第一章 全ての始まり
いよいよ、「適当な答」の本編が始まります!
「……推理小説は、嫌いだし……恋愛小説は何だかヒロインの数決めるの面倒いし……SF系の小説は……外道……あり得ない話を作るのも何か嫌なんだよね〜」
一人の男が受話器を片手に話している
「……じゃあ、お前はどんな小説が作りたいんだ?」
「そうだな〜 どの枠にも捉われない面白い小説がいいな!」
「……まぁ頑張れや、俺今からバイトだから切るぞ?」
「あぁ、バイト頑張れよ」
受話器を置くと俺は部屋に戻った
俺、刈伊沢 祐介小説家を目指している無職の暇人だ
因みに俺の意気込みはと言うと……「小説なんて、面白ければそれで良い」と言ったそんな感じだ
親父には「そんな馬鹿げた事はどうでもいいから職を探せ」と言われた……その後と言うもの俺は家を出て行ったのだが、アパートを借りるにも金が無いから友人の白和泉 健二の家に居候させて貰っている訳なのだが……
しかし、面白い小説が未だに出来無いのだ
……
そんなある日の事
「――俺がバイト?」
健二から電話があり、話をしている
「そうだ。今日一人辞めちまって」
俺は、居候していて何かと世話を掛けているからな……その話に乗る事にした
「分かった。で、何時から行こう?」
健二は、少し考え
「帰ったら話す。じゃあ」
そう言うと受話器を置いた
……数分後
「ただいま」
健二が部屋に入って来た
「お帰り健二」
健二は床に座ると机にコンビニの袋を置き言った
「今日はコンビニ弁当だ」
俺は、お茶を淹れながらふとそう言えばと言い出す
「バイトの件はどうなった?」
健二はご飯を食べながら言った
「とりあえず、明日からだな」
俺は床に座ると言った
「本当にありがとな」
健二は俺に言った
「あぁ、しっかり頼むぞ祐介」
「あぁ」
……
――カタカタカタ
「すると、講師はチョークを投げた」
俺は言いながらキーボードを打つ
(ありがちだが……まぁ、面白いかな?)
ふと、パソコンの時計を見た
「……11時59分か」
時間を確認すると、欠伸を噛み殺しパソコンの電源を落とし寝た
8月28日
……
――ジリリリリ
「……ん、……あれ、何か予定あったけ?」
俺が、寝ぼけながら言うと健二が時計を止め言った
「早く起きないと遅刻するぞ?」
「あぁ、すぐ行く」
それから、リビングに下り朝食を食べてから俺と健二は家を出た
「そう言えば何のバイトだっけ?」
俺がそう聞くと健二は昨日言ったぞと笑いながら言うと指を差し言った
「――ここだ」
……その店は、俺の兄貴が働いていた店だった
俺が呆然と立っていると健二が呼びかけていた
「どうした?早く行くぞ」
俺は頷き店の入り口へと入った
……
「まず、どうしてここで働こうと思ったのかな」
この店の店長……もとい兄貴と面接している
「友達の誘いです。俺、その友達の家に居候していて……」
因みに俺は兄貴と5年近く会っていない
俺が家を出たのはここ最近でその前から兄貴は家を出ていた
兄貴は機械に詳しく家を出るのも俺にとっては珍しくは無い
「……ん?」
兄貴が履歴書に目をやると、俺を見ていた
「……もしかして、祐介か?」
俺は、ふと顔を上げる
「……あれ、もしかして……兄貴?」
その時俺は思った、兄貴と会うの何年振りだろうと
「面接終わり……祐介、これからよろしくな!」
そう言うと、兄貴は部屋を後にした
「……今までの面接で一番早かった……」
そう言うと俺も部屋を出た
「あれ?祐介もう終わったのか?」
健二は俺に話しかけてきた
「あぁ、そうなんだ」
「結果は何時ぐらいに出るんだ?」
健二は興味深々と言った感じで訊いて来た
「結果ならもう出たぞ」
俺が平然にそう言うと健二は「どうだった?」と訊いて来た
「合格だ」
俺がそう言うと健二は喜んでいた
「まぁ、とりあえず今日は仕事のやり方を覚えてくれ!至って簡単だ」
健二はそう言うと俺を連れ仕事のやり方を教えてくれた
……
今日は、全面的に疲れたな……
決して重労働では無いが疲れる仕事だな
因みに、俺のバイトはレンタルビデオ店だ
パソコンを立ち上げ、昨日の続きをする事にした
「中庭で昼食を食べる事にした」
キーボードを叩きながらふと、考えた
「ここからどうするかな?」
少し考えていると、携帯のバイブが鳴った
「ん?メールか、誰からだろう?」
携帯を手に取りメールを開く
「……港沢からだ……何だろう?」
因みに、港沢とは俺のかつての悪友だ(悪い奴では無いが、いつも何か悪事を企んでいた奴だ)
メールの差出人を見るともう一度ボタンを押し、内容を確認する
「何々……近々遊びに行くから待っていろ……何考えてんだか?」
携帯を机に置くと欠伸をした、そしてパソコンの電源を落そうとした時
再び携帯のバイブが鳴った。そして、メールを確認した
「追伸ー因みに、お前が家出していることは確認済みだ」
あの野郎……しつこいな
パソコンの電源を落とし寝る事にした
8月29日
……
―――ジリリリリ
「……あと、5分だけ……寝かせてくれ」
俺は、そう言うが結局起きた
ドアを開けると、健二と会った
「おはよう、健二は早いな」
俺は、欠伸を噛み殺しながら言う
「相変わらず呑気だなお前は……」
健二はため息を吐くと階段を下りたので俺も後に続く
飯を食い終えた俺と、健二はバイト先(レンタルビデオ店)に向かった
……
(……そう言えば、腹減ったなぁ……)
俺はふとそんな事を考えながら時計に目を落とした
――11時45分、昼休みまで後、5分
「――よぉ、久しぶりだな……刈伊沢」
ふと、誰かに呼ばれ顔上げる
「ん?……ってお前は!?」
何と、そこに居たのは……
港沢だった……
「……いらっしゃい」
俺はそう言った後
(――なんでこいつが来てんの?)
と考えた
……すると、港沢が察したのか、俺を見て言い出した
「――とりあえず、これを一週間貸してくれ」
と、DVDを3枚程カウンターに出した
(……何故に、ホラー系?)
そう思いつつ港沢に言った
「300円です」
港沢は100円玉2枚置くと言った
「後はまけといてくれ」
港沢はニヤリと笑い俺の台詞をスルーして言った
「――貴重な情報料と思って頼む」
そう言うと、DVDの入った袋を置き返ろうとする
「あっ、これどうすんだ?」
袋を指差し港沢に訊く
「後で、白和泉の家に行くから持って来てくれ」
そう言うと店を出て行った
(勝手な野郎だ!)
そう思っていたら、健二が「昼飯行くぞ」と言ったので頷きついて行く事にした
……
それから、数時間が経ちバイトが終わり健二と家路に向かっていた
「そう言えば、お前の家に港沢が来るって本当か?」
俺は昼前に港沢から訊いた話を健二に訊いた
「あぁ、言うの忘れてた」
健二は頭を掻きながら笑う
それから、数分経ち健二の家に着いた
「諸君!ご苦労だったな〜」
何処から現れたのか、そこには港沢が立っていた
「……お前なぁ……」
俺はため息を吐いた
「ん?どうしたお前らしくないな」
港沢はニヤリと笑いながらそう言う
「そろそろ冷えて来たから中で話そう」
健二はそう言うとドアの鍵を開けた
……
「……えっ、黒澤が?」
俺は港沢の言う言葉に疑問を抱く
「あぁ、何故あのような場所にいたのかは知らんが確かにあれは黒澤だった」
俺はその言葉を理解出来なかった……何故なら、一年前に黒澤は事故に遭ったからだ
医者の話だと、まだ意識すら回復していないと言っていた
「なぁ、港沢……人違いじゃないのか?」
健二は港沢にそう言うが、港沢が一枚の写真を取り出した
「……俺も信じたくは無いが」
港沢は、そう言うと机に写真を置いた
「……嘘だろ……」
俺は身体中の力が抜けた……写真に写っていたのは黒澤結衣だった。
8月30日 再会と約束
――ジリリリリ
「……朝か」
それにしても廊下がやけに静かだった
(健二、まだ寝てんのかな?)
俺は、朝食を食べるためリビングに向かう事にした
……
「ごちそうさま」
俺は、菓子パンを食べ終わると玄関に行こうとドアに手をかける
――ガチャ
「あれ?祐介じゃないか……やけに早いな?」
出掛けようとドアを開けようとした瞬間、健二は少し驚いたよう
に言った
「まぁな、たまには俺だって早起きぐらいするさ」
俺はそう言うと「行って来ます」と言い外に出た
「……たまの休みぐらいゆっくりしろよな〜」
健二は笑いながらそう言った
……
(……あれは、確かに黒澤だった)
俺は、昨日の事を思い出していた
島里病院
「黒澤結衣さんの病室は何処ですか?」
俺は、受付で病室を訊くと部屋に向かった
502号室――黒澤結衣様……と書いてある部屋をノックする
――コンコン
「……どうぞ」
部屋の奥から確かに声が聞こえた
「……結衣、意識が戻ってたんだな」
俺は、お見舞いの花を置き話しかけた
「ありがとう、祐介君」
俺は、本題に入る事にした
「その……いつから、意識が戻っていたんだ?」
俺が、結衣にそう訊ねた
「ここ最近だよ?……でもどうしたの?」
結衣がそう訊いてきた
「お見舞いだよ。俺、ここ最近忙しくて来れなかったんだ……だからね」
俺は、微笑みながらそう言う
……そう、あれは一年前……高校を卒業する日に起こった事故だった
「今日で、この本校も最期かぁ〜」
俺は、健二と並木道を歩いていた
「お前なぁ〜そんな呑気な事言ってると――」
健二が言っていると後ろから声が聞こえて来た
「祐介君、健二君おはようー」
結衣がそう言い俺達に近付いて来る
その時
キキッーー
「結衣っ!結衣っ!!」
俺は自我を失い結衣を呼び掛ける
「祐介……君、……ごめ……んね」
それから結衣は意識を失った
幸い、命はとりとめたが意識が戻らなかった
事故の原因は運転手の居眠り運転が原因だった
――とてつもなく悲しい事故だった
「でも、良かった……結衣が意識を取り戻してくれて……」
もしかすると、俺は泣いているかもしれない
すると、結衣は微笑んだまま言う
「祐介君……私が、退院出来たら何処か行こうよ」
結衣は言い終えると窓を見ていた
「一年の間、ずっとここに居たんだよ……」
結衣は何処か切なそうな顔をしていた
「あぁ、そうだな!行こう、絶対行こう……俺は待ってるからさ」
俺がそう言うと結衣は嬉しそうに頷き
「約束だからね」
……それから何時間経ったかは分からないけど閉館時間まで結衣と話をしていたと思う
そして俺は、家路に着いた
8月31日
――ジリリリリ
「……朝、か」
少し眠気があったが今日はバイトなので起きる事にした
……
リビングで朝食を食べている
「健二、今度休みいつだっけ?」
俺は、パンをかじりながら訊ねた
「えーと、火曜だったかな?」
健二はそう言うとコーヒーを飲んだ
「ごちそうさま」
俺もコーヒーを飲み洗面所に向かう
そして、数分後……
健二とバイト先に向かった
……
ビデオ店で、いつものようにレジを打っている
(暇だ〜……しかしこのバイトも慣れれば面白いな)
俺は一瞬、詩人家を目指そうと思ったぞ
(最近はレンタルビデオのレンタル料も伊達じゃないからな……)
それにしても、今日はちっとも客が来ない……
「ふわぁ〜……眠たいなぁ〜」
俺は欠伸を噛み殺しつつ、つい本音を言ってしまった
「お前なぁ〜」
健二は俺を見て笑っていた
……
今日は、バイトが7時に終わった
帰りに「用事が出来た」と健二に言い島里病院へと向かった
15分位経つ頃には島里病院前にいた
……
――コンコン
「……誰?」
部屋の奥から声が聞こえた
「祐介だ」
俺が、そう言うと部屋の奥から
「どうぞ」
と、聞こえた
――ガラガラ
「結衣どうだ?調子は?」
ありがちな台詞だったが俺は心配している
「うん良いよ。昨日よりずっと良いって……祐介君のおかげかな?」
どこか可笑しく結衣が笑っていた
「でね、この調子だとね……後、1週間もしないうちに退院が出来るって
先生が言ってたんだよ」
「そうか、退院出来るといいな」
俺は微笑みながら結衣を見た
「うん、それに退院したら祐介君と何処か行く約束もあるしね」
それから数時間、話をした後閉館時間が来て帰る事になった
8月31日
――ジリリリリ
「……あと、5分寝かしてくれ〜」
と、言うが時間が無さそうなので起きた
リビングに行き朝食を食べに行った
……
「今日も客があまり来ないな」
そうぼやいていると兄貴が笑いながら言い掛けた
「祐介、親父から電話だ……もう昼だし休憩してていいぞ」
そう言うと兄貴は、俺に電話の子機(恐らく仕事場の電話)を渡した
「……もしもし親父?」
「あぁ、祐介か……職が見つかったらしいな……そこでお前に話したい事
があるんだが、家に帰って来てくれないか」
親父の声を聞くのは久しぶりだなっと思い
「じゃあ明日行くよ」
そう言い、親父の声を聞くと電話切った
「なぁ、兄貴……いや、店長……明日、親父の家に行くから休まして下さい」
兄貴はふっと笑い「兄貴で良いよ」と言い頷いた
(最近、バイトが面倒だな)
俺は笑いながらそう思うのであった
……
「健二、明日俺、用事が出来たから仕事頑張ってくれ」
夕食を食べ終わり健二にそう言った
「黒澤に会いに行くのか?」
冗談半分で健二が訊く
「いや、親父に呼ばれた」
俺は無邪気にそう答えた
「そうか……気を付けてな」
健二はそう言うと「そろそろ寝るか」と言い自分の部屋に戻った
「……俺も明日早いから寝るとしよう」
そう言うと俺も自室に戻り寝た
9月1日
今日は、いつもより早く目が覚めた
「……そうか、今日は親父の家に行くんだったけ?」
俺はそう言うとリビングへ行った
「あれ?健二がいない……そうか、今日休みだっけ?」
一人で言い一人で納得する……正直かなりダサいな
朝食を食べてから玄関に向かった
……
「いってきます」
ドアを開けそう言う
親父の家……まぁ、俺も住んでいた家なんだけど……
徒歩じゃ少し遠いのでバスで行く事にした
バス乗り場のベンチで待つ事数分……バスが来た
整理券を取りシートに座った
朝方だったのかシートは、かなり空いていた
……バスに揺られる事数分、目的地のバス停に着いた
料金が170円なので以外に安い
そして券とお金を入れ降りた
ここから親父の家まで10分も掛から無い
……
そして親父の家に着いた
「ただいま……」
ぎこちなく部屋の中へ入った
「祐介か、……久しぶりだな」
親父は苦笑しながら話しかけてきた
「それで、用件は?」
半ば開き直った俺は用件を聞く事にした
「じゃあ、ワシの部屋に来い……渡したい物もあるからな」
親父はそう言うと部屋に向かい出した
……
「ワシもそろそろ歳だからな……これを渡しておこうと思ってな」
そう言い親父は通帳を渡してきた
「……それと、バイト頑張れよ」
そう言うと親父はドアを開けた
「あ、ありがとう親父……俺、頑張るよ」
俺は二つの意味で礼を言った
すると、親父はにっと笑い部屋を後にした
……
それから俺は、駅前に足を運んで色々と物色してから健二の家に帰った
9月2日
次の日、いつもと同じように健二とビデオ店に行きバイトをした
「ふぁ〜」
俺は、あまりの暇さに欠伸をしてしまった
「眠そうだな」
健二は見ていたのか笑いながらそう言った
(早く終わんないかな〜)
俺はそうも思いつつバイトに励んだ
……
「……祐介、お前今日バイトやる気無いだろう?」
昼飯を食べている時、健二がいきなりそんな事を言って来た
「……何言ってんだよ、俺は……」
「――最近、お前バイト中よく欠伸してるぜ」
健二はそう言ってコーヒーを飲んだ
(そいだっけか?)
昼食を食べ終えて俺は思った
(バイト中は、あまり欠伸しないように気を付けるか)
……
バイトが終わり時計を見た
7時ジャスト
「健二、リビアの泉撮って置いてくれ――頼むな」
俺は、健二にそう言い「例の場所」へ行こうとした
「まだ時間あるだろ?今日もまだ用事があるのか?」
健二は怪訝な顔つきで俺に問いかけた
「まぁ、な……じゃあ頼むな」
そう言うと俺はバス停へと足を運んだ
「祐介……まさか、な」
健二はそう言い残すと家路に向かった
……
島里病院
ここ最近、用事があって来れなかったが、前まではそれが日課だった……
「最近は、来れなかったからな……」
俺はそう言いながら中へ入った
……
ノックしようと手を上げノックしようとした瞬間、背後から声が聞こえた
「――祐介君?」
ふと、名前を呼ばれ声のした方へ振り返る
「結衣、久しぶりだな」
俺はそう言うとドアを開け振り返る
「無理はしてないか?……まぁ中に入れよ」
俺は結衣を病室の中へ入れた
……
「そう言えばどうしたんだ、さっき?」
俺は、ふとさっきの事を思い出し問いかけた
いつもは、大体病室の中に居るのにな……
「ううん、なんでもないよ……それより祐介君こそどうしたの?」
何か、見透かされたように言われた……ような気がした
「いや、様子を見に来たんだ」
「そう?……最近ね、ここに一人で居ると時間が長く感じるんだ……」
結衣の言葉を訊いた時、俺は昔の事を思い出していた
――あの時は、俺もまだ幼かった時だった……
いじめに合っていた結衣を助けたんだけど……その拍子に階段で足をつまずき
骨折してしまった……全治2週間と言った感じの怪我をした
当時、学校嫌いな俺にとって、2週間の休みは大きな物だった……
しかし、病室で2週間の間、寝てるだけだと物凄く退屈だった
利点と言えば……普段の寝不足から開放されるだけで後は何も無かった……
時間はただ流れたが、とても遅く居心地悪く窮屈なものだった
「俺も、あの時は退屈してたっけ?」
俺は、窓に目をやり、ふとそんな事を言った
今日も閉館時間まで結衣と話をした
それから、帰りに不動産に寄り手続きをした
(いつまでも健二の家に居候するのも悪いしな……)
9月3日
――ジリリリリリ
「……朝か」
俺は、いつものように朝食を食べバイト先へと向かう
……
「――500円丁度頂きます」
俺は、いつものようにバイトに励んでいる
(とりあえず、明後日から家に住めるから明後日辺りに健二に言うか)
……
そして、昼休み……
「何か、久々に客が多いな……少し疲れた」
俺は、そう言いながら健二を見た
「そうだな……それより、昨日何処に行ってたんだ?」
健二は改めて訊いてきた
「……港沢の奴に呼ばれてさ……まったく、困ったもんさ」
俺は、話を濁した……昔はそんな事した事なかったのにな……
……
今日も健二に何か言われたがはぐらかし病院まで来ていた
「何か、健二を裏切ってるみたいだな」
俺は、少し罪悪感を感じてしまったが「そんな事では駄目だ!」と、自分に言い聞かせ中へ入った
……
「結衣……居るか?」
俺はそんな風に訊ねた
「どうぞ」
結衣はそう言ったので俺は部屋に入った
「私ね、明後日の検査で問題が無かったら退院出来るんだよ」
結衣は喜びながらそう言った
「そうなのか?それは良かったじゃないか」
俺も訊いていて嬉しくなった
「祐介君……」
結衣が突然上目遣いな目つきで俺を見て言い出した
「結衣?突然どうした?」
俺は、結衣に訊ねた
「あの時の……約束、覚えてる?」
結衣は、以前の事を訊いてきた
「あぁ、覚えてる……覚えてるよ、結衣が退院したら俺と、何処か行くって約束だろ?」
結衣は嬉しそうに頷いて「楽しみだね」と言っていた
9月4日 過去と現在
過去……誰にでもある過去……
大抵の人の過去は酷く辛い過去が存在する
そして、俺にもそんな……悲しい過去が合ったかも知れない
……人にはいずれ、悲しい事に巡り合うものだから……
「……嫌な夢を見たな……正夢じゃなかったらいいけどな……」
俺は、そう言うとベッドから下りた
すると……
――ジリリリリリ
時計が鳴った、今日はいつもより早く起きれたみたいだな……
「さて……こう言う日は、サボらしてもらうかな」
そう言うと、俺は健二の部屋へ向かった
……
「えっ、バイト休むのか?」
健二は少し驚いていた
「すまん、今日少しだるくてな……」
健二は俺を少し見て、それから……「分かった」と、頷いた
(良かった……すまん、健二)
それから、健二はバイトに行った
「何か、ほんとだるいな……」
それから、10分程経ってから俺は病院に向かった……きっと、結衣だって一人じゃ寂しいだろうからさ
……
「――何、まだ開いてない……」
俺は、少し唖然だった……こんな時に患者が来たらどうすんの?
……時間を潰さないとなぁ
ふと、周りを見渡した……駅前とは、正反対だからあまりいい店がないな
(少し、腹減ったな……)
俺は、そう思い辺りを探索する事にした
……
「む……このゲーム何故景品が取れん……」
病院から少し離れた玩具屋……の、前に居る
そこで、クレーンゲームをしている……因みに、ここに来た理由は簡単だ
「結衣にプレゼントをあげようとプレイしている訳だが……なかなか取れん」
そして、もう一度だけやる事にした
……
「……取れた」
そして、その景品をポケットに入れ時計を見た……8時、俺は病院へ戻る事にした
(もう、開いてるだろう……)
……
そして、目的地に着いた
――コンコン
俺は欠伸を噛み殺しつつ、ドアをノックする
「どうぞ」
――ガラガラ
「結衣、元気か?」
俺はいつもの感じで部屋を訪れた
「今日はどうしたの?いつもとは違うけど?」
結衣は少し驚いていた
「今日は、結衣の見守りをしに来たのさ」
俺は、微笑みながらそう言った
「そうなんだ……ありがとね」
結衣が微笑みながらそう言った
俺は、ふと窓を見ながら結衣に言った
「明日だな……退院出来る日、そして結衣が待ち望んでいた日は……」
俺は席を立ち結衣に見た
「どうしたの?」
「いや〜喉が渇いちまった……結衣も何か飲むか?」
結衣は少し考え……
「じゃあ、オレンジジュースお願い」
と、言った
「分かった、少し待ってな」
俺はそう言うと、結衣は頷いた
……
えーと、自販機自販機……と
(こう言う時はあまり待たすと悪いからな……)
そう考え、辺りを見渡した……あった!
コインを入れオレンジジュースとコーヒーを買った
……
「お待たせ、はいオレンジジュース」
結衣は「ありがとう」と言いジュースを受け取った
俺は、コーヒーを飲み始めた
「何か、して欲しい事があれば言ってくれ、俺の出来る事ならしてやるからさ」
俺はそう言った
「うん、ありがとう……でも今はいいよ」
結衣は気を使っているのかそう言った
……それから、色々話していると、結衣はいつの間にか眠っていた
結衣を見た俺は、ふと時計を見た6時30分……
健二が帰って来るのは7時だからそろそろ帰る事にした
「……結衣、また明日な」
そう言うと、俺は病室を後にした
(明日が待ちどうしいな……)
俺はそう思いながら健二の家に向かった
9月5日 決戦の日!?
「いよいよ、決戦の日が訪れたか……」
俺は、時計が鳴る前に起きて、そんな事をぼやく
……
そして、バイトの昼休み……
俺は店長……もとい兄貴を呼んだ……バイトを辞める旨を伝える為に
「バイトを辞める?」
兄貴は怪訝そうな顔で俺を見た
「ちょっと、忙しくなりそうでさ……だから悪いけど……此処辞めても良い?」
俺は、兄貴にそう言った
「えらく急な話だな……まぁ、こっちは何とかするけどさ……その多忙とやらが終わったらまた来いよ」
兄貴はそう言った
「じゃあ、仕事頑張るよ」
5時には結衣と会う予定だからな……
……
それから数時間が経ち、俺は病院へと足を急がした
「……間に合ったかな?」
そして、502号室……結衣の病室へとやって来た
――コンコン
「祐介だ」
「どうぞ」
病室で結衣が俺を待っていた
「検査はどうだった?」
俺は、まず検査の結果を訊いた
「それがね……退院出来るって」
結衣は俺の方を見て微笑みながらそう言った
「良かったな、……そうだ、退院祝いやるよ」
俺は、ポケットから昨日クレーンゲームで取ったキーホルダーを結衣に手渡した
「祐介君、ありがとう」
結衣は「そうだ」と思い出したかのように言い出し、携帯を取り出す
「連絡先教えて?もしも、何かあった時お互い連絡取れた方が良いでしょ?」
結衣は携帯を持ったまま微笑んだ
(念には念を……か、……いや、こう言う場合「そないあればうれいなし」か?)
俺は、そんな事を考えながら携帯を取り出した
「じゃあ、俺から送るよ」
俺は、連絡先……もとい番号とアドレスを送った
その後、結衣から赤外で連絡先を登録した
「そう言えば……今日、家に帰るのか?」
俺はふと気になって訊いてみた
「違うよ……退院するのは明日みたい」
結衣はさっき俺があげたキーホルダーを携帯に取り付けていた
「そっか……明日なのか」
俺はそれから結衣と話をして数時間が経った
「そろそろ帰るかな」
俺はそう言うと結衣は少し府いていたように見えたが気のせいだったのだろうか
「気を付けてね」
結衣はそう言うと手を振っていた
俺も手を振ると部屋を後にした
……
「もしもし、港沢か?じゃあ8時頃に健二の家に来てくれ……頼んだぞ」
俺はそう言うと携帯を切り病院を後にした
……
「ただいま……」
俺は、そう言うと健二は「お帰り」と出迎えてくれた
「ちょっと、話があるんだけど……いいか?」
俺は、改まって健二にそう言った
「どうしたんだよ?……急に改まって?」
健二はそう言って訊いてきた
「俺な……この家を出ようと思ってる」
俺が、そう言うと健二は「そうか」と言っていた
「……」
「……」
しばらく沈黙が続いた……
「……いつ出るんだ?」
健二はそう訊いてきた
「今日の8時には……」
健二はそれを訊いて、「飯でも食うか」と言いリビングに行った
……
それから、時間が経ち荷物を港沢のトラックに乗せ後は、俺だけになった
「健二……今まで世話になったな」
俺は健二にそう言った
「また、遊びに来いよ」
健二は笑いながらそう言った
「その時は、俺も上がらして貰うぞ」
すると、港沢が勝手に話を締めくくった
……
「しかし……良いのか?」
港沢が俺に訊いてきた
「何がだ?」
俺が港沢にそう訊くと
「気にするな」
と、言っていた
(?何が言いたっかたんだ?)
そう思いながら目的地に着いた
……
それから、部屋に荷物を運び終え港沢と話しをした
「ありがとな港沢、助かった……まず、俺一人じゃ無理だったからな……感謝してるよ」
俺は、そう言うと港沢は腕を組み言った
「なぁに、この埋め合わせはいずれしてもらうつもりだ……気にするな」
港沢はそう言うと、トラックに乗り言った
「では、また会おう……アデュオス!」
俺は港沢を見送った
(俺って……人に頼ってばかりだな……)
俺は、そう思いながら家に入った
9月6日
――ジリリリリリ
「……朝、か」
俺は、時計を止めた
「……そうか……これから一人暮らしなんだよな」
そう言うと、ベッドから下り服を着替えた
「とりあえず……朝飯を食おう」
そう言いリビングへ行った
「……」
俺は、リビングに来た時点で一つ思い出した事があった
「昨日、此処に来てコンビニとか寄らなかったから飯買ってないな……」
俺は家の鍵と財布を持つと部屋を出た
鍵を閉め外に出た
「何処に何があるかあんま、分からんな……」
俺は、「まぁ、いいか」などと言いながら探索を始めた
――数分後……
「よ、ようやくコンビニがあった」
家から然程遠く無かったのだが……あれだけ彷徨っていたら相当遠い事になる
とりあえず、コンビニを見つけた俺は食べ物と飲み物を買い家に帰った
……
「あぁーかったりぃ〜」
俺は朝食兼昼食を食べ終わりリビングでくつろいでいる
――プルルル、プルルル、プルルル
携帯が鳴った
「んと……結衣からだな」
俺は確認すると携帯のボタンを押した
「もしもし」
「あっ、祐介君?今ね、退院したんだけどね……明日何処か行かない?」
結衣がそう言ってきた
「そうだな、……で、何処に行く?」
俺は、場所を訊いてみた
「う〜ん……映画なんてどう?」
俺は「良いな」と頷いた
「じゃあ、待ち合わせ時間を決めておこう」
「お昼辺りでどう?」
「良いと思うぞ。後は、昼飯だがどうする?」
俺は、時計を見ながらそう訊いた
「明日のお楽しみに♪それじゃまた明日ね」
「あぁ」
そう言うと電話を切った
……しかし、昼飯どうすんだ?……まさか、な
さて、荷物を運んで置くか
俺は部屋に戻った
……
「……こんな、感じかな?」
時計を見ると8時辺りだった
明日に備えて寝るか?
「お休み」
9月7日 結衣の退院祝い
夢を見た……結衣と出会った時の夢だった……
彼女は何処か切なげな目で遠くを見ていた
「どうしたの?」
俺は彼女に話しかけた
「……私の、お母さんとお父さんが死んじゃったの……それでね……」
彼女の目には涙が溜まっていた……今にも泣きそうな――そんな感じだった
「一緒に来いよ。俺のとっておきの場所教えてやるよ」
俺は彼女に微笑みながら話しかけた
「あ……自己紹介がまだだったな、俺は刈伊沢祐介……君は?」
彼女は少し怯えていたが次第に顔を柔らかくして微笑みながら言った
「私は……黒澤結衣、よろしくね」
――俺の見ていた夢は次第に薄れていった
………
……
――ジリリリリリ
「……朝、か」
カレンダーには、結衣と出掛けると書かれてある
そうか……今日は、結衣と出掛けるんだっけ?
時計を見ると……9時半
やけに微妙な時間だ
「……とりあえず、着替えるか」
……
それからする事が特に無かったので雑誌を読んでいた
「う〜む……ストーリは良いがキャラの絵が微妙だな」
――ピピピッ
携帯のアラームが鳴った
「そろそろ時間だな」
俺はそう言うと鍵と携帯と財布を持って部屋を後にした
……
確か、待ち合わせは此処だったよな?
……しかし、今上映してる映画は……コメディ、SF、恋愛……
俺は、次の瞬間凍りついた
……な!こ、これは……前作があまりにも評判だったからと続編を作っていたとは……
それは「ヴァンパイア・ハウス」と言うホラー映画だった……
因みに、その続編ホラー映画のタイトルは……「ヴァンパイア・ハウス2 甦りし悪夢」
……そう、俺はホラーは苦手なのだ
しかも、……いや、あまり恐ろしくて此処からは先は俺からはとても言えない……
そして携帯を取り出して、時間を確認した
11時59分
……あと1分だな
すると、そこへ……
「あ、祐介君……早いね」
結衣が来た
「そうか?俺も今来たところだ」
俺は、そう言うと携帯をしまった
「で、どうする?昼にするか、映画にするか」
俺は結衣にそう訊いた
「お昼にしよ」
結衣はそう言うと手に持っていたバスケット見せた
「ここで、食うのも難だな……いい景色が見える場所で食うか」
俺は、そう言うと結衣を連れ歩き出した
……
高台
「どうだ?ここなら昼食に持って来いの場所だろ?」
俺はそう言うと、ベンチに座った
「うん、そうだね〜」
結衣は辺りを見渡しながら頷く
そして、結衣がバスケットを持ち俺の座っているベンチに来た
「お昼にしよっか」
俺が頷くと、結衣はバスケットを開けた
「サンドイッチか、美味そうだな」
俺が、そう言うと結衣がそれを一つ取り俺に手渡した
「じゃあ、俺も」
バスケットからサンドイッチを取り結衣に手渡す
……
「美味かったな」
俺がそう言うと結衣が喜んでいた
結衣は時計を見て言った
「祐介君そろそろ、行かないと映画に間に合わないよ?」
「じゃあ、行くか」
俺はそう言うと、結衣と高台を後にした
……
駅前の映画館
(……俺的にはコメディとかが見たい気がするのだが……)
「結衣、何にする?」
俺は、結衣に訊ねた
「それ何だけど……これ以外もう満席だって」
結衣が指差した先……それは、あのホラー映画だった
「……あと、5分か……じゃあ入るか、結衣」
俺は、一瞬ためらったが入る事にした
(こ、こここ怖くない怖くない、絶対大丈夫だ!こう言う時、俺が恐れていてはいかんな)
……そして、幕が上がった……神は最後の最後まで俺の味方だ……きっと
いきなり、吸血鬼が人を襲うシーンから始まった
結衣は「キャー」と悲鳴を上げている……が俺は、と言うと……
「おわっと!」
変に驚いていた……
そして、少し落ち着いた頃だった
調査員が所々探索を続けている時……一つの棺桶を見つけた、調査員が棺桶に手を置き棺桶を開けた
すると、コウモリが部屋中に飛び散った
「どわっ!?」
そして、コウモリが一つに集まり、吸血鬼になった
「――ここから立ち去れ、さもなくばここで生き倒れにするぞ」
調査員と吸血鬼の死闘が始まった
……
調査員の男は窓ガラスを割り太陽の光を吸血鬼に当てた
「がはあぁぁぁぁぁ」
吸血鬼は棺桶の中に倒れた
そして、調査員の男は吸血鬼を棺桶に再び封印する事が出来た……
――しかし、まだ本当の悪夢は終わっていなかった
「……があぁぁぁ、貴様等人間はいずれ呪われる!!」
調査員の男が吸血鬼になって、いきなりスクリーンに出て来てそう言った
「あ〜びっくりした」
俺がそう言うと、幕が下り明かりが付いた
「――しかし、怖かったな」
俺が、苦笑しながら結衣に話しかけた
「そうだね。そうだ、これの続編が出来たら、また見に来ようよ」
結衣が笑いながらそう言った
「出来れば〜……次に見るなら……恋愛ものがいいな」
俺がそう言うと結衣は照れを隠すように微笑みながら
「また、来ようね」
と、言った
「そうだな」
その後、結衣を家に送った……が、目の前が俺の家で少し驚いたな
……
――ブブブッ
リビングでテレビを見ていると携帯のバイブが鳴った
「メールか……誰だろう?」
携帯を開きメールを確認する
「久々に遊ぼうぜ♪連絡を待つ 健二……あいつは商店街のゲーセンの事を知ってんのかな?」
「じゃあ来週辺りに」
俺は健二にメールを返信した
携帯を閉じるついでに時間を確認した
――8時59分
「疲れたな……寝るか」
そう言うと自室に戻った
9月8日 思い出探し
大きな木がある……そして、木の前に俺と結衣がいる
「――ここが、祐介君のとっておきの場所?」
ここは、俺のとっておきの場所だった……
誰にも教えた事のないぐらい――それだけ俺にとって大切な場所
「うん、ここは昔から気にいっててね」
昔、俺はどうやって此処を見つけたのだろうか……
「そうなんだ、――すごく大きな木だね」
結衣はそう言うと辺りを見渡していた
俺は木に座り空を見た
「明日もいい天気だと良いけどな」
俺がそう言うと結衣は振り返り微笑みながら頷いた
「――きっと晴れるよ」
――結衣がそう言った時、俺の見ていた夢は霧に包まれた
「……」
俺は、ふと目を開けた……
今の夢は……
――過去、俺にとっての過去
「あれは……何処にあったんだろう?」
俺と、結衣しか知らない場所……
時計をみた……10時45分
「あの場所を探しに行くか……」
俺は着替えると自室を後にした
……
商店街
「……ここじゃ、無いか……」
俺は、何気にここだと思った……しかし、違った
商店街を後にした俺は、別の場所を探し始めた
島里病院
……ここは、結衣が入院していた場所……結衣が退院してからここには訪れないと思っていた
辺りを見渡したが、それらしき場所は無かった……
ふと、俺は携帯を取り出した
――3時45分
今日は、帰る事にした
……
家に帰ると、留守電に一件入っていた
「誰だろう?」
ボタンを押して確認した
「メッセージヲサイセイシマス……」
「槙河だ、明日から学校に復学出来るそうだ……とそう言う訳だからサボるなよ」
担任の槙河 涼子先生からそう電話があった
「イジョウデス」
……とりあえず、鞄を出して置くか
――10分後……
「とりあえず……準備は出来たな」
俺はそう言うとリビングに行った
……
「む、晩飯どころか飲み物しか無い」
俺は、冷蔵庫を閉め時計を見た
「4時15分か……時間ならありそうだが……」
俺はそう言うとスーパーへ足を運んだ
「……晩飯、何にしようかな……」
俺はそう言いながら商品を物色し始めた
そして、パンのコーナーへ差し掛かった時……
「……刈伊沢先輩?」
ふと、苗字を呼ばれ声の聞こえた方に振り返る……そこに居たのは愛だった
「久しぶりだな!愛、元気してたか?」
俺は買い物かごを床に置き、愛に話しかけた
愛は、俺の二つ年下で今は高校1年だ
因みに、俺が休学していたと言うのは秘密だ……今更だけど
「……買い物……ですか?」
愛は床に置いて合ったかごを見て訊ねてきた
「あぁ、冷蔵庫の中が飲み物しか無くてな……」
俺は笑いながら言った
「……そう言えば…最近、学校は……来てないのですか?」
愛がさりげなく訊ねてきた
(……痛いところを付かれたな……)
俺は頭を掻きながら言った
「いやぁ、家の都合で忙しくてな……ははは」
とても言えない、港沢と悪事を働かせ休学になったなどとは……後輩になど絶対言えない
「……じゃあ、また学校でな」
俺はそう言うとかごを手に取った
「……はい、さようなら」
そして、買い物が済んで家に帰って来た
……
ベッドで寝転んで天井を見ていた……
「今日は、色々あったが……きっと明日からも色々あるだろうな……」
俺は、そう言い終えた頃には眠っていた
9月9日 旧友との再会
――ジリリリリリ
「………」
何時もならこんなに早く目覚ましはならない筈だが……?
「……今日から学校……だったか?」
カチッ
「……着替えるか」
俺はそう言うと制服に着替え、朝食を食べた
……
外に出ると、健二と結衣が待っていた
「あっ、おはよう祐介君」
「やっと、来たか」
二人がそう言い出迎えてくれた
「おはよう」
そして、三人で学校へ向かった
……
――キーンコーンカーンコーン
「俺は、お前が来ると信じていたぞ」
港沢はニヤリと笑いながらそう言った
「……言う程会ってない訳ではないだろ……」
俺は、ため息を吐きながら視線を変えた
(しかし、懐かしいな……)
……何と言うか学校が新鮮だな
俺がそう思っていると……
――ガラガラガラ
涼子先生が教室に入って来た
「皆、席に着け」
名簿を教卓に置くと話を続けた
「――皆も知っているかとは思うが……刈伊沢と港沢と黒澤の三人が学校へ復学した、また仲良くしてやってくれ」
その後、涼子先生は色々と話した後教室を後にした
……
(久々な授業はいいが……何故、今日に限って1時間目が数学なんだ?)
俺はシャーペンを回しながら欠伸をした
「――ここに3を代入すると、ここは5になるのです」
数学の講師は、少し人気があるみたいだけど今一センスに欠けてるな……
茶色のズボンに黄色の服……あまりカッコいいとは言えないな
――キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、今日はここまでです」
講師が部屋を後にすると、教室内に喧噪が広がった
「……そうか、もうすぐテストか……」
俺は、予定表を見ながら呟いた
「テストがどうした?刈伊沢?」
そこへ港沢がやって来た
「お前は気楽でいいな」
俺はそう言うと自分の席に座った
――何故か港沢は頭が良いのだ……
「そうか?案外忙しいぞ?」
そう言うと港沢は自慢げに笑いながら言う
「ここだけの話、2年の時は職員室のテストを頂いた事もあった……」
……何と言うか
「……それは、もうしない方が身の為だな……」
俺はあえて忠告をしておいた
……2時間目が終わりHRになり学校が終わった
(そうか、今日は半ドンだったか……すっかり忘れていた)
俺はそう思いながら学校を後にした
家路に着こうとした時、俺は小腹が空いたのでコンビニに寄る事にした
……
とりあえず、パンとコーヒー辺りを買うか
まずパンから物色するとしよう
……
「品数が……微妙だな」
この時間帯だとあまり良いのは売ってそうに無いらしい
(……手から和菓子でも出せたら有難いのだが……)
俺は、欠伸をすると焼きそばパンとコーヒーを取りレジに持っていった
「650円です」
定員はそう言うとパンとコーヒーをビニール袋に入れ始めた
俺は650円丁度を机に置いた
「650円丁度頂きます」
俺は店の人からビニール袋を受けとると歩き出した
……
歩きながら鞄を担ぎ直し欠伸をした
そして、俺が店を出た時……
――ヴィンーーキキィー
バイクのエンジン音が聞こえた
「あれ?祐介?」
俺は、声のした方に振り返る
(何処かで訊いたような声だが……)
そう思いふと、見ていると思い出した
「あれ?……もしかして深紅か?」
深紅はバイクから降りるとヘルメットを取った
「バイク見た時点で気付きなさいよ〜」
深紅は我ながら俺に憎まれ口を叩いているなぁ……
あれは……二年前、俺達は高校一年の時だ……
深紅はバイクの免許を取ってから一ヶ月も経たない内に外国へ留学した
それから俺達はごく普通に生活していた訳だが……
「でも、何で外国に留学してたんだ?」
俺は、何気に気になったので深紅に訊ねた
「バイクのメンテとかの方法を教わっていたの」
……思い出した、深紅は大のバイク好きだった事を……
「なるほど……そうだったのか」
俺は、そう言うと続けて言った
「そうだ、再会のお祝いだ……これやるよ」
俺はそう言うとさっき買ったパンとコーヒーを手渡した
「昼まだだろ?俺の奢りだ」
深紅は受け取ると「サンキュー」と言っていた
……
公園で昼食を食べた後、深紅は「まだ用事が残ってた」と言いバイクに乗って行った
「……深紅も学校来るのかな?」
俺はそう期待を寄せながら家路に着いた
9月12日 二人の転校生
……
「――へぇ、転校生ねぇ〜」
俺は、結衣と話をしていた
(まさか……転校生は深紅なのか?)
俺達が会話していると、そこへ港沢がやって来た
「――俺の情報網から仕入れた話だと転校して来る人は二人らしい」
港沢はそう言うと「では、用事があるので失礼する」と言い教室を後にした
……
「皆、席に着け……今日は皆も知っているだろうが、転校生の紹介だ」
涼子先生はそう言うと「入っていいぞ」と言い教室の中へ入れた……よくあるパターンだな。
……そこに居たのは見知った女の子といかにも転校生な感じの女の子が居た
「朝霧深紅です。よろしくお願いします」
そう言うと一礼した
涼子先生はそれを見た後、深紅の隣にいた女の子を見た
「山下芽衣です……よろしくお願いします」
少し緊張しているのか、そう言うと一礼した
すると、斜め後ろに居た港沢が俺に話しかけた
「刈伊沢……お前はどっちがタイプなんだ?」
「深紅は良いとして……ってお前なー」
すると、涼子先生は軽く咳払いをして言った
「朝霧は……刈伊沢の後ろに座って……山下は……刈伊沢の隣に座ってくれ」
……先生、何で俺を強調するんっすか……別に良いけどな
先生がそう言うと二人は席に着いた
「よろしくな、山下さん」
俺は、そう言い軽く解釈を交わした
「はい……よろしくお願いします」
その後、俺の後ろに居た深紅が「私も忘れないでよ」と言っていた
……
授業中……ふと思い出した
(テスト期間に入ったんだったな……)
テストは、正直……面倒だな
そう考えていると……二時間目の終了のチャイムが鳴った
……
さて、昼食を何処で食うか……
「……屋上にでも行くか」
俺はそう言うと廊下へと足を向けた
そして、最上階まで上がり屋上の扉を開ける
「……ん?深紅か?」
俺がそう言うと深紅が振り返る
「祐介?どうしたの?」
深紅が問いかけた
「いや、どうもしない……外の空気を吸いに来ただけさ」
俺がそう言うと深紅は外を眺め言った
「そう言えば……さ、バイクの免許とか取った?」
深紅がやけにしおらしく訊いて来た
「いや、取ってないな……事故がなんつーか精神的外傷になっててさ」
俺は、過去の結衣の事を思い出していた
……あの時の俺は無力だった……ただ名前を呼ぶ事しか出来なかった
「そっか……あ、そろそろチャイムが鳴るわよ」
深紅は少し府いていたが、開き直ったかのように俺を促すと教室に歩き出した
……
放課後、俺は気が付けば健二と港沢と結衣と愛と美菜と美里の七人は会議室に集まっていた
「……何のイベントだ?これ」
俺がそう訊くと港沢は笑いながら言った
「決まっているだろう!朝霧嬢と山下嬢の歓迎会の打ち合わ……いや、会議だ」
そこは、訂正しなくとも分かる……
「そして、開催日は……テストが全て終わった次の日だ!」
……めっちゃ急だな
「……何処でやるんだ?」
健二がそう訊くと
「既に開催場所は確保してある……後日メールで送る!以上だ、解散!!」
お前が仕切るなよ……と思わずツッコミたくなる勢いだな
「それじゃあ、帰るぞ……」
俺はそう言うと、鞄を担ぎ直し会議室を後にした
……俺が、帰った後まだ何か続いたみたいだ
「テスト期間だし……勉強でもしとくかな?」
俺は、そう言うと机に向かい教科書などを広げた
(国語に数学、英語に社会……そして理科)
一日目は、四時間あり二日目は一時間と厄介な設定だな
今日は国語をするか……
主に漢字が出るみたいだな
「療養……むずいな」
さて次……
「倒産……か…学校が倒産したら毎日が休みになるが……な訳ないか……」
冗談はさておき……
「厳重」
……それから数時間が経った
「ふあぁー……そろそろ寝るかな」
そう言うと、電気を消し寝た
9月13日 テスト期間1
………
「ふわぁ〜……眠い」
時間の設定間違えたか?
おれはそう思い時計を見た
――7時50分
「……」
――50分?
「やばい、遅刻だ!」
俺はそう言うと鞄と鍵を持って部屋を飛び出した
……
「刈伊沢、お前が遅刻寸前5秒前に来るとは……な」
港沢は何処か可笑しく笑っていた
――ガラガラガラ
「皆、席に着け」
そこへ、涼子先生が教室に入って来た
それから、連絡事項を話し終え先生は教室を後にした
……
「――今日と明日は半日授業か……」
俺は、そう言いながら帰る支度した
「……やっぱ、いいな半日授業は」
俺は港沢と廊下で話しながら帰っていた
「港沢先輩ー逃がしませんよ〜」
誰かの声が耳に入り俺と港沢は振り返る
「まずい……刈伊沢、また会おう」
港沢はそう言うと丸い何かを地面にぶつけた
「なっ、これは……」
辺り一面が光に照らさせる
(これは……閃光弾、か?)
少し、時間が経ち光は消え去った
「……美菜、奴を倒すには相当の戦力が必要だな」
俺はどちらの味方でもないような捨て台詞を吐くとその場を後にした
……
公園でのんびりしていると近くで歌が聞こえたような気がした
「誰だろう?」
俺は歌が聞こえてくる方へ足を運んだ
そこには大きな木があり、そこに居たのは、美里だった
俺は気付かれないように地面に座り彼女の歌を聴く事にした
……
声が聞こえる
「……君……きて……刈伊沢君起きて下さい」
俺は目を開けた
「あれ?ここは……」
俺は寝起きなのか、欠伸をした後辺りを見渡した
「……ん、美里……どうしたんだ?」
「風邪引きますよ?」
美里は微笑みながらそう言った
「え、……あ、あぁ」
それから少し話し家路に着いた
……
「今日は、理科……だな」
俺はそう言うと教科書に目を通し始めた
「カリウムに、カルシウム……マグネシウムにルビジウム」
以外に難しいな……
そう思いながら学習に勤しんだ
……
「今日は寝るか……」
俺はそう言うと部屋の電気を消し夢の世界へ飛び立った
(逝ってきまーす……って、ん訳あるか!!)
9月14日 テスト期間2
……
――ジリリリリ
「ふあぁ〜……さて、戦の準備をするか」
俺はそう言いリビングへ向かった
……
並木道を走りながら時計を見た
――7時48分
「……後、2分か……」
俺は時間との戦いにまだ勝てると思っていた……
だが……
「……刈伊沢!急げ奴が来る」
と、後ろから港沢が走りながらそう言った
「奴?誰の事だ?」
俺は立ち止まりそう言った
「説明なら後でしてやる、だから急げ!」
港沢はニヤリと笑いそう言った
――そして、放課後……
「――で、何だったんだ?」
俺は港沢を見て問う
「智崎に追われていてな……お前も奴と……風紀委員の奴らには気をつけろよ」
港沢はそう言うと俺を見てさらに言った
「それと……お前も風紀委員のブラックリストに追加されていた……」
……もしかして、俺も奴と同レベルと言う訳か?
「刈伊沢先輩、港沢先輩見つけましたよ〜」
そこに美菜が現れた!
「むぅ……風紀委員に我らブラック・ナイツを滅ぼさせはしない!」
港沢はそう言うと地面に何かをぶつけた……すると、辺り一面煙に包まれた
(今度は煙幕弾かよ〜)
そう思いつつ退散するのだった
……
「明日からテストだな……」
俺は勉強机にへばりつきため息を吐いた
「数学はヤマ勘に頼る以外、術は無いか……」
俺はそう言うと数学の教科書etcを鞄にしまった
「……ここは、社会にするかな?」
俺はそう言い教科書に目を通し始めた
9月15日 テスト開始!
………
……
…
「……あれ?なんで机で寝てたんだ……俺?」
辺りを見渡して思い出した
「テスト勉強しててそのまま眠ってたんだな」
俺はそう言うと制服に着替えリビングへ降り立った
……
「今日は運があるのか?……まだ、7時半だ……」
どうする、眠気はあるが……テスト勉強する時間もあるのだが……
「公園でも行くか……」
俺はそう言うと外に出た
……
太陽の日差しに照らされながら眠気を打ち消そうと思った……
「駄目だ……余計眠たくなった」
俺はベンチから立ち自販機に行った
こう言う時はコーヒーでも飲むと目が冴えるんだっけか?
コーヒーを飲み干し時計を見た
――7時50分
「今日は歩いて行っても余裕で間に合うな」
俺は自分を促すと歩き出した
……
「ふあぁ〜……今日からテストか……」
俺は欠伸を噛み殺しつつ言った
「テストがどうかしましたか?刈伊沢君」
俺の隣で声がしたので目を開けた
「美里か、おはよう」
「おはよう、刈伊沢君」
「じゃ、学校に行くか」
俺は美里を促すと、学校に向かった
……
(むぅ……意外に難しいな国語も……)
「弄ぶ」確かこれは……もてあそぶだったな
俺はそう思い出し答案用紙に書き込んだ
(次は……境内か……確か神社の何処かだったな。「きょうない」と間違えると港沢に笑われそうだ……)
俺はシャーペンを回しながら考えた
(……あ、思い出した!「けいだい」だ)
俺は続けて次の問題を見た
水夏の読み方……か
(当て字だな…確か……「すいか」だな)
この調子で行くぞ
「付和雷同」この意味は次のうちどれか……?
1.他人の意見にあっさり賛成する事
2.皆の前では同調しているが、裏では嘲っている事
3.物事のすべての詳しい事情
(教科書読んでおいて良かったな、確か1番だな)
さて……大体終わったかな
気が緩まったのか欠伸をした
――キーンコーンカーンコーン
とりあえず、今日のテストは終わったな
後は、HRだけだな……
……
「さて……帰るか」
俺はそう言うと鞄を担ぎ教室を後にした
……
そして、気が付くと俺は何故か図書室にいた
「……あれ?何で図書室にいるんだ俺?」
そして、前には愛がいた
「刈伊沢先輩……おはようございます」
愛は微笑みながらそう言った
どうやら眠っていたようだ
「あぁ、おはよう……もう昼過ぎだけどな」
俺がそう言うと愛は少し笑っていた
……
家に帰り付属最後のテスト勉強に励んだ
9月16日 テスト最終日
………
――ピンポーン
俺の家のインターホンが鳴っている
「誰だよ……時計のベルをインターホンにしたのは……」
俺はそう言うと制服に着替え玄関へ急いだ
……
――ピンポーン
「はーい、今開けますよ〜」
俺はそう言うとドアを開けた
――ガチャ
「おはよう、祐介君」
結衣はそう言うと微笑んだ
「あぁ、おはよう」
俺はそう言うと、鞄を担ぎ外に出た
……
「しかし、久しぶりだな……結衣と登校するのは」
俺は結衣と並木道を歩きながらそう言った
「そうだね」
そして後ろから……
――ドカッ
「おはよー祐介」
俺の後頭部を鞄で叩き笑いながらそう言う
「痛ぇ〜……深紅、朝っぱから何すんだ〜?」
俺は後頭部を抑えながら深紅に訊いた
「目覚ましよ〜目覚まし♪目、覚めたでしょ」
深紅はご機嫌斜めなのかそう言うと俺達と歩き出した
「あっ、結衣もおはよー」
付け足したような勢いでそう言った
「おはよう、深紅」
俺はふと思い出した
「そう言えば……今日で付属のテストも最後だな」
俺がそう言うと隣にいた結衣と深紅は「そうだね」と頷いていた
……
気が付けばテストは終わりHRの途中だった
――キーンコーンカーンカーン
すると、チャイムが鳴った
(やっと終わったか……)
俺はそう思い欠伸をした
「とりあえず、中庭でくつろぐか……」
俺はそう言うと中庭に移動した
――ブーブーブー
ベンチに座りのんびりしているとポケットに入れていた携帯のバイブが鳴った
「ん?メールか」
俺はメールを確認した
「港沢からか……何々、深紅と芽衣の歓迎会の知らせ……か」
題名を読みもう一度ボタンを押した
「えーと……開催場所は……あれ?不明!?開始時間は……12時から」
俺は唖然だった、こんなめちゃくちゃなメールで理解出来る訳無い
俺は返信のボタンを押し港沢にメールを送った
「今日は帰るか」
俺はそう言うと鞄を担ぎ学校を後にした
……
「やっとテストが終わったな……」
俺はそう言うと眠りに付いた
9月17日 深紅と芽衣の歓迎会
……
「……で、どうして俺の家に皆が集まってるんだ?」
俺は誰に訊く訳でも無く問い掛けた
「気にするな、……それより俺達は打ち上げをしに来たんだろ」
港沢はそう言うとジュースの入ったコップを手に取った
(……?打ち上げ?……全く覚えが無い……)
「朝霧嬢と山下嬢の歓迎に乾杯〜!」
港沢はそう言うとジュースを飲んでいた
「そうか……深紅と芽衣の歓迎会だったのか……」
俺はようやく理解してそう言うと……
「それぐらい気付きなさいよ〜」
と相変わらずの憎まれ口を言いながら深紅が笑っていた
「なぁ港沢、何か他にイベントは無いのか?」
俺はジュースを飲み干しそう訊いた
「……ではお前は、歓迎会を忘年会にしたいのか!?」
港沢は俺を指差しそう言った
「えらく中途半端な入れ替わりだな……」
俺はそう言うと欠伸をした
「とりあえず……ボーリング兼カラオケってのはどうだ?」
俺は、欠伸を噛み殺しそう言った
「致し方ない……俺はそれでも構わんが…今日のメインでもある彼女達に決めてもらおう」
港沢はそう言うと深紅と山下さんは「それでいいよ」と言った
……
「……ふ、またストライクを出してしまった」
港沢はかっこをつけながら俺の方を向きニヤリと笑う
(たかだか二回連続……まぐれだな)
俺はボーリングの玉を持ちレーンに立った
「行くぞ、港沢!!」
そう言い俺は玉を投げた
――ストーン!!
「――やるではないか……貴様がストライクを出すとは…少し以外だったな」
因みにチーム編成は……
俺と深紅、港沢と健二、結衣と山下さん、愛と美菜と言う感じで美里は結衣と山下さんのチームで三人で一組と言った感じ
次は結衣の番だ
「えい」
結衣はそう言うと玉を投げた
――ゴロゴロゴロゴロ
皆の視線がレーンの先に集まった
――ストーン!!
「やった」
結衣は山下さんと美里の方に向きガッツポーズをした
(なんか、皆上手いな)
そして……美菜がレーンに立った
(風紀委員の力……見せてもらうぞ)
俺はそう思い美菜を見た
「行きますよ〜……それー」
――ストーン!
「おしいな」
俺は残ったピンを見てそう言った
……何故か、残ったピンは一番真ん中のピンだった
「愛、後は頼みましたよ」
美菜は拝む様にそう言うと愛は微笑んだ
「……えい」
残っていたピンは見事に倒れていた
「見事です♪愛」
「ありがとう、菅野さん」
……
それから1ゲームが終わりスコアを見た
「……お、俺達が1位だな、深紅」
俺はそう言うと深紅は「祐介もやるわね」と笑っていた
「……む、この俺が刈伊沢に負けるとは……一生の不覚だな」
港沢は舌打ちしながらそう言っていた
……
それから、数時間経ちお開きとなった
「明日と明後日はゆっくりするか」
俺はそう言うと夢の世界に飛び立った
第一章 完
「適当な答」第一章完結(少し長いようですが……)
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