第二話 悪神
崩壊した魔王城
そこには蛇の形をした一柱の神がいた
「余を召喚しながらこのもてなしとはな……本来なら万死に値するのだが、召喚主はすでに死んだか……愚かな」
まあ良い
召喚などしたところですぐに殺すつもりだったのだ
別に死んだからと言って特に変わらん
それに召喚した理由など決まっている
この世界の全てを殺し、壊し、犯し、絶望に染めること
それを阻む者ならばたとえ神であっても殺す
我を召喚した理由など全てそういうものだ
さあまずはこの場の命を刈り取るとしようか
「さあ、絶望を知れ」
悪神は魔力を放出するとこの魔王の住む島、全てを覆った
『死ね』
たった一言
そのたった一言によってこの島にいた全ての生物は死んだ
魔族も魔物もただの動物も全てが灰のような砂となり骨すら残ることなく消えた
「まったく抵抗を感じなかったとは、ここには大した力の持ち主はいないと見える」
もはやここに用はないな
……少し遊ぶとするか
この世界を壊すだけで帰るというのは面白くない
そうだ
人間の姿で生活し飽きたらこの世界を壊す
これは中々に面白そうではないか
ならばまずは人の体にならねばな
悪神はもう一度、魔力を放出すると今度はその魔力で体を包んだ
すると本来あった体がどんどん小さくなりやがて人の形になり放出した魔力を消した
「魔力による体の変質、久しぶりに行ったが上手くいったようだ」
魔力による変質が終わると悪神は体がさっきまでの巨大な蛇の姿はなく白髪金眼の青年になっていた
「しかしやはり力は落ちているな、いくら悪神といえど体を人間にしたら人間の基準となるわけか」
まあそれでも人間の中では最高ランクの強さだろうが
それに危険になれば体を戻せば良いだけのこと
体を元に戻すだけならば大した魔力はいらぬ、この身でも十分に扱える
そういえば服がないな
『創造』
悪神が使ったのは万物を創造する魔法
本来はこの魔法は創造神しか使えないのだが神々を殺した際にその権能を全て取得したのだ
悪神は創造した服を着ると北の方を見た
ここより先の遥か彼方に人間の国があるな
全速力の飛行の魔法で三時間といったところとか
そして悪神は目に強化の魔法を掛けるとその国を見ながら全速力で飛び立った