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モンスターゲート  作者: ケン
第2章  天使
35/42

第35話

 さっきまで登っていた道が今度は下る道になるが整備されているような下り道ではなく、全く整備されていない下り道なので岩肌が露出していたり、大きな穴が開いていたりとかなり最悪な状態のまま放置されている。

「整備とかしないのか」

「私が生まれる以前は綺麗な道だったらしい」

 つまり天使のトップが行方不明になってからこうなったってわけか……でも天使のトップっていう事はそれ相応の力があるわけだろ。そんな人を攫える人とがいるのか……もしくは何らかの意思で自分から姿を消しているとか……でも170年間も疾走するトップはいないわな。

 そう考えながら歩き出そうとした時にイスラに停められた。

「どうした」

「……」

 イスラは前方を睨み付けるようにしてジーッと見ている。

 すると前方の地面から黒色の液体のようなものがゴポゴポと漏れ出すようにあふれ出てきてスライムが意思を持っているかのようにウネウネと揺れながらその形を変えていき、巨大な人の姿へと変化する。

「こいつらは?」

「侵入者の力を図る目的のセキュリティーだ……天界には人間を連れてくると伝えたはずだが」

 イスラはそう呟きながら魔法陣から巨大な斧を取り出して横に一閃し、奴らをまっぷったつに切り裂くが切り裂かれた箇所が再び接合し、元の姿に戻った。

「……おかしい。天使の一撃を受ければ機能を停止するはずだ」

「つまり……天界で何かが起きているってことか」

「そうなる……奴らはほぼ無限に湧き出てくる。ここは突破するしかない」

「……奴らは魔法で動かされてるのか?」

「そうだが……何をするきだ」

「まあみてろって」

 左腕を変化させ、意識を腕に集中させると左腕全体が淡く白色に輝きだし、掌に十字架が浮かび上がった瞬間、それを地面に叩き付けるようにして掌を地面に叩き付けた。

 すると広範囲に白い魔法陣が展開されたかと思えば魔法陣の中に入っていた奴らがゴポッと気泡を出すかのように破裂し、元の液体に戻った。

 悪魔の右腕と似たような力だな……悪魔の右腕が悪魔の魔法を無効化し、天使の左腕が天使の魔法を無効化するってわけか。

「随分と慣れた様子だな」

「切断された右腕もこれの悪魔VERだったからな。先を急ぐぞ」

「あぁ。ここからは一気に私の翼で降りよう」

 そう言うとイスラが周囲に白い羽根をまき散らしながら背中から2対の純白の翼を生やし、俺の手を握って上空へと舞い上がり、一気に山を駆け下りていく。

 ……最初からこうしていれば一日もかけずに辿り着けたんじゃねえの? まあそれが出来なかった理由があったってことにして聞かないでおくか。

 ものすごい速度で荒れた山道を駆け下りていく。

 5分ほど山道を駆け下りると目の前に巨大な白い門が見えてくるとともに速度が落され、そのまま減速していき、門の目の前に到着すると同時に地上に降り立った。

「この先が天界か」

「あぁ……行くぞ」

 イスラが白い門に手を置いた瞬間、全体に光の線が入り、重い音をたてながら白い門が開かれていく。

「……白ばっかりだな」

 目の前には住居らしき建物が多くたっているがそのどれもがほとんど白色に染められており、たまに茶色や赤色と言った色があるが全てと言っていいほど白色に染められている。

 向こうの世界の都市と同じくらいに建物が立ってるけど……車がないせいか人の声くらいしか聞こえない……向こうもこんな感じの騒がしさならいいんだけどな。

 だがどこか住人たちの雰囲気は物々しいというか重苦しい雰囲気で皆が皆、沈痛な表情をして歩いている。

「何かあったのか?」

「分からん……少し聞いてみるか。すまない、何かあったのか?」

 イスラは近くを通った住人を捕まえ、皆が皆、一様に沈痛な面持ちをしている訳を尋ねた。

「……実は先程……冥界と戦争状態へ入ると全国民に知らされました」

 っっ!? め、冥界と戦争!?

「それは本当か」

「は、はい」

「…………すまない、ありがとう」

 そう言い、住人を解放した。

「……イスラ、どうする」

「……NO.2に訳を聞きに行く。今まで不干渉を決め込んでた天界がいきなり冥界と戦争状態になるなどあり得ん」

 そう言うイスラの後を俺も追いかけていく。










 門からまっすぐ突き進んでいくと白一色に塗りたくられている宮殿に到着するが門兵などは一切おらず、何の疑いもかけられないまま俺もNO.2たちがいるという最上階へと向かう。

 ……天界を収める連中がいる宮殿っていうわりには警備が手薄過ぎないか? さっきも入口で止められなかったし、そもそも門兵すらいなかった……職員らしき奴らは見えるが警備の奴らが見えないっていうのは聊か問題がある。無能な政治家たちが集まっている国会だって警備員くらいはいるぞ。

 最上階へ到達し、NO.2がいるらしい部屋へと向かうがその扉の前で多くの天使たちが困り果てた表情で扉の前に集まっていた。

「どうかしたのか」

「おぉ、NO.12。先程からNO.2、NO.3、NO.4をお呼びしているのですが返事がないのです。先程冥界と戦争状態に突入すると宣言されてから」

「……NO.12です。ただいま帰還いたしました! 中に入ってもよろしいでしょうか!」

 イスラが大きな声で扉に向かってそう叫ぶが中からうんともすんとも返答が帰ってこない。

「普段なら返事がくんのか?」

「少なくとも入ってよいのか否かの返事は帰ってくる」

 イスラはもう一度、先程と同じように叫ぶがやはり中からは物音一つせず、返答も一切帰ってこない。

 その様子に集まっている職員たちも動揺を隠せないでいる。

「馬鹿かお前は」

「……お、おい。何をする気だ」

「返答が無けりゃ無理やり入ってやればいいんだよ!」

 イスラを退かし、左腕を天使の腕に変化させると突然のことに驚いた職員たちが一斉に俺から離れる。

「ま、待て! この中は4番以上しか許可なしに入ることを許されず、一桁ナンバーの天使でも許可なく入れば数字の抹消、下手をすればその命さえ取られかねないんだぞ!」

「んなこと知るか! こっちは急いできてんだよ! ちんたらちんたらまってられるか! おらぁ!」

 腕に力を込めると腕全体が白く輝きだし、その状態で壁を全力で殴りつけた瞬間、凄まじい爆音とともに扉にひびが入っていき、全体にひびが入った瞬間、扉が瓦礫の山となって崩れ落ちていく。

 反応もなし、物音もないんだったら寝てるんだろ。さっきの爆音でも起きただろうし……ていうか真っ暗で何も見えねえな。

「お、お前なんてことを」

「俺天使じゃねえから天使のルールは通用しない」

「そういう問題か! あぁ……契約者の私に責任が……ア、アハハハハハハー」

 遠い目をしながら笑っているイスラを放って中へ入り、暗い中、一桁ナンバーの中でも4番以上しか入れないという部屋の中に入り、戦争状態に突入すると言い放った当人たちを探す。

「すんませーん。連絡合った人間の者なんですけど~」

「私がクビになったら人間の法律で貴様を裁いてやる……」

「まあ気にすんなって。にしてもなんか嫌な臭いだな……すんま……」

 その時、何か液体を踏んだ時に聞こえるような”びちゃっ”という嫌な音が聞こえるとともにさっきから感じていた嫌な臭いの正体がふと頭の中に出てくる。

 …………思い出した、この臭い。

「イスラ。明かりつけてくれ」

「あ、あぁ」

 イスラが部屋の明かりをつけた瞬間。

「っっっ!」

 イスラの悲鳴にもならない声が聞こえた。

 …………おいおい、マジかよ。

「う、嘘だ……な、何故」

 俺が扉を壊したせいで後ろの奴ら隠すものがなくなり、目の前の惨状がそのまま映される。

 目の前にはその綺麗な翼を真っ赤な血で汚し、腕や首、足などがあらぬ方向に曲がってしまった状態で椅子に無理やり括りつけられ、まるで発見者である俺達に見せつけるように開かれた胸元には2,3という数字が書かれているのが見える。

「す、すぐに治癒魔法で!」

「いや、無駄だ……どうみても」

 気が動転しているのか後ろにいた天使が目の前の惨劇を目の当たりにしても治療しようとするのを俺が止める。

「あ、悪魔の仕業だ」

 そんな声がポツリと聞こえた。

「おい、ちょっと待て。まだそう決まったわけじゃ」

「戦争の準備だ! 悪魔を滅するときが来たのだぁぁぁぁぁ!」

 1人の天使がそう叫んだ瞬間、全ての天使がそれに同調するかのように一斉に声を上げ、準備をするためにこの部屋から去っていく。

 呆然とした様子のイスラは涙を流すこともなく、声を上げることもなく只々、目の前の惨状を見ているだけだった。

 …………本当に悪魔がやったのか?

 俺にはそんな疑問が1つあった。

 椅子に無理やり括りつけられているNO.2の頬に触れると冷たくなっており、もう温もりはなかったが頬に付着している血は乾いている。

 床の血は流れ出てくる血だとしても……頬の血が渇いていると言う事は相当な時間、この状態で経過していると言う事。

「……おかしい」

「どうした」

「……何故、数字が胸に出たままなんだ」

 そう言いながらイスラは胸に刻まれている数字を見る。

「天使の数字は誰かに倒されれば必ずその勝者に受け継がれる。死体には数字は残らないんだ。寿命や病気で死ぬ場合を除いては」

「…………つまりこいつらは病気で死んだってのか」

「いいや…………これは私の推測でしかないんだが……全ての力を奪われたのかもしれん」

「……吸収ってことか」

 俺の問いにイスラは首を縦に振る。

「NO.2、NO.3の力を全て吸収した何者かが息がない状態でこうした」

「……それができるのは」

「十中八九、天使だ。そもそも悪魔の攻撃を受けた天使の翼は必ず黒ずむ。だが黒ずんでいないことを見れば同族がやった……」

「まずいことになったな。これは」

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