の奥からゲギャゲギャと多くの声が聞こえてくる。


「カイト、あたしもやるわ」


リンダが弓を構える。

お母さんが愛用していた弓を受け継いだそうだ。


「無理するなよリンダ!」


「カイトもね!」


オレ達は二人で奥から湧いてくるゴブリンの群れを蹴散らしていった。




。。。。。。


。。。



『レベルが上がりました。身体能力が向上します』



「はぁ、はあ、、、終わったか?」


「はぁ、、はぁ、、みたいね。。」



ゴブリンが後から後から湧いてきて、気付けば五十匹ほどは倒していた。

怪我こそしなかったものの、数の多さにオレたちは体力の限界だった。


「今日は、、、ここで引き上げましょ」


「あぁ、、、賛成」


オレはレベル9まで上がっていた。

リンダもレベル15に上がったらしい。


二人で元来た道を戻る。

地下一階でこれだから、更に地下に潜るのも一苦労だ。

出口を出ると、太陽が真上に来ていた。

もう昼か。通りで腹も空くわけだ。


「よぉ、お早いお帰りだったな。そういや今は丁度ゴブリンの繁殖活性期だから、いっぱい居なかったか?」


スヴェンさんがにこやかな笑顔で出迎えた。この人、絶対知っててワザとだな…


「言うのが遅いわよお父さんっ!どんだけゴブリン相手にしたと思ってるの!?」


「はは、悪い悪い。でもおかげでレベルは上がったろ?」


「そりゃ、そうだけど。。。もぅっ!」


「カイトは幾つになった?レベル4〜5くらいには上がったか?」


「オレはレベル9になりました。リンダも15に上がったそうです」


「なっ!?お前レベル1だったろう、9まで上がったのか!?」


「はっ、、はい。でも、あれだけの数のゴブリン倒したから。。。」


「それにしたって異常な早さだ。金狼の力か??」


「いえ、ウルハは特に何も動きはありません。ただオレには、、、」


モヤに言われたチートという言葉を思い出し言うのを躊躇ったが、リンダやオレを鍛えてくれるスヴェンさんには言っておこうと思った。悪い人たちではないのはもうわかるから。


「スヴェンさん、実はオレのステータスに。。。」



ーーーーーーーーーー



「、、、主神と七つの女神の加護か。。。」


「はい。。。言うのを止められてたのもありますが、隠していてすみません」


「いや、お前の妹の言うことはもっともだ。誰彼構わず話していい内容じゃない。俺も【女神ナナの加護】を持っているが、全員の加護をもつ人間なんて見たことも聞いたこともない」


「あたしも【女神セリーヌの加護】を受けてるし、お母さんも【女神カナデの加護】を受けていたはずよ。でも、みんな加護は一つだわ。あ、そうかカイトは。。。」


「ん?まだ何かあるのか?」


オレの方をリンダがチラリと見た。

そうか、スヴェンさん達にはオレが違う世界から来たってことを言ってなかった。


「ふん、まぁいい。とりあえず昼メシにしようか。家に帰るぞ」


言うべきか一瞬迷ったオレを見てスヴェンさんはクルリと後ろを向き歩き始めた。


「ヒソヒソ、、、ごめんねカイト。言うべきじゃなかったかな?」


「いや、リンダの両親にはオレの素性を知っておいてもらった方がいいと思う。だから帰ったら全部話すよ」


「、、、うん。わかった」



こうして、初のダンジョン攻略は終えたのだ。オレ達は家に帰ることにした。

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