第三話 王国
飛びだった先にあるのは大きな王国
その名もグレイス王国
冒険者や勇者を召喚した際に使われた場所として有名である
さらにこの国の冒険者の強さは、どれも強者ばかりで中には竜殺しのような二つ名がつけられた者いる
しかし悪神にはそんなことをはどうでも良かった
いや、それを気にしている場合ではなかった
「このような場所に余を閉じ込めるとは、この世界の者は全員、礼儀を知らぬのか?」
悪神は王国の牢屋で普通に捕まっていた
理由は空間転移にある
王国を見つけて転移する、それまでは良かったのだ、しかし転移したら場所は王国の手前だったのだ
そう手前だったのだ
当然、王国ともなれば勿論、衛兵くらいは普通にいる
王国の入り口である場所には当然、門番もいるだろう
そして何もない所から突如として現れた不審者
こんな異常事態を目の前にして取った衛兵の行動は素早く近くにいた衛兵と一緒に捕らえることだった
さらに本部にも連絡を入れて牢屋に閉じ込めることだった
実に優秀な衛兵である
そして現在にいたる
「余はさっきからあれは、わざとではない、魔法の失敗だと言っているではないか」
「黙れ!そんなこと信用出来ると思うか!」
おのれ、余を捕まえたからといっていい気になるなりおって、余がこの世界を楽しむ間は壊さないでおこうという温情を知らずに……
こうなったらもういっそ全てぶっ壊してしまおうか?
そんな危険な考えが浮かんだときだった
女の声がした
「もういいわ!彼は嘘を言っていない」
「へ、兵長」
「この真実の水晶が全く濁らなかったわ、もう取り調べは終わりよ」
「了解しました」
そういうと衛兵は余を閉じ込めていた牢屋の鍵を外し余を自由にした
「まったく、酷い目にあったものだ」
「ごめんなさいね、私達も仕事だから、お詫びに、はい、これ」
そういうと女は余にお金を渡してきた
「取り調べで貴方の所持している物を見せてもらったけど、何も持っていないんだもの、そのお金で冒険者に登録してきなさい、それである程度の食いぶちは稼げるわ」
「まあ、良い」
「冒険者はここを出てまっすぐ行くと大きな酒場のような場所があるからそこが冒険者ギルドよ、そこで登録するといいわ」
「わかった」
そして余は牢をあとにした
みんな余口調はスルー