この復活は復讐
本編とエピローグのだいたい真ん中辺りのお話です。
なので、タイトルも最終章タイトルの法則に従いました
魔王城の玉座の間にて、不完全ながらも復活寸前の禁遊屍人を再び滅ぼす為に集められたボク達が、リリスさんがボクとダアトちゃん、ディアさん夫婦にそれとじゃれあう幼い子供2人……つい先月生まれたリリスさんの双子の子供だろうか? それにしては成長し過ぎている気もするが……が玉座に座るリリスさんを囲むように立っていた。
「さてっと……全員揃ったみたいね」
作戦会議を始めるぞとリリスさんが手を叩くも、ダアトちゃんは異議があると言わんばかりに手を挙げた。
「1つ聞くのだけれど、ところかまわずじゃれあってるこの子供達はあなたの子供かしら? ……まさか、子守か社会見学の為に連れて行く気じゃないわよね? もしもそのつもりなら」
「あらあら、子供だからといって本質を見逃してはいないかしら? ……この子達2人、今の慢心して索敵を疎かにしているあなたなら軽くひねりつぶせるわよ?」
その言葉にハッと驚愕したダアトちゃんは冷静になって2人を冷静に観察し……そして驚愕した。
「この子達……本当に先月生まれた子なの……!? なんでもう魔力があなたの3分の2もあるのよ……!」
「ね? 索敵と解析を疎かにすると……いつの間にか直上にいた敵機に急降下爆撃をしかられるわよ?」
リリスさんは微妙に分かりづらい例えでダアトちゃんを戒めた。
ダアトちゃんは歯噛みして唸るも素直に聞き入れたのだが、双子の片割れの少女がいらない一言を呟いた。
「ねえママ、このロリババアさん、いつか『火の塊となって沈んでいけ』とか言って襲いかかってきそうでこわい」
「今ここでお前を火の塊にして沈めてあげようかしら……!」
何も知らない部外者から見れば、幼い女の子2人の微笑ましい喧嘩かも知れないが、その実態は冷戦時代の某連邦と某合衆国の関係に似たものがあった。主に一触即発の空気と最悪の事態が起こった場合の周囲へのとばっちりの大きさが。
「こら、遊月ちゃん! 取り返しの付かない事態になる前にダアトちゃんに謝って!」
にらみ合いの沈黙を破ったのは少女の……ユヅキちゃんの相方の少年だった。
「遊月ちゃんが全面的に悪いんだから、もし遊月ちゃんが謝らないなら……嫌いに」
「ごめんなさいダアトちゃん様、このたびはユヅ……私ことユヅキが余計な事を言ってしまいアナタの気分を害してしまい本当にすみませんでした」
「謝罪が早くで丁寧ねあなた……まあ、私も大人気なかったわ。ごめんなさいね」
「うん。……おにいちゃん、これでいいの?」
「オッケー、満点の謝罪だったよ」
褒めて伸ばす方針なのか、兄の方がダアトちゃんにきちんと謝罪出来たユヅキちゃんを撫でながら褒めていた。
その姿にわずかながら違和感を覚えながらも、禁遊屍人の話へと話題を戻すために口を開いた。
「ところでリリスさん、どうして禁遊屍人が復活してしまったんですか? あいつは……禁遊屍人はユートさん達が倒したはずなんですけど」
「これは推測なんだけどね、遊斗ちゃんにかけられてたあの呪い、効果の発動そのものがかなり早い段階から起こっていて、少しずつ遊斗ちゃんから魔力を奪っていたのだと思うわ。そして、その少しの積み重ねで禁遊屍人が辛うじて復活する魔力が溜まってしまったんじゃないかしら?」
「理由はなんでもいいわ……復活したのなら、またわたし達が滅ぼせば良いだけよ。小杉ユートの遺志を継いで……あいつが望んだ事を……禁遊屍人を殺して……」
「………………」
「ダアトちゃん様、ちょっといい?」
何か物言いたげにダアトちゃんを見つめていた兄の意図を汲んだのか、ダアトちゃんの言葉を遮った。
「ダアトちゃん様は……小杉ユート? って人が、ダアトちゃん様が闇堕ちしてまで遺志を継いでもらいたがってると思うの? ママから聞いた小杉ユートって人は、自分をぎせーにしてでも皆を笑顔にしたいと思うようなお人好しだったんだけど」
「…………、……そうね。そうだったわね。それと……ただのお人好しじゃなくて、『どうしようもない程のお人好し』よ」
懐かしむように告げたダアトちゃんの言葉を聞き、ユヅキちゃんは何か言いたげに兄の方をチラリと見た。
「……ん、なに、ユヅキちゃん?」
「……なんでも、ないけど」
ボクにはイマイチよく分からない双子だった。
「あ、ところでリリス? 禁遊屍人復活までの猶予はどのくらい残っているのかしら? ……まさか、あと2、30分なんて戯れ言は」
「……マイナスよ」
「……は?」
「禁遊屍人、動きを封じているとはいえもう復活しちゃっているのよ」
いつも通りの笑顔の……いえ、若干困った表情をしているリリスさんが禁遊屍人の復活を告げた。
「禁遊屍人が既に復活しているって……どうしてそんな大事な事を早く言わないのよ! もし身動きを封じる枷が解かれたら……」
「ダアトちゃん様、このユヅキちゃんが結界に閉じ込めました。だから問題は」
「あなたのような子供が作った結界なんてたかがしれているわ」
「ダアトちゃん落ち着いて、いつもの悪い癖が出てますよ?」
昔のように強くないのはダアトちゃんも分かっているのかも知れないけれど、対等の存在が数えるほどにしか居なかったからなのか驚くほどに煽り耐性や慢心耐性がないのだ。
子供っぽいというかなんというか……
「……ところでママ、ユヅキの張った結界で禁遊屍人はいつまで拘束出来そうなの?」
ダアトちゃんが逸らした話を引き戻すためか、さっきから結婚式について話し合っていたディアさん達夫婦がようやく話を進展させるために、会話に加わった。
「行けといわれたらオレもディアも準備は」
「……私が見たときにはヘドロ状だったけれど……嫌な予感がするのよね」
「……ママ?」
「あの怨敵の髑髏を杯にしかねないような悪趣味な禁遊屍人の事よ。なにかよからぬ罠を仕掛けていても不思議ではないわ。それこそ…………いえ、とにかく今回主戦力とするのはユヅキちゃん、あなたよ」
「ん、ユヅキちゃん、おもいっきり暴れてもいいの?」
「ええ、思いっきりバトルしてきなさい。それこそ、ネギトロみたいな肉塊にして」
「ちょっとストップです、リリスさん。それ以上は絶対教育に悪いです」
「さいぼーの一片も残さないように、完全に消滅させればいいの? ユヅキちゃんわかった」
「……どうやら手遅れみたいね、神河イズモ」
「…………はぁ~」
せめてお兄ちゃんの方だけでも常識的なインキュバスとして育ってくれることを祈りましょうか。
「あ、ところでユヅキちゃん、結界の強度は残り何パーセントってところかしら?」
「ええっと、多分60パーセントぐらい?」
「そろそろ行った方が良いわね……それじゃあディアとコンコルド君はお留守番、イズモ君とダアトちゃんは後衛で、ユヅキちゃん達は……2人で協力して禁遊屍人を滅ぼすっていう作戦でいかしら?」
「……お留守番…………」
「ま、まあ、結婚式を控えてるオレ達に負担をかけまいっていう采配だから、な? 落ち着こうな、ディア?」
心なしか沈んだ表情でコンコルドさんを見るディアさんとフォローするコンコルドさん……
「後衛、ね……双子が禁遊屍人を仕留めるのなら、わたし達にやる仕事はあるのかしら」
神の力を少しずつ取り戻していることもあってか、いつものように慢心しているダアトちゃん。
「お兄ちゃん、不安なの? ……ユヅキちゃんがグロテスクに禁遊屍人を殺しすぎないか」
「……禁遊屍人を倒す役目、ユヅキちゃんに任せてもいいけど、僕も……」
「……お兄ちゃん?」
「……あ、なんでもないよ」
子供っぽいユヅキちゃんと大人びた兄……こう言えば相性はいいのかもしれないけれど、少し不気味なほどに大人びている気がする。
「…………まさかね」
やんちゃな妹に苦労しているからあんな風におとなしいのだろう。そう考えることにした。
ユヅキの兄、いったい誰杉遊斗なんだ……(棒)
ちなみに、ユヅキは一月で魔力値がチート化しましたが、今後の成長率は横ばいです。横ぱいではなく横ばいです。制御能力のお陰で今後もチート化確定しましたが
ちなみにユー……兄の魔力は高初期値で成長率は低めです。ユヅキよりマシですが