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この再会は……

表面でチラッと触れた、ボツ最終回です。最初の方が少し蛇足に感じたのでその辺りをカットしました

 ユートさんが死に、そして禁遊屍人デッドマンの復活を阻止してから一年……ボクはリリスさんのとある目的の為に、ディアさん達夫婦の正式な結婚式に招かれ、神父の真似事をする事になった。

 とある目的……と言っても、何か目的があってやっているのだろう程度の認識なのだが……誰かに似ているディアさんの幼い弟、そしてリリスさんが半ば強引に連れてきたミラさん。

 リリスさんがまた何か企んでいるのでしょうかね? それでも、ボクはボクの役目を果たしますけど。

「魔王ディアボロスさん、あなたは……って、鴛鴦夫婦の御二人にはそもそも誓いの言葉は聞かなくても問題はありませんね」

「問題ない。既にコンコルドと私の心はつながる寸前だから」

「……ディアにしては若干謙虚だな」

「勿論、残すは融合の儀だけ。分かりやすくいえばセッ」

「はいそこまで! ストップ! サキュバスの義弟達とはいえ子供達が居る前でそんな事言うな!」

 ヤンデレ成分のせいで微妙に忘れていましたけど、そういえばリリスさんの娘であるディアさんもサキュバスでしたね。

「コンコルド、心配しなくてもママから遊月ユヅキには英才教育として今の内から学ばせておくように言われてるから」

 話の流れから察するに、遊月とはディアさん達の妹の名前らしい。

 何故かは分からないが、……真理ちゃんやミラさん、そしてドラグリアさんとエキドナさんを使役……いやいや、手玉に……でもなくて、ええっと……

 まあとにかく、とてもやんちゃでブラコンな妹に育ちそうな気がします。

 というか、サキュバス族の生後1ヶ月は人間の10歳に相当する(リリスさん談)以上、もはや手の施しようがないほどにやんちゃに育っているような気がします。あ、ちなみに、半年を過ぎた後の成長はマチマチらしいです。

「……あー、ならまあ、オレの風呂をのぞいたのは」

「その話詳しく聞かせて欲しい。状況によっては姉として『躾』を」

「あのー……そういう夫婦のお話は後でにしてもらえませんか? 一応結婚式の最中なので」

 分かってもらえたのか、2人は……ディアさんはリリスさんの膝に座る黒髪ツインテールの遊月ちゃんと思わしき少女を睨んでいましたけど……ひとまず夫婦の会話をやめた。もっとも、既に皆さんご立腹でしたけど。

 更に言えばミラさんはいつの間にか居なくなっていましたけど。おそらくリリスさんの予定通りに。



「空はあんなに青いのに……わたくしの心は……」

 ディアとコンコルドの結婚式からこっそりと抜け出していたミラは式場……リリスの別荘をそれっぽく改装しただけの場所だが……の外に出て、空を仰ぎ見ていた……

「……ユートが死んでからもう一年経ちますのに……」

 誰に対して言うでもなく、ただ呟いた……

 ミラは1日たりとも……否、1秒たりとも忘れることはなかった。自らが愛し、そして自らが殺さざるを得なかった少年、ユートの事を。

 彼を殺した後、ダアトによってリリスがそそのかした理由を聞いた後も……真にユートを愛していたミラがユートを殺さなければ呪いが完全に解けることがなく、ミラが殺さなければ禁遊屍人デッドマンが復活し最悪の事態に陥っていたという事を聞いてもなお、ミラはユートを殺してしまったという自責の念に駆られていた……

「ユート……転生出来たのなら……今どこにいますの……?」

「……あ、あのー」

 背後からかけられた、懐かしい気がした声に急いで振り返るも、そこにいたのは期待の人物ではなかった。

「あなたは……確か、ディア姉さんの弟……ですの?」

「そういうあなたは……ミラ、お姉さんですよね?」

 似ているけれど……おそらく違う、ユートならミラさんと呼んでいたハズだ……

 そう判断したミラは、ニコリとした笑顔を取り繕い……体ごと振り返った。

「心配しなくとも、ディア姉さんの結婚式から抜け出したままで居るわけがありませんの。ちょっと外の空気を吸った後にちゃんと帰るつもりだったんですの」

 何か言いたげな表情の少年を気にかけることなく、ミラは少年の横を通り……

「ミラさんは嘘つきですね」

 そして少年の呟きで足を止めた。

「……な、何を根拠に、そう言いますの?」

「まず、さっき僕に気付く直前の呟きでディアお姉さんを嘆くような言葉を呟いていたのが一つです。それとミラさん、そろそろネタバラシを」

「まさか……ユート、ですの……?」

「……はい、お久しぶりです、ミラさん」

 やっと気付いてくれましたね。そう呟きながら、少年は……ユートはミラに抱きしめて欲しいと言わんばかりに両手を広げた。

 ミラは涙を流しながらそっと抱きしめた……今度は絶対に話さないと言わんばかりに、固く固く抱きしめていた……

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