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12話 元1級冒険者

「カイト、、、あ、あたし、、、こういうの初めて、、、だから。。。」


「リンダ、オレもだよ。こんなにドキドキしてる」


裸で抱き合うオレとリンダ。


「や、、さし、く。。。して、、ね」


「ああ、いくよ、、、リンダ」


「ん、、あ、、、あぁ、、、」







はい。







夢でした。







朝日の気持ち良い朝です。


オレの寝ているベッドの横でスヴェンさんが鬼のような形相で睨んでいる。



「いつまで寝てんだこるぁああぁぁぁっ!!さっさと起きんかいっ!!」



ドボォっ!!



松葉杖を振りかぶりオレの土手っ腹に叩き込まれる。


「ぐふぉっ!、、、いっ、、てぇ、、、」


『【スキル】痛覚耐性〈序〉を習得しました』


ありがとう女神さま。。。



「気持ち悪い顔してニヤニヤ眠りやがって、どんな夢見てたんだ?お?言ってみろ」


すみません、娘さんとニャンニャンな夢だなんて言えるわけありません。


「お、、おはようございます。夢なんて、、見てません」


「ふんっ!さっさと準備しやがれ、今日からお前を鍛えてやるからな。ギルド登録もしたんだろ?クエストもこなしてもらうからな。タダ飯はくわさねぇぜ」


そうだ、オレは強くならなきゃ。

モヤを取り戻すんだ。


「は、はい!お願いします」


「さっさと準備して降りてこい。飯食ったら出かけるぞ」


スヴェンさんが部屋から出ていく。

右腕には紅い腕輪が光っていた。


「1級冒険者、か。。。まずはあの人を目標にしなくちゃな」


オレは手早く着替えて階段を降りていった。




ーーーーーーーーーー



「おはようカイト」


「おはよう、カイトさん。そっちで顔を洗ってらっしゃい」


リビングに行くとリンダとスヴェンさんが食卓につき、レイラさんが朝食を用意していた。


「おはようございますレイラさん、リンダ。顔洗わせてもらいますね」


オレは顔を洗いに隣の部屋の洗面所に行った。


パシャパシャッ


「ふぅ」


「はいカイト、タオル」


「あ、ああ。ありがとう」


「ヒソヒソ、、、ねぇカイト。お父さんに指輪見られちゃってさ、急に機嫌が悪くなったんだけど、なにかされなかった??」


リンダが耳打ちしてきた。

夢の感触がリフレインされる。

まずい、男の朝がやってくるぞ。


「ああ、そういうことか。いや、何もされてないよ」


新たなスキルをいただいただけである。


「そう、ならいいんだけど。。。」


「さぁ二人とも、ご飯よ」


「はぁい!カイト食べよ」


オレたちは食卓につく。

今日の朝ごはんはパンと肉の薄切りしたベーコンの様な物、それとサラダにスープだ。


「いただきます、、、美味しい。。」


「あら、ありがとう」


モヤの作る朝メシも美味かったな。

モヤ、、、生きててくれよ。


「ふんっ、食ったら特訓だ。しばらくは午前中はオレと特訓、午後からはギルドでクエスト受注して稼いでこい。クエスト報酬の十分の一は家に入れろよ」


「あなた、ご飯の時に言わなくても。。。」


「いえ、お世話になる身ですから。それくらいさせてください。オレは報酬の半分くらいは入れたいのですが。。。」


「ふんっ、ひよっこが意気がりやがって」


「もぅ、あなた!カイトさんの気持ちは嬉しいけど、身を削って稼いだお金をそこまで受け取れないわ。逆に申し訳なくなっちゃうから、残りのお金は自分のために使ってちょうだい」


「、、、はい。わかりました」


「それからリンダ、お前もカイトと一緒に行動しろ」


「えっ?あたしはそのつもりだったんだけど、、、いいの?」


「あぁ、恐らく命の危険に晒される場面ならこいつの金狼が守ってくれるからな。下手にギルドでその辺のヤツとパーティー組むよりよっぽど安全だ」


「うん!わかったお父さん、ありがとう!」


「ふんっ!」


「あなたも優しくできるじゃない」


「う、うるさい!サッサと食べろ、始めるぞ!」


「はい!」



とまあ、朝から怒るショタお父さんをなだめるレイラさんのやり取りを見て朝食を済ませた。




ーーーーーーーーーー



「ここは、、、?」


家を出てスヴェンさんに着いて平原の入り口まで来たオレたちは今、洞穴の前に居る。


「リンダは来たことがあるな。ここは初心者向けダンジョン『ハーネスト洞窟』だ。ここは五階層までしかないダンジョンで、モンスターも5級〜4級までしか居ない。もっとも、4級でも最下層にたまに居るくらいだからな。死ぬことはないだろ」


「うん、ここはギルドの依頼でもたまに出てくる所よ。薬草の採取とかが多いけど」


「特訓の第一段階はここの最下層にある『回復の泉』の水を水筒に入れて来い。あと、リンダも知ってる『キュア草』をいくつか摘んで来るんだ」


「なるほど、そういうことですか。。。てっきりスヴェンさんが稽古をつけてくれるのかと思いました」


「ひよっこが大きく出やがって。。。おいカイト、お前の太刀貸してみろ」


「??はい、わかりました」


オレは背中から太刀を抜いてスヴェンさんに渡す。


「重たいですから気を付け、、、て?」


ヒョイ、とオレの手から奪うように太刀を取り上げたスヴェンさんは刀身を見つめヒュンヒュンと軽々しく振り回している。



「ふん、新米には勿体無い刀だな。。。」



ツカツカと生えている木の下までスヴェンさんが近寄ると、



「ふんっ!」


ヒュイン、、、



ヒュヒュヒュヒュイン、、、



ズズン。。。


木が見る間に輪切りにされていき倒れた。


「た、、太刀筋が、、、見えない」


ポイっとオレに太刀を投げ渡して来るスヴェンさん。


「オレに稽古つけて欲しけりゃ、ちったぁレベル上げて来い」


「は、、はい!」


これが元1級冒険者。。。


少なくとも、スヴェンさんに勝てないようなら伝説級の不死鳥には到底勝てないってことだな。


「もう、お父さんたらムキになっちゃって。カイト、焦らずに少しずつ強くなってこう。大丈夫、モヤさんはきっと無事よ。女の勘がそう言ってるわ」


「そうだな、、、ありがとうリンダ」


「ちっ、イチャイチャしてないでサッサと行って来やがれ!」


「「はい!」」


こうして、オレは人生初のダンジョンに潜り込んだのだ。


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