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ばっさりカットの様な感じになっちゃいました…。善処はしたのですが…。
陸上自衛隊第10師団 第10戦車大隊所属 戦車長の日下部裕二。
俺が兵器を人と同じ様に信じたら俺の駆る74式戦車が人の姿となって現れた。そんな擬人化した74式戦車と出会って2週間が経つ。
この2週間の間の出来事。
日下部は防衛省から特別勲章を受け取り准尉に昇進、坂口は重工業会社から資材、部品の発注など出来るようになり、武器曹長になるわで立場がガラッと変わった。
74式が日下部らの部屋で一緒に過ごしたいとぐずり、最終的に同じ部屋に。元は4人部屋で人数の関係で日下部と坂口だけだったが、上官が特別に許可を受けてくれた。が、困った事が起きていた……。
6月21日 PM 1:21陸上自衛隊豊川駐屯地 宿舎F2 203号室
宿舎の203号室は日下部らのルームだ。入り口前の苗字の札には新たに「74式」と追加されている。
「あぃ〜…日車側の雑草刈りは疲れるぜ…。」
土と草の青臭さ、男の汗の臭いを身にまとった日下部が戻ってきた。服には汗がびっしりついている。
「これじゃ気分が悪いな。とりあえずシャワー浴びるか。」
日下部は自分のベットの下にある収納箱から着替えを取る。部屋の隅にあるシャワールームへ駆け込んでいく。
その3分後…。
「74式戦車!只今帰還しましたー!」
ハキハキとした声で74式も服に汗をびっしりつけて戻ってきた。先ほどまで駐屯地前の訓練場で訓練をしていたらしい。
「あれ、裕二は…。オフロ??ふふっ…。」
74式の頬がつりあがる。
「旦那様のお背中を流すのも妻のつ・と・め♡」
なんか昭和ネタ臭い臭いがする。74式が服を脱ぎタオルを見に巻く。
「旦那様ぁぁ〜!!」
シャワールームのドアを開けるといきなり目の前が真っ暗になる。息も苦しい。するとシャワールームから日下部が下半身にタオルを巻きながら出てきた。74式の顔にタオルを巻いたのは彼だった。
「お前も懲りない奴だな…。良い加減諦めろよ…。」
懲りた顔で彼女の横を素通りしながらバケットの中にある自分の服を取り着る。
「旦那様ぁぁ〜…私はただお背中を流しに…。」
ごもった声で喋る74式。そう、困った事とはこのことだ。74式が部屋に来てから、朝目覚めると日下部の横で寝ていたり、今のようにシャワールームに押し入って来たりと色々迷惑をしているのだった。
「んなことやってないでお前も早くシャワー浴びて来い。1尉から話があるんだと。坂口はもう先にに行っているから急げよ。」
「はぁい…。」
さっきまでのテンションは何処へ行ったのか。しょんぼりとしてシャワールームに入る74式。日下部は服を着ると部屋を出て行った。
同日 PM 1:40
「日下部裕二准尉入ります。」
「坂口啓陸曹入ります。」
「74式戦車入ります。」
キビキビとした声で部屋の中に入る3人。部屋に入ると大きな椅子、そして広い机が目に入った。椅子は背後を向いている。机の前で気をつけをする。
「まあ楽にしたまえ。」の声と同時に椅子が180度回転する。
3人は気をつけをから足を横幅2歩開き腕を後ろで組む。
椅子に座っていたのは野沢慎吾1尉 陸上自衛隊豊川駐屯地の駐屯地長である。
「ここに来てもらったのは他でもない。」
TVドラマでよくある決まり文句を言う野沢。
「君たち3人には、5日後アメリカのヤキマ演習場で実弾演習をしに来て欲しいのだ。」
実弾訓練。日本では射撃で制限があるのでアメリカへ渡って実弾を撃つ。今回は彼女、74式の持つ105mmライフル砲の性能を確かめるらしい。
「はっ。了解しました。」
3人の重なる返事をする。その後、日下部が野沢1尉に質問をする。
「アメリカへ行くとなれば彼女のパスポート。又それを作る個人情報はどうしますか?」
何気に重要な質問に野沢1尉は真面目な顔で答える。
「安心しろ。彼女の存在は国も知っている。経歴は…ある程度彼女の周りで見て国が設定を付けておくらしい。」
「はっ。では失礼します。」
3人は部屋を退室する。すると同時に日下部は考え事をした。
((まさか偽装とかするんじゃないだろうな…?))
実際偽装だが、それがなければ彼女はおかしな存在となる。そんな事を考えながら部屋を後にした。
2日後…。
6月23日 AM 9:16 セントレア
3人とその他演習をする隊員達は空港に集まっていた。
「おい74式、パスポートは持ったか?」
「はい!ちゃんと貴重品はしっかり持ってます!」
と言いながらカバンから自分のパスポートを取り出す。するとパスポートと一緒に紙が出てきた。
「おい、コレなんだ?」
日下部が拾い上げ見ると紙だった。その紙には文字が書いてあった。その文字を目で追い読み上げる。
「日下部菜々…Age 27…女…(以下略称)日下部裕二の妻ぁ!?」
それには彼女の偽り暦書が書かれていた。何故俺の妻なのだと。日下部は74式に突っかかる。
「おい!これはなんなんだ!」
74式に目を合わせ喋る。
「これは、あれですよ!上司からこういう設定でいろって!流石に職質とかされて何も答えれなかったらまずいじゃないですか!」
あたふたと慌て目が踊る74式。
「それにちゃんと物的証拠もないと怪しまれる訳ですし!」
と言いながら運転免許証や保険証などを出す。
確かに彼女の経歴などはさっぱりだ。2週間前に人として現れたのだ。誰が産んだのか住所、学歴など諸々無いのだ。
((確かに経歴など無いとパスポートは作れないが…))
だが…。
「なんでお前が俺の妻なんだ!?その他経歴は誰が設定した!?上司と国はなにをしてたんだ!?」
大きな声でどつく日下部に74式は答える。
「経歴を決めたのは野沢さんで、夫婦という案は…坂口が考えて。それが野沢さん経由で国に渡って…。」
「名前は菜々で分かるが、何故苗字が俺と同じだ!?」
「それは…。私が裕二の名前と印鑑を勝手に…。あ、住所などは全て坂口に教えて頂きました!婚姻届ももうとっくに出したので、野沢さんがそれも一緒に書いてくれたんでしょう。」
日下部は徐々に怒りがこみ上げ、拳に力が入る。その手は握り締める力で震えている。すると耳元で74式が。
「これであたし達は、ふ・う・ふ♡」
ブチィィィィッッッ!!!
眉間のシワが切れる強烈な音がした。そりゃ何も知らずにそんな事決められてたのだ。誰でもキレる。それと同時に怒りでこみ上げた拳が74式と坂口の脳天に落ちる。
ゴンっ!!と鈍い音と同時に強烈な痛みが2人の身に襲う。
「ぁぁぁぁぁ………。テッパチで殴られるより痛ぇ………。」
坂口は痛みに悶絶し床にかがみこむ。
「あぁぁぁ!裕二がDVしたぁぁ!!」
74式は人が行き通る場所で大声で叫ぶ。しかもDVって…。叫ぶ声を耳にし周りの人が裕二の身に視線が集まる。眉毛を曲げて困った顔で74式に近寄る。
「あ…。泣くのをやめてくれ…。後で…。」
日下部の口が止まった。この「後で」の後に何を言おうか迷った。言うことを聞いてやるなんて言ったらトンデモない事になりそうだし。かと言って何か言わなければこの騒ぎを止められない。日下部は唾を飲み込んだ。覚悟を決めたようだ。
「向こう(アメリカ)に着いたらハグをいっぱいしてやるから…。泣くのをやめてくれ…。」
「え?ほんとですか!?キャハ!旦那様愛してます!!」
ケロっと泣きやみ笑顔で日下部に飛びつく74式。
((コイツ、嘘泣きだったんじゃ…。))
そんな事を考えつつ74式にひっつかれながら遠征組とその場を後にした。だが日下部の頭には74式に対する意識が芽生えていた。
((だけど、こうして笑顔を見ると兵器じゃなく…やはり人なんだな…。))
同日 11:45 機内
飛行機に乗り込み、座席に座った後に74式がこんな事を喋る。
「裕二、今度から私の事を菜々って呼んでください。私だって人なんですからね。」
「…………。」
日下部の無言の反応にショックを受ける74式。だが…。
「はぁ…。ま、外ではそう呼ぶからな。菜々。」
74式の顔に笑みがこぼれる。まるで子供が何かに興味を持ち、目をキラキラ光らせる様に日下部を見つめ「ハイっ!」と答える。
2人がまた仲を深める話はまだ先のこと…。
日本時刻 11:45 米時刻 6月22日 22:45 ワシントン州ホテル
ホテルの上階から綺麗な夜景が観える。まばゆい人工の光に幻惑させられる。1人の女性がバスローブを巻き外を眺める。ローブをまとった姿は身体のラインがくっきりと出る。豊満な胸も余計に強調される。
すると奥から……。
「まだベットについてなかったの?寝れない?」
もう1人の女性が奥から現れる。ショートヘアの髪型。下着も何も着ていない産まれたままの姿だった。だが身体は鍛えられ上げた身体、男の身体に劣らない姿だった。
「NO、ただコーフンしてるのです。あのヒノマル戦車と渡り合えるのが。」
「そう、ならよかった。貴女が調子が悪くて眠れないのかと思ったわ。安心した。そろそろ寝なさい、明日は早いわよ。」
ショートヘアの女がベットに座るとローブをまとった女がローブを脱ぎ彼女を壁ドンの様に押し倒す。
「マム…。気持ちが高ぶっておさまらないです…。お願いします…。」
顔を赤くする。するとショートの女が肩を掴みグルンと回り立場が逆転した。
「……わかったわ。その分4日後は頑張りなさいよ。」
「YES、マム…。」
するとショートの女は押し倒してる彼女の胸を掴むと喘ぎ声を漏らす。それと同時に2人で熱いキスを交した。
夏休みが終わる…。投稿ペースが危うい感じが…。遅れる事を伝えます。
それと次回から。74式の名前は「菜々」に致しますのでご了承のほどを。
次回はアメリカとの合同演習。お楽しみに!